午後になると、ヒルボネン選手が前回アタックを開始して徐々にラトバラ選手との差を広げた。SS27では、スズキの二人の順位が入れ替わり、さらに(ペター)ソルベルグ選手が8位にいたヴィラグラ選手をかわし、ポイント獲得圏内に浮上した。
そして迎えた最終SS29。上位陣に順位変動はなく、ヒルボネン選手がラリージャパン史上初の2連覇(今季3勝目 通算7勝目)を達成した。2位はチームメイトのラトバラ選手が獲得し、BPフォードは1−2フィニッシュを果たしたことにより、マニュファクチャラーズタイトル争いに望みをつなげた。
そして忘れてはならないのはローブ選手のドライバーズタイトル5連覇である。ローブ選手は順当に3位に入賞し、WRC史上において初の5連覇を達成した。このラリージャパン2008年大会は、ローブ選手が史上7人目のドライバーズタイトル2回獲得を決めた2005年大会、最多勝記録を更新した2006年大会とともに、意義深いラリーとして後世に語り継がれることであろう。この記録により、ローブ選手は間違いなくラリー史上最強のドライバーになったのである。
4位にはアトキンソン選手が入り、ポディウムには一歩及ばなかったが、スバルの最低限の目標は達成されたといえるだろう。5位はアンダーソン選手、6位にはガルデマイスター選手が獲得し、スズキはホームイベントで参戦開始以来のベストリザルトを獲得し、次戦に期待が持てる結果となった。7位はウィルソン選手、8位は(ペター)ソルベルグ選手が獲得した。ソルベルグ選手はデイ2後半とデイ3で調子が上がり、タイムが出るようになってきただけに、4位につけていたデイ2でのリタイアが響く。9位はヴィラグラ選手、10位はソルド選手となった。(ヘニング)ソルベルグ選手と、ローテンバッハ選手はリタイアとなった。
併催のPWRCでは、最終SS29で劇的なドラマが待ち構えていた。SS28まで、18歳の未だPWRCでポイントすら獲得した事のなかったノヴィコフ選手が首位を走行していた。残るステージは2.57キロのショートステージ一本のみ。誰もがPWRC最年少優勝達成を確信していた。ところがそのショートステージでドラマが起こった。なんとセンターデフにトラブルが発生し、ノヴィコフ選手は痛恨のコースオフを喫する。これによりSS28終了時点で26.8秒差あった2位のハンニネン選手に逆転され、PWRC最年少優勝は夢と消えた。最終結果は1位ハンニネン選手、2位ノヴィコフ選手、3位は新井選手となった。新井選手は今季初ポディウムを地元で決めた。ハンニネン選手は今回エントリーの無かったドライバーズタイトル現在トップのアイグナー選手を逆転し、PWRCトップで最終戦を迎える事になる。
インプレッサで参戦の国沢選手はこの荒れたラリーで、前日よりも更に順位を上げ総合25位、マニュファクチャラー、PWRCを除いた順位は6位で、見事完走を果たした。おめでとうございます。
次戦は、いよいよ最終戦ラリーGBである。ウェールズの森で開催されるこのラリーは雨がつき物である。毎年この雨により路面が荒れ、非常に滑りやすくなる。ドライバーは泥との格闘を余儀なくされる。この難しいコンディションの中では、ストレートではどれだけ攻められ、難しいコーナーではどれだけ抑えられるかが勝負の鍵となる。ドライバーズタイトルが決定した今では、マニュファクチャラーズタイトル争いに注目したい。