2009年09月25日

人気欧州コンパクトモデル試乗その1 〜BMW MINIONE〜

今年はoldMINIが登場して50年目の記念すべき年。いまでは実質的なBMW開発主本のFFスペシャリティモデルとなっており、世界的にアイドル的人気を集めているのはご承知の通り。

02年に登場したそんな次世代newMINIも、現在では2代目へと進化。見た目は「超」キープコンセプトながらも、エンジンや足回りなどに大幅なアップデートが図られました。そんなMINIのロングランテストを行う機会を得たので、レポートしたいと思います。

テストしたのは、ベーシックモデルであるONEの6速ATモデル。テスト車両には通常の鉄っちんホイールではなく15インチアルミホイールが装着されているなど、多数のオプションが装着されていました。ONEの区別の仕方として他には、グリルやリアガーニッシュがブラックとなり、ルーフがボディ同色になるなど。確かにクーパーのほうが見た目の高級感は確かに上ですが、個人的には鉄っちんホイールなど、シンプルなONEの見た目に惹かれる部分も。また、年齢層や男女関係なく、老若男女問わず誰でも似合ってしまうその佇まいの良さも、新旧MINIに共通する美点といえます。

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先代モデルはクーパーだけでなくONEも1.6Lでしたが、新型は1.4L。またトランスミッションが低速域でのドライバビリティにひと癖あったCVTから、新型ではコンベンショナルな6速ATへと変更を受けたのは日本市場にとっては歓迎していいポイント。またこのベースのONEから6MTモデルが用意されているのも、インポーターに拍手!したいところです。

1.4Lエンジンの出力はたったの75ps。ゼロヨンではかろうじて20秒を切るレベルの動力性能ですが、実際運転したみた印象は「必要にして十分以上」。ゼロ発進時には多少なりとも排気量の小ささやモアパワーを叫びたくなりますが、一度走り始めてしまえばそこからの加速感やレスポンスは期待以上。トルコンの滑りをあまり感じさせずスパスパっと素早く変速を行う、クロスレシオの6速ATの効果によるところも大きいでしょう。

マニュアル操作の際のシフト側の操作ロジック(押してダウン、引いてアップ)は個人的には○ですが、ステアリングシフトもいわゆるマツダ・BMW方式と同じなので、こちらは片手でアップダウンができるという利点があるものの、一般的なパドルシフトから比べると少し慣れが必要です。

また決してスポーティとは言えないものの、重圧で安っぽさを微塵も感じさせないエンジン・エキゾーストノートも排気量の小ささを意識させない美点。できれば6速MTであればもっと軽やかに、それらしく、走る事ができるでしょう。燃費は積極的に走って13km/L程度。トルク不足を補うためにどうしても踏み込み気味となるので、もしかすると、燃費の面ではクーパーの1.6Lのほうが良好かもしれません。

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先代に対するアドバンテージは、その乗り味の向上っぷり。いわゆる「ゴーカートフィーリング」というクイックな操縦性を残しつつ、乗り心地や快適性をグッと引き上げたのが2代目最大の進化ポイント。また、クーパーに比べてよりしなやかなサスセッティングが施されたONEは、その魅力がさらに分かりやすいものに。タイヤサイズは175/65R15とクーパーと共通ながら、このサイズは唯一ランフラットでない点の恩恵も当然受けています。

その分絶対的な比較ではクーパーに劣るかもしれませんが、このONEだけを乗ってしまえば操縦性はこれでも十分刺激的。車庫入れでのロックtoロックの少なさからも分かる通り、ステアリングに対するノーズの反応はとにかくクイックかつ正確で、ワインディングでの身のこなしは軽快そのもの。もちろんそれらの刺激性はリスクを伴うセッティングで実現されているのではなく、同セグメントでは圧倒的とも言えるボディ・フロア剛性と、これまた素早いノーズの動きに対してどこまでも追随してくるリアのスタビリティ性能の高さの上に成り立っています。また、4輪の接地性の高さを常に実感でき、ガツンと踏んでもビクともしないブレーキ性能の頼もしさなど、MINIがBMWブランドのFF車として生まれ開発された事をまざまざと実感させてくれる一因と言えます。

5ナンバー枠に収まるといえども、はっきり言って実用性はほとんど皆無。ワゴンボディであるクラブマンであっても、所詮毛が生えた程度であり、それらをこの車に期待する事はハナから間違いです。ようは見た目重視、雰囲気重視。加えて、いざステアリングを握ってみれば、圧倒的なレベルの高さと個性的な味付け。外装部品がほとんどこのクルマ専用であることを考えれば、そのクオリティとの兼ね合いも考えて、220万円程度の価格は日本車との価格差を考えても、正直バーゲンプライスに思えます。ターボモデルのクーパーSを始めとして、さらに強力なユニットを積むシリーズもどんどん拡大していますが、加速はドン亀、しかしそれをシャシー性能でカバーするというこのONEの感覚とポジションこそ、「MINIらしさ」を一番感じるグレードではないでしょうか。

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先日のフランクフルトでは、2シーター仕様のクーペ・ロードスターも登場。さらにSUVモデルなど、これからも派生車種はどんどん拡大していくようです。見た目や雰囲気だけで指名買いしても良し、かと言って単なるそれだけのクルマではなく、その走りの個性に惚れても良し。世界的に好調なセールスを実現するMINIの商品性の高さを改めて実感したテストでした。

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レポート:岩田 和馬


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2009年09月08日

アウトバック3.6試乗レポート

以前レガシィの試乗レポートの際に乗りそびれていた、アウトバックに乗る機会を得る事ができました。幸運にも試した個体は、こちらもまだ未体験である3.6Lモデル。簡単ではありますがレポートしたいと思います。

高められた車高の影響で、アイポイントはグッと高め。シートやステアリングの調整量が大きいおかげでドラポジはキチッと決まります。ただ、やはりレガシィのアイコンである「自発光式メーター&MOMOステアリング」という2大アイテムが失われたのは、返す返すも大変残念。特にステアリングは、別にブランド命というわけでなく、採用しないならしないで、純正でももう少し気合いを入れて開発すべきパーツでしょう。オプションのマッキントッシュオーディオは音質はもちろんの事、インパネの見た目も向上させてくれる極めて身力的なアイテム。ナビの画面も大きく非常に視認性に優れています。

アイドリング時のエンジンの振動はほぼ皆無で、走りださずとも6気筒の恩恵を感じる事ができます。まずはSI−DRIVEをデフォルトの「I」モードでスタート。この時はかなりアクセルに対する反応が落ち着いており、発進は実にジェントル。ただこの状態だとせっかくのこの排気量の余裕が感じられないのも事実。個人的にはこの3.6Lでは「S」モードをチョイスしたいところです。

そのSモードでは、アクセルを踏むと同時に実に頼もしい低速トルクを体感でき、少し発進時のかったるさが感じられた先代の3.0Lモデルからの+600ccのゆとりを実感することができます。また大陸的なのんびりとした性格と思いきや、低回転だけではなく、中〜高回転域のパワーの盛り上がりも実にナチュラルかつパワフル。そしてボクサー6の真骨頂とも言える振動のなさと吹けのスムーズさ、ブン回した時のサウンドの良さ。このジェントルな振る舞いとスポーティなフィーリングのバランスは国産エンジンの中でも随一。

4Lクラスと同じ税金である事など、この車にこれだけ大きなエンジンが必要かどうかと考えると「?」マークがつくところであり、この排気量でレギュラーガス対応という事を声高に叫んだとして、さほど大きなアピールになるとは思えません。しかし、そういった能書きを横におけば、間違いなくこのボクサー6ユニットは魅力的。今後もスバルが国内市場でも拡大化志向を貫くならば、この3.6LエンジンにMTを組み合わせたスポーティな追加グレードがB4やTWのほうに展開するのも1つの手法でしょう。

そのエンジンの魅力に対して、ステップ比が大きめで決してスムーズとはいえない5速ATの存在が足を引っ張ります。もちろん我慢できないほどの不満点ではないものの、新型のキャラクターと価格を考えると、やはりATが見劣る印象は拭えません。

足周りは基本的にソフトな味付け。M+Sの17インチタイヤを履く事もあって、コーナーは得意とは言えず。ゆったりとしたリズムで乗るにはバランスが取れており、乗り心地も大変優れていますが、ベースモデルと比較してしまうと、AWDらしい「走りの頼もしさ」に少し陰りがある部分が残念な点。

むしろアウトバックにも、もっとオンロードを意識したセットアップがあってもいいかもしれません。それならば本末転倒、ツーリングワゴンにすればいい…というのはごもっともですが、実際にスバルは限定車という形で、モデル末期時に2.5Lターボエンジンを搭載し、ローダウンサスを組み合わせオンロードタイアを履いたアウトバックを登場させています。別に頼もしいオフロード性能などではなく、見た目の雰囲気でアウトバックに魅力を感じるオーナーも実際多いのでしょう。国内ではそういったセットアップのアウトバックもアリかもしれません。



登場以来、個人的に新型レガシィに対して、コンセプトの変革やサイズアップではなく、その出来上がってきたスタイルに対して酷評を続けてきました。今でもやはり見慣れる事はなく、走りの素晴らしさに感慨を覚えつつクルマから降りると、今までこんなデザインの車に乗っていたという事実を消し去りたくなってしまうような嫌悪感を抱きます。3代目や4代目も決してカッコいいデザインなどとは言えなかったものの、新型はさらに中身が充実しているだけに、デザイン案の最終段階で大幅な軌道修正を図った上層部の責任は重いと言えるでしょう。

そう思いつつ、今回のアウトバックに乗った際には、不思議とそういった気分は自分でもさほど感じられませんでした。それはいわゆるこのクルマが「レガシィ」というしがらみをあまり感じさせないモデルであるからかもしれません。「アウトバック」という名前の違うクルマと考えれば、不細工なスタイリングにもなんとかギリギリ耐えれそうな気もします。北米ではツーリングワゴンではなくこのアウトバックがワゴンのスタンダードになっている風潮が、日本でも強くなってくるかもしれません。

新型レガシィに対して嫌悪感を抱くユーザーに対して、まだ受け入れてもらえるのはエクシーガかもしれません。先日マイナーチェンジを行い、一部を除き2LNAモデルにリアルトロニックCVTを搭載。排気系の見直しでパワーアップを図りつつ燃費を向上させており、またサスペンションに手を加えて操安性向上を行うあたりはさすがスバル。またVDCの設定拡大やターボモデルへのパドルシフト搭載、細かいところでいえば視認性どうこうを無視したえげつないメーター配色が落ち着いた色調へと変更を受けたのも嬉しいポイントです。また4速ATモデルであれば、特別仕様車のSスタイルは充実装備で価格は200万円以下。エクシーガのデザインも洗練されてるとは言い難いですが、このエクシーガにもストリームのように5人乗り仕様を用意し、新型レガシィに幻滅したユーザーへの対策として用意するのも可能性としてはアリかもしれません。エクシーガは今数少ない国内専用車(オーストラリアなどへは輸出予定アリ)、CMでもここに来てレガシィとの共通イメージを大きく打ち出してくるようになりました。

同時にインプレッサも年改を実施。軽自動車のほうでは、ついに「ディアス」という名前でダイハツアトレーのOEM配給が始まってしまいましたが、サンバーのバン・トラックのほうはマイナーチェンジを実施してまだまだ生き残り。国内メーカーでは今もっとも前途多難なスバルではありますが、地道に打開策を見出していってほしいところです。

今後のレポート予定
○魅力的な欧州コンパクトモデル ロングランテスト
・フィアット500
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・MINIONE
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○夏場にインサイトを改めてテスト


レポート<岩田 和馬>
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2009年08月23日

ゴルフ6試乗レポート

今回は、既に導入開始されてから4か月ほど経過してはいますが、ゴルフ6に乗るチャンスを得たのでレポートします。

ご存じの通り、今回6代目となるゴルフは、コンポーネンツを先代からキャリーオーバー。完成度は抜群に高いものの、利益率と生産コストという観点では決して会社孝行ではなかったゴルフ5に代わって、モデルサイクルを早めて世代交代がなされました。ということで新型の名目は「コストダウン」。しかし実際に乗ってみると、そのような事は実用上微塵にも感じる事はありません。細かく見れば、ドアやバックドアヒンジなどには5と6の違いを見つける事ができますが、これはいわば5の「過剰品質」。ほとんどのユーザーが気にする事はないでしょう。

前回レポートした通り、走りに関する部分はエンジン、トランスミッション、そして足周りはサス形状だけでなく、そのジオメトリーやブッシュ類まで基本的に全てゴルフ5から継承。もちろん足周りに関しても評価はもともと高く、エンジン+トランスミッションはゴルフ5時代に全てアップデートを完了したTSI+DSGの組み合わせ。目新しさはないものの、モデルチェンジ直後としての完成度の高さを考えれば、こういう形のFMCも十分に魅力的に思えます。

乗ったのは上級モデルであるTSIハイライン。こちらは1.4Lのターボ+SCの160psで、タイアは17インチ。コンフォートラインは1.4Lのターボ122psで、タイアは16インチ。実用上はコンフォートラインでも十二分ですが、先に結論を書くと個人的にお勧めはハイライン。価格差は37万円と小さくはありませんが、いずれ登場するであろう1.2Lターボ+DSGを搭載したトレンドラインの事を考えると、コンフォートラインは少し中途半端な存在になるかもしれません。もっとも、312万円のハイラインでさえ今時ハロゲンヘッドライトな点は少し興ざめですが…。

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こちらはコンフォートライン


ドライビングポジションの自由度が高いのはゴルフ伝統の美点。基本はアップライト気味ながら、座面をグッと低くしスポーティなポジションも取る事ができるのは嬉しいポイントです。インテリアの見た目上のクオリティも上々。基本的なパーツやレイアウトは5と共通ながら、メッキパーツを上手く使って高級感をプラスし、革の質感・ステッチともに素晴らしいステアリングやホワイト盤・赤針にスッキリとまとめられ視認性の良いメーターなど、基本的な部分をキッチリと抑えた仕立て。位置変更を受けたパワーウインドースイッチとしっくりこない節度感のないシフトレバーの操作感が画竜点睛を欠きます。

ハイラインをお勧めするポイントとなるのが、パドルシフトとシート。先述したように、シフト操作の際の操作感がチープで、せっかくの素晴らしい7速DSGのフィーリングの良さに水を差します。ここは是非とも積極的にマニュアル操作ができるパドルシフトが欲しいところ。シートはコンフォートラインのノーマルシートも○ですが、ハイライン用のサポート性に優れるスポーツシートはさらに好印象。また、インテリアの雰囲気をグッと変える事ができる明るいベージュカラーのレザーシートが選べるのもハイラインだけの魅力の1つと言えるでしょう。

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走りに関しては、初期の湿式クラッチの6速DSGから乾式のコンパクトな7速仕様となって随分と熟成が図られたものの、やはり少しまだ発進時に少し唐突さがあり、1.4Lの過給エンジンということで初速にややレスポンスの悪いかったるさが垣間見える時もありますが、2つともほとんど気にならないレベル。むしろ細かく荒探しをしたところで見つけられるのはそれくらいであり、いざ走り始めれば排気量からは想像できない加速を見せ、6000回転まで気持ち良く回るパワーフィールに、そんなエンジンの魅力をさらに引き立てる、クロスレシオの7速DSG。街中ではほとんど7速に入るチャンスはありませんが、高速域での燃費や静粛性には大きなアドバンテージとなることでしょう。

また5→6への大きな違いはNVH性能の向上。アイドリング時からエンジン音の侵入はグッと抑えられ、FF車によく見られるステアリングへの微振動も一切皆無。走り始めるとタイアからのロードノイズの小ささを実感し、リア部分からの侵入音も非常に抑えられています。これらは今まで日本車が欧州車に対して持つアドバンテージでしたが、このクラスのクルマまでここまで静かになるとは率直に驚きを覚えます。

ハンドリングに関しては、さすがこのセグメントのベンチマークと堂々と誇らしげに言わんばかりの仕上がり。先代からの大きな進化や飛躍はないものの、こう改めて乗ると元々持つポテンシャルの高さをヒシヒシと実感します。さらにしっとりとしたフィーリングを伝えてくれるようになった電動パワステのフィーリングは、もう油圧との違いは全く分からないレベル。ステア操作に対し素直にノーズが反応し、ペースをどんどん上げていっても終始安定感を保持し続け、挙動はどこまでも自然。よほど素早い操作をしない限りガッチリと路面を掴んで離さないリアのスタビリティの高さに、フル制動時にはしっかりとした踏力を必要とするものの、コントロール性は抜群のブレーキ。225幅の17インチを履きつつ、乗り心地も安っぽさや硬さを感じさせる事は微塵もなく、これだけに乗っていれば、さらに良いと言われる日本未導入の電子制御サス(DCC)仕様(シロッコにはあり)の必要性を感じる事はほとんどありません。

やはりこの懐の深さと安心感、いくらハイブリッドが注目されプリウスが良くなったとは言え、改めて比べてしまうと「クルマ」本体の差は明確。もちろん、プリウスがゴルフを過剰とも言える走りのクオリティを目指す必要があるとは思いませんし、ガソリンエンジン最強のエコと走りのバランスを構築しているとは言え、THSシステムの叩き出す環境・燃費性能には敵いません。しかし、もしこのゴルフがハイブリッドになりプリウスに迫る燃費性能を獲得したら……。単純な価格差だけでは説明できない魅力と価値を秘めているこのゴルフには、まだまだ同セグメントとして見習うところはたくさんありそうです。



もちろん、ゴルフ自体もうかうかとはしていられません。圧倒的な性能と完成度を誇るものの、年々拡大していくボディサイズに対し、実用性に不満は全くないものの、パッケージング上の利点はほぼ皆無。6でその傾向は一応止められはしましたが、ここまで大きくなれば、広くて実用性が高いのは当たり前のことです。いまだにこのゴルフを「コンパクトカー」を表記する記事もよく見かけますが、そんな時代錯誤な事を思ってこのゴルフを買う人はもうほとんどいなくなっているのでは。

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そういった意味では、もうすぐ日本導入予定の1回り小さいゴルフとそっくりとなった新型ポロのほうが、これから日本ではさらに驚異になっていくかもしれません。全長4m以下の5ナンバーサイズ、1.4NAと1.2TSIに7速DSGを組み合わせ、シューズには16・17インチを履くその新型は、ヨーロッパでの試乗会でも非常に好評を得ているようです。その新型ポロは、ちょうど大きさ的にゴルフ2のサイズに近いもの。その関係はまさにホンダのシビックとフィットを見ているようであり、このゴルフ最大の敵は実は身内に存在するのかもしれません。



<レポート: 岩田 和馬>
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2009年08月15日

新型メルセデスEクラスレビュー

今回は新型メルセデスEクラスの試乗レポートをお届けします。すでに6月からこちらへ導入が開始されてはいますが、日本のマーケットで中心となる右ハンドルモデルは今月からデリバリー開始。これから日本で見かける機会がますます増えるでしょう。

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まずはスタイリング。以前からすでに2回に分けてレポートした通り、新しいメルセデスのデザイントレンドを受け持つ、シャープかつエッジを効かせたデザインへと変貌。4灯式のヘッドライトは継承されましたが、その形状は丸目から角目へ。フロントはマーク2ブリッド、キラキラとしたリアのLEDテールもどこかトヨタ・レクサスっぽいと感じる人もいるかもしれません。

とはいえ、グッとサイズも大きく角度も起こされたフロントグリルを始めとして、威厳を前面に押し出すスタイルの流れは、かつてのW124時代を彷彿とさせる印象も抱かせます。リアフェンダーの盛り上がりは、かつてのW120型をモチーフとした造形だそうですが、あえて今なぜこのボディスタイルにそのファクターを持ち出したのかは少し疑問。またラインの切り方と歩行者保護の観点からポップアップ式を採用している影響か、ボンネットとフロントフェンダーのチリの大きさがサイドからかなり目立ってしまうのは残念な点です。

ちなみに試乗したのはカルサイトホワイトのE350アヴァンギャルド。後々にラインナップの追加などもされるでしょうが、おそらくここ日本ではこのグレードがメインとなるでしょう。ブラックの1台はE550アヴァンギャルドで、こちらはAMGスポーツパッケージが標準状態で装着されています。

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ちなみにこのAMGスポーツパッケージは、E350にも45万円で装着可能。AMGのスタイリングエアロに前後異径18インチタイア&アルミ、シートもステアリングもブレーキも専用品になり、かなり魅力的。特に専用の3本グリップのステアリングホイールは握りの良さ・質感も含めて特筆すべきものがあり、ノーマルのアヴァンギャルド仕様との差は歴然。「レクサスもどき」の安っぽいバンパー一体式マフラーと35扁平という強烈なタイアにさえ抵抗がなければ、お勧めのパッケージオプションと言えます。

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開け閉めするだけでもその堅牢感を十分に伝えるドアを開け、シートへ。やたらとブカブカ大きく日本人の体形にイマイチ合わなかったシートは、最近のメルセデスの流儀に漏れず劇的に改善。W211時代の大きな弱点であったナビ位置の低さも、新型ではようやく現代的なポジションへと収まりました。HDDナビは全グレード標準。SやCでも採用されたお馴染みとなりつつある遠隔インターフェイスのCOMMANDシステムは、最初はなかなか取っ付きにくく、少し慣れを必要とします。

日本車から欧州車へ乗り換えると必ずやってしまう「ウインカーレバーとワイパーレバー」の混同問題ですが、Cクラスと同様にこの新型Eクラスでもそれは問題にならず。ワイパーとウインカー操作が左側レバー1本に統一されており、間違えて車線変更をする度にワイパーが駆け足する心配はありません。

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そのかわりに右側コラムに大きめのレバーで配置されているのが、ATのセレクターレバー。最初に採用したBMW7シリーズは新型となってコンベンショナルな位置へと戻されましたが、一方メルセデスではこの主力のEクラスにも採用し、その規模をどんどんと拡大しています。これにより、副産物的にパドルシフトが全グレードに装着される事になったのは嬉しいポイント。

若干のボディサイズの変更、それに伴って室内寸法も変わっているのですが、ピラーが立ち気味となってウインドー面積が少し広くなったか?と感じる程度で、実際体感できるほど劇的な改善・改悪された印象はありません。

それより印象的だったのが、エクステリアにしろインテリアにしろ、いわゆる「初期ロット」っぽさをほとんど感じられなかった点。組み付け精度、と言ってもいいかもしれませんが、W203にしろW211にしろ、登場直後のモデルはお世辞にも褒められたものではないレベルでした。それが「欧州車はモデル末期が一番」という定説を生み出す所存でもあるのですが、今回の新型はシートの動作感にしろ、部品1つ1つのフィッティングにしても、そういった点をほとんど感じる事がありませんでした。これも3600万kmという桁違いのテストを重ねた結果が少なからず現れているのでしょう。これなら初モノで飛びついても心配はありません。

もちろん、それはあくまで「組み付け精度」から感じる質感であり、根本的にもつ絶対レベルでの質感は「並」。もちろんメルセデスの本質はそこではない、とは頭で理解しつつ、特にアウディやレクサスと同列に比較してしまうと、はっきりと無骨で安っぽい部分が散見されるのも事実。800万円を超えるクルマとしての「見て、触れて」という段階では、メルセデスのアドバンテージはいまやもうほとんどありません。


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しかしそんな事も、いざステアリングを握って走り始めると、どうでもよくなってしまうほど、思わず唸らざるを得ない、卓越した乗り味の持ち主である事をすぐに実感します。プッシュ式ボタンでエンジンをスタートさせ、セレクトレバーをDへ。ブレーキから足を放し、タイアがひと転がりし始める瞬間から、そして車道へと出るために、歩道の段差を、それこそ歩くようなスピードで超えただけでも、圧倒的なボディ剛性の高さと魔法のように滑らかに動くサスペンション。そして道路へと出、スピードを上げていってもその印象は変わらず、否むしろどんどんと良くなっていき、路面へピタッと張り付きながら、矢のようにズバッと走る直進性の良さ、インフォメーション性豊かなステアフィール。E550のエアサスとは違ってこのE350はバネサスですが、ダンパーに「ダイレクトコントロールサスペンション」という可変式ダンパーを採用しており、こちらの効果も大きく出ていると思われます。

よくBMWのエンジンフィールを表す言葉で、「シルキー」という言葉が使われます。間違ってもメルセデスのエンジンを「シルキー」と表現することはありませんが、この足の滑らかさは明らかに「スムーズ、かつシルキー」。試乗車のタイアは245幅の17インチのグッドイヤー。他にもBSトゥランザが装着される事を確認しています。

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前述したように、素晴らしく滑らかな足に比べれば、絶対的なパワーは必要十分以上なもののエンジンの存在感はさほどなく、「シャシーはエンジンより速く」というポリシーをまざまざと実感。もちろん、一時期のSOHCにこだわりを見せた迷走時代と比べれば、このDOHCの3.5Lは遥かにシャキッと回り、トルコンの滑りを意識させずにスパスパっとシフトアップする7G−トロニックとの組み合わせも好印象。通常は2速発進となり発進時は少しダルい印象ですが、ATの制御をスポーツモードにすれば1速発進となり、かったるい印象はなくなります。

ブレーキは大リコールを生み出したブレーキバイワイヤのSBCをモデル途中で廃止、新型もコンベンショナルなタイプが採用されています。そのブレーキにしろ、アクセルにしろ、可変式ギアレシオとなるステアリングにしろ、いずれも操作系は軽くスムーズ。それでも剛性感は抜群に高くインフォメーション性も理想的なのですが、欧州車らしい重めのフィーリングを期待する方にとっては、少し物足りなさを感じる部分でしょうか。もっとも、日本のタウンユースでの扱いやすさは間違いなく向上しており、速度を上げていっても頼りなさや不安感は微塵も感じられません。

デザインに関しては少し「?」な部分や迷いも感じられるものの、実際にステアリングを握ればさすが圧倒的な出来の良さとレベルの高さ。あくまでもこのミドルクラスサルーンのベンチマーク的存在である事を自負するその仕上がりは、「さすがメルセデス」とひれ伏す他ありません。趣味性や楽しさという部分で言えば真面目すぎる感もありますが、ここまでのレベルともなるとそれは贅沢すぎる要求であり、そんな意見にこのEクラスも耳を傾ける必要はないでしょう。そこは少しコンパクトなEクラスクーペや、いずれ登場するであろう2代目CLSがカバーしてくれるのでしょうから。



<レポート:岩田 和馬>
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2009年08月03日

スカイラインクロスオーバー試乗レビュー

日産からスカイラインクロスオーバーが登場しました。ご存じの通りすでに数年前から北米では「インフィニティEX」として販売されており、今回パワートレーンがアップデートされて日本に導入されました。しかしのっけからではありますが、このネーミングのセンスはいかがなものか。スカイラインベースの派生車種ではあるものの、あまりに単純で安易的なネーミングだと思わざるを得ません。スカイラインという名前にもっと重みを感じて欲しい、と感じるのは、古臭い凝り固まったコアなクルマ好きだけの考えになってしまったようです。

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頭から皮肉ってしまいましたが、クルマ自体の存在はなかなか好印象。スタイリングは先代から日本でも並行輸入で人気のFXをモチーフとしつつ、全幅は1800mmに抑えられており、日本でもなんとか許容範囲のサイズ。写真ではかなり立派に見えますが、実際は1575mmに抑えられた全高の影響もあって、グッと引き締まって見えます。大径タイアを履きつつ、スカイラインよりホイールベースが50mm短い事もあり、最小回転半径は2WDモデルで5.5mに抑えられているのも、取りまわしの際有利に働きそうです。

また、このクラスのSUVではBMWと日産だけとなる、FRベースのプロポーションの良さも魅力の1つ。線だけではなく面のつながりと光で見せるボディラインをはじめとして、その佇まいには実に雰囲気があり、「色気」や「気品」を感じさせてくれる数少ない国産車の1台と言えるでしょう。

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その流れはインテリアにも。ベースとなったスカイラインとの共通パーツは並行ステッチでキュッと革を巻き上げられた小径ステアリングくらい。この質感の優れたステアリングと7500rpmリミットのタコメーターがスカイラインの血筋を感じる事ができますが、それ以外では実に優雅な雰囲気。FRベースということもありドライバーズシートは広々とは言えませんが、ポジション自体はアイポイントが高い事以外はセダン的。ただ、大きめなシートはホールド性よりもゆったり感を重視したようで、クッションも柔らかめ。カチッとした硬めのシートを好む人には、この少しアメリカンなシートは気になるかもしれません。

リアシートですが、こちらもはっきり言って狭め。乗員性自体は非常に優れているのですが、178cmの自分が適切なドライビングポジションをとった状態で後席へ座ると、膝前には握りこぶしがかろうじて1つ程度。ラゲッジスペースもBOSEのサブウーハーが搭載される影響かフロアが高めで、申し訳程度の長さしかないトノカバーを見ても分かる通り、奥行きもさほどありません。広さだけで言えば格下のディアリスのほうが遥かに有利。

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もちろんこれはFRベースであり、そのスタイリングを優先した結果。セダンではなく、4ドアクーペとSUVの融合と考えたほうがいいでしょう。ゴルフバックの収納などを期待するのであれば、大人しくセダンを選ぶのが賢明です。格納だけでなく、元の状態へ戻すのも電動で行えるリモコン式リアシートの使い勝手は○。

パワートレーンは330psを発生する3.7L+7速ATのみ。相変わらずスロットルを踏み込んだ瞬間から抜群の加速力を見せ、車重アップのデメリットも性能的には全く問題なし。むしろ発進時のスロットルの早開き特性が、少し重めということもあり、まだ若干デリケートではありもののその癖が少し抑えられている印象。試乗したのはFRモデルだったのですが、4WDモデルではもう少し改善が期待できます。日本では2.5Lモデルがあれば、さらにユーザー層を増やす事ができそうですが、やはり主力は北米市場。難しいところです。

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アイドリングから図太く獰猛な排気音が室内にこもり気味となるのはご愛敬。VQエンジンもHR仕様となって以前と比べれば随分と洗練されたものの、絶対的レベルではまだまだ振動・音に関しては荒々しさが残ります。エキゾースト系や室内の静粛性は異なりますが、そのフィーリングと音はまさにZのそれ。スポーティと言えばスポーティなものの、クルマのプレミアムな雰囲気に相応しいかどうかと言われると、好みが分かれるところでしょうか。7速ATのシフトダウンでのブリッピングが気持ち良く、つい有りもしないパドルシフトを指が探してしまうあたり、いい意味でも悪い意味でも、「この瞬間が日産だなぁ」と実感させてくれます。

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タイアは225/55R18のダンロップ。M+Sではなく完全なサマータイアであるところが車のキャラクターを物語っています。乗り味はスカイラインシリーズの中ではベスト。ワインディングではさすがに少し重さとロール量の違いを実感しますが、いまでは少数派となりつつある純粋な油圧式パワステがもたらすナチュラルなステアフィールと、重量配分バランスの良さに優れたフットワークに加え、非常にたっぷりとしたサスストロークを持つ懐の深さは、まさしくこの車の真骨頂。レクサスRXやムラーノとは別次元のこのプレミアム感とスポーティさの融合は、スタイリングと並んでこのクルマの大きな魅力の1つでしょう。

ラインナップはシンプルで、標準車と豪華版のタイプP。それぞれでFRと4WDが選べます。車のキャラクターを考えれば、FRでもほとんど過不足することはないでしょう。本革シートが欲しければタイプP。特にブラウン色のインテリアは、インテリアの雰囲気をさらに個性的に演出してくれます。それを気にしないのであれば標準車でもHDDナビや運転席パワーシート、サイドエアバッグにVDCとフル装備状態。これで420万円スタートならば、内容を考えれば十分納得できるレベル。

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エコ減税ブームが吹き荒れる中、このスカイラインクロスオーバーはその恩恵を全く受けることがなく(13年以上所有車を廃車した際の25万円援助のみ)、登場のタイミングが悪いという印象は正直拭えません。また月間販売目標はたったの200台。それでもボディカラーをスクラッチシールド対応の全7色(!)設定した点には拍手ですが、一方でオプションカタログはぺらんぺらんで、スモーカーには必須的なドアバイザーも設定されないほど。エアロやボディコーティングを頼まない限りはディーラー側の取り分もあまり稼げないでしょうから、正直言ってかなり売りづらい1台ではあると思います。

しかし、冒頭にも書いた通り、国産車になかなかない雰囲気を持ち合わせている個性的な1台である事は事実。室内・ラゲッジの狭さと燃費の悪さを除けば、実際の日本での使い勝手も上々。そしてスタイリングと走りのバランスもかなり好印象。このようなウンチクうんぬんの戯言を並べるのではなく、左脳より右脳で選びたくなる1台です。


<レポート:岩田 和馬>
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2009年07月31日

レクサスHS250h その2

続いて試乗レポートです。実際は15分程度街中を軽く流しただけなので、簡易的なレポートになります事を、予めご了承願いたいと思います。

試乗車は標準仕様。大きな違いはシートがファブリックとなるくらいで、それ以外はほぼフル装備と考えて問題なし。質感に関しては標準仕様でもほぼ文句なし。これで395万円ならISよりも一般ユーザーの心は掴みやすいでしょう。

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エンジンは4気筒2.4Lにモーターの組み合わせ。車名の通り「2.4L+モーターで2.5L相当」という考えであり、やはり燃費優先のハイブリッドとしてはこちらが本質的。GS・LSやクラウンでは、もともと必要十分以上の性能をもつエンジンにモーターを組み合わせ、ハイブリッドに付属価値を求めた「パワーハイブリッド」。その強烈な加速には心惹かれる部分も少しありますが、やはり少し邪道でしょう。ゴルフは1.4Lターボ、メルセデスはEクラスに1.8Lエンジンターボを搭載するまでになっていることを考えると、ハイブリッドで闇雲に本質を見失うパワーウォーズに突入するのは少し危険。そういった面からも、今回このHSから方向転換してくれる事を願いたいところです。

サスペンションはフロントストラット、リアダブルウィッシュボーン。タイヤは標準・バージョンLが215/55R17のグッドイヤー、バージョンSが225/45R18のダンロップ。車のキャラクターを考えれば少しオーバーサイズ(特に幅)のような気もしなくはありませんが、車重は1600kgを超える重量級なのでこれくらいのキャパシティが必要となってくるのでしょう。ブレーキは前後ともにベンチレーテッド式ディスクブレーキ。


すでにお馴染みとなったレクサスのスタートメロディを聴きながらエンジンスタート。バッテリーの容量が少ない場合はエンジンが普通にかかりますが、エンジンのON・OFFに関わらず静粛性は非常に優れています。当然走行中も車内は極めて静か。モーターからエンジンへの変換もプリウス以上に分からないうちにスムーズに移行します。

エンジン・モーターのエネルギーモニターはメーター内とナビそれぞれで表示可能。ここで感じるのはプリウスとはシステム制御が大きく違う点。プリウスは基本的にできるだけモーター走行を続けようとし、バッテリーもガバッと使ってガバッと回生します。しかしこのHSは、動き出しこそモーターだけで発進するものの、バッテリー容量がフル充電状態に近くても、10〜20km/hほどですぐにエンジンが始動。エンジンだけで走っている時間も多く、EVモードを選択しない限りはエンジンがかかる時間が比較的長めです。

そのため街中をウロウロ動く程度だとプリウスはみるみるうちにバッテリーが減っていきますが(それだけモーター走行をしている証拠)、HSはほとんど変化なし。どちらかと言えばホンダ方式に近い、エンジン性能に対しモーターは細かくアシストするような、そんな印象に近いものです。

しかしながら、先述したように「2.5L相当」のポテンシャルとはいえ、アクセルを多めに開けた時の動力性能はかなりのもの。発進時にラフにアクセルを踏むとトルクステアが発生し、追い越しなどの加速力も非常に力強く感じられます。さすがにこの領域だと「いかにも4気筒」的なサウンドが発せられますが、他の速度域での静粛性が素晴らしいだけに、より目立って感じられてしまったのかもしれません。

ステアフィールは相変わらずロードインフォメーション性は薄めですが、電動パワステの違和感を上手く消し去っており、低速域から実にしっとりとした感触で好印象。ステアリングの上質な仕立てもそういった印象の良さに一役かっています。ステアレシオ自体はスローで、ノーズの動きもゆったりとした動きなので、スポーティな印象はほとんどありません。もちろん、そちらを求めるのであればISを、という事だと思うので、こういったセットアップには納得。

ブレーキのフィーリングは、特に停車寸前のフィーリングは随分と自然になったものの、ブレーキ踏み始めの減速Gの出方には少しまだ癖があります。もちろんこれに慣れてしまえば、ストロークを上手にコントロールしながら「緩く長く」というハイブリッドの独特のブレーキテクニックを実践する楽しみもあります。

少し気になったのが乗り心地。大きめの段差などの入力ではさほど気にならないものの、路面の細かな凹凸に対してダンピングが不足気味なのか、絶えずコツコツ微振動を伝えてきており、しなやかさが感じられないのが残念なところ。これはリアシートでも同様な印象でした。試乗車が300km程度しか走っていないド新車だった影響もあったかもしれませんが、おそらくはフロア剛性の振動の逃がし方に問題があるか、ダンパー縮み側の初期入力ストロークがまだ出きっていないか、聞き慣れないグッドイヤーのエクセレンスというタイア銘柄による影響か。

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いずれにしてもこの部分に関しては、洗練さに欠け安っぽい印象を抱いてしまうので、できれば機会があればダンロップ18インチ+専用サスを装着するバージョンSも試したいところ。見た目とのバランスを考えれば難しいですが、標準・バージョンLには幅はそのままにもう1つハイトを上げて、16インチあたりを履かせてもよかったかもしれません。

また、最小回転半径が5.6mと最近の車にしてはかなり大きめ。実際Uターンなどでは思った以上にハンドルが切れません。特にこのHSはプログレ・ブレビスの代替えユーザーも多いようなので、そういった方は少し注意が必要です。

プリウス大人気の中、「レクサスブランドのハイブリッド専用車」としてのこのHS250hの登場のタイミングはまさにドンピシャ。もちろん多少は前後調整があったでしょうが、長期的な新車開発でこのタイミングでこの車を登場させる事ができる「時代の読み」という点では、改めてトヨタ・レクサスというメーカーの根本的な強さを明確に感じました。

見方を変えればプリウスほど燃費コンシャスでも先進的でもなく、インテリアの質感は◎なものの、無骨なエンジンルームや足回り付近の処理、スタビリティコントロールがVDIMではなくS−VSCになる点など、レクサスの中では若干Lフィネスにアウェイ的とも言える格差や煮詰めの甘さが散見される部分もありますが、むしろこの「狭間の中途半端さ」が、「ちょうどいい」と感じられる人も多いかもしれません。

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個人的には「乗り味やドライビングプレジャー」という点では、同価格帯のISと比較してしまうと露骨な差は存在しますが、そういった事に比重をあまり置かない人にとってみれば、コンフォートな走りのキャラクター、圧倒的な静粛性とスムーズさ、広々としたリアシートとラゲッジスペースをもつHSにより魅力を感じる事でしょう。6000台近いバックオーダーを抱えているのがその証拠といえます。もちろん、エコ減税の効果もかなりあるかとは思いますが…。

クルマのキャラクターを考えれば国産ではティアナあたりがライバルとして考えられますが、いかんせん価格帯はHSのほうが完全に上。「ダウンサイジングしたいけども、プリウスはちょっとナ…」というクラウンクラスのユーザーあたりにも結構アピール度は高そうです。見方によってHSは「小さな高級車」というジャンルとも考えられるので、ちょうど代替え時期が迫るプログレ・ブレビスからの乗り換えユーザーが多いというのも頷けます。

輸入車で言えばこの価格帯だとメルセデスCクラス、BMW3シリーズ、アウディA4。VWパサートやシトロエンC5もライバルに入ってくるでしょう。インテリアを始めとする質感は、この中ではアウディA4が頑張っていますが、それと比べてもHSのほうが圧倒的。しかし走りの質感に関しては、HSがこのクラスの欧州車と同レベルに達しているとはまだまだ言えません。もちろんこれはレクサスブランド全体を通して言える共通項であり、考え方によっては「ハイブリッド」という強烈な個性的ユニットをもつHSが、むしろ一番レクサスとしてのブランド力とハッキリとした分かりやすい個性を持ち合わせている、と言ってもいいかもしれません。

気になるのは、冒頭にも書いたトヨタ「SAI」の存在。実際の仕上がりの差と価格差を比べてみなければなんとも言えませんが、プリウスの価格を考えれば、おそらく280〜320万円の間くらいでの登場となるでしょう。SAIが登場したその時に、HSの本当の評価が下される事と思います。もしかしてそれは同時に、今後のレクサスブランドの存在意義という大きな問題定義に発展する可能性も否めません。



<レポート:岩田 和馬>
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2009年07月30日

レクサスHS250h その1

レクサスから初のハイブリッド「専用」車種であるHS250hが登場しました。プリウス旋風が吹き荒れる中での「プレミアムハイブリッド」であるHS。それはレクサスの中でのポジションも今までと少し異なる出で立ちであり、また一部ボディパネルを除きほぼ全ての外装・内装部品が専用となるものの、基本的なコンポーネンツを共用する「SAI」が年内にもトヨタブランドから登場予定。そんな中、395万円〜のプライスをかかげるHSはどのようなクルマなのか。簡単な試乗レビューも含めてレポートしたいと思います。


北米には日本でいうかつてのウィンダムである「ES」が存在するものの、日本には導入なし。今回のHSが日本では初のレクサスFFセダンとなります。3サイズは4770×1785×1505(mm)。ホイールベースはプリウスと同寸の2700mm。高めの車高の影響して、実際のサイズ以上に立派に、ISより1回り大きく見えます。全幅は少し大きめなものの、国内のアッパーミドルクラスと考えれば、そのサイズはほぼジャストサイズ。

FFなのでオーバーハングが長くプロポーションの悪さは否めませんが、ディティールは煮詰められており、街中ですれ違う度に、見ているこちらが恥ずかしくなってしまうレガシィB4のような、致命的な不格好さを露呈するような事にはなっていません。画像のような薄いボディカラーで17インチだと少し車格感が欠け、かつての「トヨタビスタ」を漂わす感もありますが、18インチ+スポイラー類が装着されるバージョンSは全体的なプロポーションもまとまりがでています。

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ヘッドライトは全車LED。このあたりはLShをなんとなくイメージさせるデザイン処理。フロントグリルはコンセプトモデルでチャレンジしていた造形を今回HSにて実践。標準・バージョンLは少しテカリ具合が強調されすぎな印象で少し安っぽく感じられましたが、スモーク調となるバージョンSのほうは○。なかなか斬新でおもしろい試みだと思います。

リアテール付近は相変わらずの「クリア」風処理。LEDテールを採用するとはいえ、実際の視認性的にも、車格感を損なうガキっぽさも含めて、このハイブリッド=クリアテールという風潮はいかがなものか。プリウスにエスティマにクラウン、どれも未来的な演出によるものでしょうが、個人的には首をかしげざるを得ません。GSやLSのハイブリッドはそうではないのに…と言いたいところですが、両車近日マイナーチェンジ予定なので、ひょっとするとこの悪い流れに沿ってしまう可能性もなくはないのでなんとも言えず。

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ボディパネル類のチリの小ささや抜群に素晴らしい塗装品質、メッキモール類の質感に高さなどは「さすがレクサス」と思わずにはいられない良好な出来。ただ、他のレクサス車はナンバー灯や室内灯はLEDで統一されていましたが、今回のHSでは通常のバルブ式に。こういった点でも、いわゆる「レクサスファミリー」といった統一見解が、今回のHSで徐々に方向転換を迫られている事を少し実感する1つのファクターと言えるでしょう。

ドアを開けシートに。ヒップポイントはセダンとしては高め。乗り降りはしやすいものの、シートに収まると、アップライト気味でそのポジションはどこか少しミニバン風。空力のためかプロポーションの改善のためか、Aピラーが前進し三角窓が設けられ、キャブフォワードが強調されているのもそれを感じさせる一因です。

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シフトノブは20系プリウスのようにハンドル脇に小さく構えており、一等地にはナビ操作の肝である「リモートタッチ」が鎮座。エコ・パワー・EVモードは相変わらずボタンによる操作ですが、操作系は上手くまとまっており○。現行30系プリウスのインターフェイスの安易さが、このHSで皮肉にも証明されてしまっています。唯一気になるのは、エンジンを始動する「POWER」ボタンが、右ではなく左側であり、HSではさらに上方へと追いやられてしまった点。乗れば必ず触るボタンだけに、なぜこのような微妙な位置へとなってしまったのかは大きな疑問。

メーターは左側にパワーメーター、右側にスピードメーター。ブルーを基調としており見た目の質感は高いものの、実際運転してみると左側エコメーターの動きが少し分かりづらい印象。針の色を変更するなど、もう少し見え方を工夫して欲しいところです。

ステアリングはRXと同一品。革の質感やステッチも十分に気を配られており、こだわりが感じられるパーツ。展示車がフル装備状態のバージョンLということもあり、右手には細かなスイッチ類のオンパレード。普段触る頻度が高いのはミラースイッチくらいでしょうが、この難雑さはせっかくのリモートタッチを応用して、どうにかならないものかと首をかしげてしまいます。

ついそう思ってしまうのは、リモートタッチの出来の良さ故。RXと比べてインパネに対してコントローラーが傾斜する格好で装着されているおかげで、操作性の良さは格段に向上。マウス感覚で直感コントロールできるこの分かりやすさは、BMWのiDriveを始めとする遠隔インターフェイス類とは比べモノになりません。幾分解消傾向とはいえ、いまだに分厚い説明書と格闘し慣れるまではスムーズに操作できないものから比べると、このリモートタッチはPCを普段使っているのならすぐに慣れる事が可能でしょう。欲を言えば親指での選択のクリックボタンが少し押し辛く感じる時もたまにありますが、さすが後出しなだけあってよく考えられています。

これからの課題は、このリモートタッチをナビだけでなく、オーディオやエアコンの操作系とも統一的に操作できるようにすることでしょうか。相変わらずインパネ上にはスイッチが大変多く、整理整頓されている印象はありません。「スイッチが多いほど高級っぽい」というのはもう古臭いインテリジェンスです。

8インチ式の大きなポップアップ式のモニターも視認性は抜群。普段はキレイに格納され見栄えもよく、昨今の「カーナビありき」でデザインされたインテリアのような野暮ったさは感じません。このモニターの動作のスムーズさを含めて、インテリアの質感はさすがの一言。プリウスなどと比較すると一番大きな差を感じるのはまさにインテリアであり、この出来を考えればその価格差分も十分納得。なにも価格の安さだけでプリウス購入を決めた人だけではないでしょうから、長すぎる納車待ちに嫌気をさしてこのHSへ鞍替えするユーザーの方も少なからずいることでしょう。

バージョンLでは本革シートが標準装備。今回のHSではその実際の生地の差よりも、インテリアのカラーを様々チョイスできるという優位点の方に心惹かれる部分があります。画像は地味なグレーの本革ですが、キャメルイエローやタンのシートカラ―はかなりのヴィヴィッドさ。こういった「トヨタではできない」チャレンジングな多彩な組み合わせができるのもレクサスならではと言ったところでしょう。

プロポーションはどうしても鈍臭くなるものの、FFのメリットが大きく表れるのはその居住空間。レクサスの中ではクーペ的なISはもちろんの事、GSよりも広々ゆったりとしたリアシートの居心地というのはHSの大きなセールスポイント。絶対的なレベルでいえば平均的ですが、セダンとしては少し疑問なISのパッケージングから比べると隔世の差があります。

HV車の宿命ともいえるラゲッジスペースに関してですが、こちらも「HV専用車」という強みか、容量的には十分。確かに奥行きは短めではありますが、バッテリーは奥下へグッと押しやられており、スクエアなスペースは使い勝手も良さそうで必要十分以上のスペース。ゴルフバックも楽々収納可能で、これなら大きな不満は出ないでしょう。これもFFだからこそのメリットと言えます。

posted by 親方 at 04:38| Comment(5) | TrackBack(0) | 岩田和馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月28日

最新フェラーリ速報「F458イタリア」

注目のフェラーリF430後継車の画像が公表されました。ずばりネーミングは「F458イタリア」。おそらくフランクフルトショーあたりで正式発表されるかと思います。モデナ、フィオラノなどの地名をサブネームとして使用していましたが、今回は堂々と「イタリア」。その真意のほどは?とりあえず今回判明したスタイリングから。

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インテリアもしっかり作り込まれており、一部や細部を除けばおそらくほぼこのまま市販となるのでは。パッと見目を引くのは、ヘッドライトに埋め込まれている最近流行りのLEDライト、355・360モデナ・430と比べてもグッと低く構えて見えるプロポーション、強烈な印象を与えるセンター3本出しマフラー。丸目片側1灯のテールライトは昨今のフェラーリのデザインアイデンティティ。

しかし、当然ミッドシップながら、サイドのエアインテークがない点は、この画像が本当に市販化されるものかどうか、少し疑問を感じてしまう部分。リアのダウンフォースを生み出すディフェーザーもより強調された形になり、ミッドエンジンフェラーリ共通の欠点である「エンジンルーム内の熱の逃げの悪さ」も、テール部分やマフラー横に設けられた大きな開口部によって改善されている事が伺えます。相変わらず純正でも非常にカッコいいホイールの奥に見える超大径のローターは、もちろんカーボン仕様。

エンジンはネーミングから予想をするに、排気量はさらに拡大されるであろうV8。先日カリフォルニアに搭載された直噴仕様になるのは確実でしょう。ポルシェに続き、フェラーリのエンジンも直噴化が進みます。ギアボックスも最新式のディアルクラッチ仕様が組み合わされる可能性が濃厚。

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個人的には、F355を頂点にして以来、モデナ、F430、599、612スカリエッティ、そしてカリフォルニアと、全く購入できる身分でない事は重々承知しながらも、そのスタイリングは例え実車を間近で見ても、イマイチ琴線に引っ掛かるものではありませんでした。しかし、このF458は…。どこか小さなイタルデザインのモックアップのような感もありますが、写真からは久々にドキドキした感じが伝わってくるフェラーリというのが第一印象。この世界的な不況もなんのその、正式発表後は即人気車になることは、このF458もその例に漏れる事はないでしょう。




※追加情報が確認できたので、紹介したいと思います。
エンジンはやはり直噴で、さらにスケールアップされ4.5L。ギアボックスも7速ツインクラッチタイプ。車重は70kgも軽くなっており、1400kgを下回っています。

そしてエンジンパワーは、500psの大台をラクラクと超え…なんと、570ps。430比で+80psアップし、リッターあたりの出力はなんと127psという、NAエンジンにしては驚異的なポテンシャルを発揮しています。加えて、エンジンのレッドゾーン開始は9000回転。直噴仕様で燃費や排ガス性能が向上されつつこの性能。

インテリアの画像も確認できましたので、掲載しておきます。

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<レポート:岩田 和馬>
posted by 親方 at 22:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 岩田和馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月05日

改めて、トヨタiQに乗る

前回のレポートは100G“レザーパッケージ”でしたが、今回テストした車両はベースモデルの100X。プッシュスタートが省かれ、オート→マニュアルエアコンとなり操作パネルも変更。シート形状も同じなものの表皮の質感は「並」。サイドエアバックとVSCはベースモデルでも標準ですが、これで140万ははっきり言って割高。iQを選ぶならばやはりG以上のグレードをチョイスするのが賢い選択でしょう。

さてインプレッションのほうですが、タウンユースの速度域での印象は前回お伝えした印象とほぼ同じ。絶対的なパワーよりも、その安っぽい振動と音質に問題アリのエンジンフィール、圧倒的な小回り性能の良さ、それに対しミラーtoミラーが2000mmを超えるという事ですれ違いなどでは案外気を遣う点など。

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しかし相変わらず素晴らしいのはステアリングフィール。キャスター角を始めとする特異なサスペンションジオメトリー、ステアリングユニットをデフの上に置くというiQならではの構造など、これらによってもたらされた、副産物的なしっとりかつ接地感のあるフィーリングは、このセグメントでは望外の素晴らしいもの。ボディサイズを意識させない走りの頼もしさを感じるのも、このしっかりとしたステアフィールによるところが大きいでしょう。

今回はロングランということで、ハイペースのワインディングや高速セクションを試す事もできました。そこで気づいたのはブレーキの特性。少し強めのブレーキングではリアの落ち着きがなくなる傾向が早めに出てくるようで、思っていたより唐突にスタビリティが失われがち。全幅が広く普段はどっしりとした走りを見せてくれますが、こういった場面では「全長3m以下」という特異なディメンジョンのデメリットが顔を出します。そのためか、ブレーキもストロークが長く初期の制動が甘め。こういった癖には慣れるまで少し時間がかかるかもしれません。

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高速域の動力性能はさすがにNAの軽自動車+αレベル。効率的にパワーを引き出せるCVTのおかげで巡航時の回転は抑えられるものの、合流地点や追い越しなどでは、アクセル全開6000回転をキープして68psをフルに発揮させる機会が多くなります。

意外だったのはその時の静粛性。高速セクションではこのクラスのコンパクトとは思えない程静かで、ロードノイズ、風切り音、6000回転キープでも車内で普通にパッセンジャーと会話可能なレベルです。むしろ1200〜1500回転域での不快な微振動と安っぽいノイズのほうが気になるほど。

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ここでも称賛したいのがステアリングフィール。ステアリングの落ち着きの良さと抜群の中立性によってもたらされる直進性の高さは、それこそパッソやヴィッツとは比べ物になりません。この短いホイールベースでは横風や路面のアンジュレーションの影響を受けやすいものの、ステアリングから伝わる安心感は非常に高いものがあります。

絶対的なパワー感はないものの、追い越し車線のアベレージを保つ事も容易。先述したようにブレーキ時の挙動には注意が必要ですが、高速域での外見からは想像も付かない安定感は、最大のライバルであるスマートに対する大きなアドバンテージと言えるでしょう。

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またワインディングでは、その独特のディメンジョンの特長を実感。ステアリングギア比は結構クイックな分類で、エコタイアであるBSエコピアとのグリップバランスもちょうどよく、先述のしっとりとしたステアフィールとも相合って、軽快にコーナーをクリアしていきます。

ただその時のロール量はしっかり抑えられているものの、ストローク感があまりなく、例えるならばどこか背筋を伸ばして「気を付け」をした状態で曲がっていくような挙動。またリアタイアの接地性を常に感じながら走れるのも、この超コンパクトなiQならではの感覚と言えるでしょう。

今回様々なシチュエーションで1000キロ以上をこのiQと共にしましたが、実際の街中での取り回し性の高さだけでなく、シティコミューターだけにしておくのはもったいないと思える程の優れた操安性には、少し感服するものがありました。

いまいちパッとしないエクステリア・インテリアに、ガサツで安っぽいエンジンフィールなど、改善点を上げればキリがありませんが、地味で代わり映えのしない国産車・またはトヨタの中では、なかなか見どころのある面白い1台と言えます。あのアストンがトヨタからOEMを受けるなんて、と思う方もいるかもしれませんが、ただ単に「所詮トヨタ」「スマートのパクリ」と片付けてしまうのは早計です。

そのiQは、近日バリエーション拡大予定。注目は1.3L仕様の追加。パワー・トルクが増強される事はもちろんの事、3気筒独特のフィーリングが改善されるだけでも期待大。モード燃費も1Lモデルと変わらないようです。

今回は高速セクションが中心で平均車速は高めでしたが、その時の燃費が約17km/L。状況によってはむしろ1.3Lのほうが良い時もあるかもしれません。惜しむべきは、この1.3Lの組み合わされるのはCVT。ここは是非5速MTを期待したかったところです。また同時に、2シーターバージョンなど、ラインナップを今後重視していくようです。

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もちろん、さらなるバージョンアップ仕様やiQベースの派生車にも期待。またアストンがこのiQをどう仕上げてくるのかも非常に楽しみです。プリウスが騒がれる昨今ですが、もう1度改めてこのiQが持つ本来の魅力と楽しさを見つめ直す機会があってもいいのではないでしょうか。


<レポート:岩田 和馬>
posted by 親方 at 23:26| Comment(4) | TrackBack(0) | 岩田和馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月01日

改めて今、iQについて考える

昨年末トヨタから鳴り物入りで登場し、「当確」とも思われていた日産GT−Rをひきずり降ろし、まさかの「一般市場発売前」でCOTYを受賞したトヨタiQ。発表されていた時点でエントリーは可能であり、受賞資格はあったものの、その流れは傍から見ると少し疑問を拭えない展開だったのは、記憶に新しいところです。

しかしその後はやはり販売は順調とは言い難く、またプリウスが205万円という価格破壊を行った今では、このサイズとセグメントで140〜160万円の価格設定も少し厳しい印象。レクサスブランドで売るならまだしも、ネッツ店でヴィッツと並んで売られてしまえば、やはり特殊性が目立ってしまい敬遠される傾向にあるようです。

それでもトヨタはこのiQには熱心で、近々欧州にある1.3L+6MTのスポーティ仕様の導入が噂されたり、iQのプラットフォームを使って入門用小型スポーツカーを開発中と報道も。

そして先日驚いたのが、イギリスの名門スポーツカーブランド「アストンマーティン」へのOEM配給決定のニュース。これは新聞の経済欄などにも取り上げられて報道されました。名前は「アストンマーティン シグネット」。

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今現在公開されているのはこの画像1枚のみ。ベースは紛れもなくiQながら、アストン独自のデザインアイコンが巧みに取り入れられ、なかなかどうして非常に風格がある「ミニアストン」なスタイリングに。このフロントマスクだけでも全く印象が変わってきます。それは同時に、ベースに「トヨタ」iQが、いかに鈍臭いセンスでまとめられてしまったのかを表すとも言えてしまいますが…。

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そういうわけで次回のレポートでは、多方面で今後注目すべきトヨタiQを、改めて検証してみます。登場時には本当に短距離しか乗れませんでしたが、今回は1000kmを超えるロングドライブに連れ出し、様々なステージで走ってみることで見えてきたこのクルマについて、改めてインプレッションをしてみたいと思います。


<岩田 和馬>
posted by 親方 at 00:28| Comment(3) | TrackBack(0) | 岩田和馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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