2010年09月26日

マツダ新コンセプトカーから、次世代Sportsの可能性を探る。3 〔RX−8試乗レポート・後篇〕

ツイッター、随時更新中!
フォローして頂ければ幸いです。
もうすぐ200フォロワー!


http://twitter.com/kazuma_iwata





前篇続き…

以前ここでコペンやCR−Zの比較対象にロードスターを引っ張り出してきましたが、その時に乗ったMTモデルはもちろんのこと、ひょっとしたら力感はATにも少し劣っているくらいかも…車重の差を考慮したとしても、今回乗った215ps仕様のNAロータリーに乗った偽らざる感想です。

もちろん、235ps仕様の6速MTなら少し印象が違ったかも…とも思えますが、こちらも少し以前のベストモータリングで取りあげられた際に、筑波サーキットでS2000はもちろんのこと、レガシィB4やクラウンにまで遅れをとるという(結果がクラウンアスリートの勝利という大番狂わせでしたが)、これが「数値上」でのRX−8のポテンシャルの現実ということになります。

P5280848.JPG

おそらくこれが、「ロータリースポーツ」であるRX−8の運命を決めてしまったのかもしれません。「想像よりも速くない…」否、「スポーツカーとして見ればはっきり遅い」という事実。個人的にはそれが決定的に悪いとは思いませんが、「スポーツカーは速いだけじゃないんダヨ」という事を示すロードスターよりも、遅い、現行マツダのフラッグシップスポーツという現実は、やはりいささか物悲しいものがあります。

しかしこの気持ちいいフィーリングだけどパワー感がないエンジンとは違い、シャシーの懐の深さは圧倒的。まず動き出しから感じるのがその乗り心地の良さ。テスト者は225/50R17サイズのダンロップを装着していましたが、タイヤの当たりの硬さは全くと言っていいほど感じず、また速度を上げていくほどフラット感が向上していくこの足の良さは、高速グランドツアラーとして使っても全く不満がでないでしょう。乗り味だけでいえば、それこそアテンザよりも快適な分類に入るかもしれません。

010.jpg

そんなしなやかなサスセッティングを持ち合わせつつ、ワインディングに持ち込めば、とにかく俊敏かつ軽快な印象を抱かせてくれます。これぞロータリーの真骨頂か?軽量かつコンパクトなおかげで持ちあわせた前後重量配分の良さとフロント慣性の少なさ。ブレーキは構造だけ見れば決してスポーツカーらしいとは思えない一般的なシングルポッドながら、ブレーキング時の4輪がヒタッとと沈み込み、抜群の制動力を披露してくれるので、どんどんブレーキで詰めていける楽しさはまさにスポーツカーの真髄。FRらしい鼻先の軽さと路面変化を的確に伝えてくれるステアフィール、少しオーバースピードで侵入しテールが流れ始めても、もともとのロングホイールベースのディメンジョンのおかげで、自分のような素人でもスッと立ち直らせられる懐の深さ…

先ほどのパワー感の欠如と相まって、完全にシャシー性能がエンジンパワーを超えた領域にあるこの感覚は、逆に言えば今の現行NCロードスターで少し失われつつある「ほどほどの扱える性能」「人馬一体」を、RX−8でより具現化しているのかも…そう思えば、先ほどの物悲しさも個人の杞憂の範囲で済みそうです。

009.jpg

さて、高速でのGT性能やワインディングで気持ちよく走り回った分の代償は…ということで、気になる燃費チェック。今回約200km走行し、33L弱のハイオク消費。満タン法で燃費を計算すると、6km/Lをなんとか超える数値でした。後半は元気よくアクセルを踏んで楽しんだ事を考えると、ロータリーならば望外に良い数値…なのかもしれませんが、昨今HVでない純粋なレシプロエンジン車の劇的な燃費改善を考えれば、少し厳しいものが感じられるのは事実。「スポーツカーに燃費なんて!」「性能を考えれば他車種と比較してそれほど悪くない!」かもしれませんが、やはりロータリーが今後生き残るためには、さらなる抜本的改良が必要である事を切に感じさせられます。


と、ここまでいろいろ書きつつ、燃費に関しても、それがこのロータリーのフィーリングを味わうための代償で我慢…というところまでは納得。しかし、最後にもう1つだけ。今年の猛暑は近年にない強烈なものでしたが、この夏にRX−8の室内でドライビングを楽しむ事は「酷」の一言…実は今回一番厳しく感じられたのが、夏場の車内温度の上昇に関して。

できるだけ良好な重量配分を実現するためにギリギリまでフロントミッドに近づけられたエンジン、ミッション、それらの熱が全て遮断し切れずにセンターコンソールを通じて車内へ伝わってくるのは、35度を超える猛暑の中ではさすがに厳しいものがありました。もちろんエアコン自体は大変良く効くわけですが、体に直接触れる部分が常に熱い「カイロ状態」ではそれも無意味。少しでも走りを楽しむべくエアコンを切ったのなら…それこそまさに車内サウナ我慢大会となります。もちろん、スポーツカーにそんな事邪道だ!と言われれば元も子もありませんが、ふと振り返るとそこには大人がもう3人移動できるスペースと、快適な乗り心地があるのです。なにも走りだけで我慢を強いるならば、4人乗りもフリースタイルドアも必要ない。ここが、RX−8の抱える矛盾点を一番確実にあらわしているのではないでしょうか。

005.jpg

テスト後、このRX−8の良い点悪い点について自分自身冷静に振り返ってみました。ロータリーでしか味わえないフィーリング、とくに下りのワインディングを7〜8割で流すように走っている時の気持ちよさと言ったら、自分も22にして様々なクルマを試す機会を与えてもらっていますが、間違いなくその時の記憶はこれからもトップランクとして自分の中に刻まれると言ってもいい爽快さでした。そしてなおかつ大人4人と荷物を積んで、快適にロングドライブを楽しめる。これほど素晴らしい性能を持ち合わせているクルマは他に例を見ません。

しかしながら、欠点を見ていくと……。燃費、パワー感の欠如、車内温度の遮断性の悪さ、維持費……RX−8の最大のアピールポイントはロータリーエンジン搭載車であるということ、それが最も優れた長所であるのと同時に、唯一かつ最大と言っていい欠点である……これが今回RX−8をテストした正直な感想です。得るものがあれば失うものがある、のは当然ですが、やはり「ロータリー」と「4人乗りスポーツカー」というコンセプトの両立は、登場7年たっても以前両者に大きなズレが残ったままとなっています。誰もが夢見たコンセプトかもしれませんが、エコカー減税旋風吹き荒れる中での8月の販売台数は、わずが40台程度…50台以下、1日全国で2台売れればいいほうというこのセールスが、それをさらに裏付けているのかもしれません。このクルマがナビ付でも楽々300万円以下で買えるというコストパフォーマンスの高さは、ロードスターの比ではありません。

P5280831.JPG

やはり、FDでこそREは輝き受け入れられ、エイトのコンセプトがもしレシプロエンジンで実現できていたら…、この大きく時代が移り変わろうとしている今、この孤高のロータリースポーツを試して、べらぼうに楽しいのになぜか素直に喜べない自己矛盾に苛まれて仕方がありません。

そこで期待したいのは、13Bに取って変わる後継機と目される「16X」の存在。今徐々に「衝撃」が広がりつつあるSKY−G、SKY−Dのように、革新的技術で内燃機関の可能性をさらに感じさせてくれる、16Xならぬ「SKY−R」の存在はあるのでしょうか。マツダの社運を掛けたロータリー47士、オイルショックを乗り越えSAの登場、そして787Bのルマン制覇…世界に誇れる日本の自動車産業の中でも、これほどストーリー性にあふれたユニットはそう存在しません。今このエイトのユーザーも、色々な不満点がありつつも、唯一無二の存在かつ、これらの過去のストーリーに心酔してロータリーを応援している気持ちの方もいるはずです。今クルマの走りに一番真面目に取り組んでいるマツダ。次世代ロータリーユニットを搭載した魅力的なスポーツカーが登場すれば、きっと自分もオーナーへの憧れを現実にしようと動き出そうと思ってエールを送りつつ、今回のレポートとさせてもらいます。





突然ですが、今回のこの更新をもって、この場でのレポートの更新を終了させてもらいます。今まで2年半の間、様々な経験をさせて頂き、未熟な文章に対しての様々な叱咤激励は、全て自分の金言として心に刻まれています。大変な事も多かったですが、この場を借りて感謝をさせて頂きたいと思っています。本当にありがとうございました。


posted by 親方 at 21:34| Comment(5) | TrackBack(0) | 岩田和馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは
マツダ車の走りのポテンシャルが素晴らしいため、自分自身、是非ともRX−8に乗りたいと思っていました。(一度レンタカー予約をしたのですが所用で断念・・・)

レポートを読んで、RX−8のポジとネガがとても良くわかりました。自分で乗ったような印象を受けました。物事は何でも得る物があれば失う物もありますが、クルマというのは、本当に奥が深く難しい物ですね。

マツダとスバルは、日本自動車業界のお宝です。個性を大切にしながら、本当に頑張って欲しいと思っています。

それから別件ですが、最近出版された「クルマで旅するマガジン」のVol.3に、投稿が掲載されました。これは車中泊をはじめとして、クルマの生活提案を載せている雑誌です。(最近増えてきましたね、この方向性の雑誌)
自分の投稿もたわいもない子ども達とのGW旅行の様子ですが、こういう情報共有も大切だと感じています。良かったら読んでみてください。
Posted by アミーゴ5号 at 2010年10月05日 13:14
アミーゴ5号さん>

ぜひ1度機会があれば試乗してみてください。良い部分悪い部分もありますが、やはり個人的には素晴らしく誇らしい1台だと思えました。

最近軽キャンパーやフリードスパイクなど、車中泊に俄然注目が集まっていますね。ぜひとも書店に行って確認させていただきます。情報頂きありがとうございます。
Posted by 岩田 at 2010年10月06日 13:56
>突然ですが、今回のこの更新をもって、この場でのレポートの更新を終了させてもらいます。

ええっ、岩田君のレポートいつも楽しみにしていたのでびっくりです。いったい何が・・・(頑張りすぎてオーバーヒートか? 最近のレポートチカラ入ってたし)。

状況がさっぱり分からないのでコメントしずらいのですが心から一言「メーカーに媚びない魂のレポート楽しかったぁぁぁ、ありがとう!」





Posted by 矢野 at 2010年10月06日 18:42
あれ?
コメントが消えていたので追記です。

これまで、レポートありがとうございました。最後のレポートは、特に真に迫った内容でした。
閉店の事情はわかりませんが、岩田さんのクルマ魂は、多くの人が認めるところです。これからも頑張ってください。
気が向いたら、みんカラにも遊びにきてくださいね。
Posted by アミーゴ5号 at 2010年10月07日 12:43
コメント頂きましてありがとうございます。

新しく試乗記ブログを開設しました。これからはこちらのほうで自分のペースで頑張っていきたいと思いますので、よろしければまたご訪問していただければ幸いです。また今後ともよろしくお願いします。

http://minkara.carview.co.jp/userid/863693/blog/

Posted by 岩田 at 2010年10月09日 11:39
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。