2010年06月04日

新型パッソ試乗レビュー

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トヨタのパッソに試乗する機会があったのでレポートしたいと思います。テスト車両は売れ筋と思われるベーシックな1.0LのX。ボディカラーはどれも特徴的な名前がつけられていますが、この色は「キナコメタリック」という薄茶色。

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ボディサイズは先代から全長が若干伸びただけで、全幅も5ナンバー枠いっぱいではなく1665mmに抑えられました。最小回転半径は13インチ仕様で4.3m、またピラーの形状最適化やサイドのウエストラインが下げられた事により、解放感や視界の良さは抜群。まだ運転に慣れていないビギナー層に喜ばれそうなポイントです。愛嬌たっぷりの大きな明るいヘッドライト、またLEDのリアテールもポジション時とブレーキ時の点灯場所が異なっており、後方からの視認性も良くなっているのは○。

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インテリアは直線志向でシンプルにまとめられており、先代に比べて格段に質感が向上しています。小物入れの数、形状も使い勝手よく考えられており、ダッシュボードが低いおかげで閉鎖感もなし。ただそれはあくまで先代比であって、同クラスコンパクトと比較すれば、価格なりの出来。しかしながら開発コンセプト自体そこを狙っているのでしょう。「チープだけどオシャレ」という目的は達成できているように思えます。

シートはイマドキ珍しいヘッドレスト一体型のハイバックタイプ。しかし見た目よりはサイズもサポート性も結構マトモで、「+Hana」のヘッドレスト別体ベンチシートよりも、むしろ好印象。しかしながら女性ユーザーの事を考えるならば、シート座面やベルトアンカーの調節は欲しいところです。

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さて走った印象は、まず1,0L3気筒エンジンのフィーリングは幾分改善されたように思えます。プルプルとした微振動や「いかにも」な安っぽい排気音も無視できる範囲ではないものの、かなり抑えられた印象。とはいえ、プレミアムコンパクトを謳うiQならば難癖をつけたくなるものの、このパッソの雰囲気とポジションを考えれば、この3気筒のフィーリングとのミスマッチさも感じられません。また、先代の4速ATからCVTと変わったおかげで、限られたパワーをさらに無駄なく有効に使えるようになり、900kg+αの軽量な車重に対して必要十分な動力性能。価格的にもグッと高くなる1.3Lの存在意義は全く感じられない、と言いきってもよいでしょう。燃費も高速6割一般道4割、渋滞にも遭遇しエコランをほとんど意識しなかったのにも関わらず、19km/L台と実用燃費はかなり良さそうです。

ハンドリング、乗り心地、ステアリングフィール…云々は、このパッソに関しては多く語る必要のないクルマ、かもしれません。ハンドルは軽く、ブレーキもよく効き、女の子が運転しやすいと感じる要素は確実に抑えています。逆に言えば、クルマ好きの心をくすぐるような乗り味や楽しさは皆無。軽量コンパクトで数値以上によく走るだけに、それらを押さえていればとても面白い素材になるのに・・・と思ってしまいますが、これもある意味マーケティング重視の超現実主義「車」としての役目はキチンと果たしていると言えます。

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ただ1つ、タイアサイズに関してだけは注文を。今時いくらコンパクトとはいえ軽量とはいえ、155の80扁平の13インチはあまりにキャパシティ不足。別にスポーティな走りを意識しなくても、ちょっと速いペースで曲がるとすぐにド・アンダー、そしてちょっと素早いハンドル操作をすれば、リアがズルッとスライド。やはり最低限のスタビリティを考えれば、オプションの14インチタイアは装着しておきたいところです。7万円少々でVSCを装着すれば14インチはセットで付いてくるだけに、こういった運転に関心のない女の子に多く選ばれるクルマだからこそ、ぜひマストでお勧めしたいオプションだと言えます。

こういったパッソ・ブーンのようなクルマは、クルマや運転に全く関心はなく、けどもナノイーという言葉には反応する…そんな女の子に気に入ってもらえるかどうか、それが全てなのかもしれません。そういった透き間ポジションにも抜け目なくラインナップする事ができるのが、トヨタ…または日本車独自の強みなのかも。ただ確実に勢い迫る中国車などの脅威を考えれば、こういった日本が得意とするクルマ作りだけでは生き残っていけないのかもしれません。アジア市場をも視野に入れる割安な層をいくのか、それともVWポロを代表する欧州プレミアムコンパクトにも勝負していくのか…もうすぐ登場予定の新型マーチ、次期ヴィッツ、フィットハイブリッド………今後の日本車の明暗を分けるのは、このクラスでどういった舵取りをしていくのかにかかっているのかもしれません。


posted by 親方 at 01:34| Comment(6) | TrackBack(0) | 岩田和馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
再廉価モデルというポジションを考慮して歯に何か詰まったような書き方や、及第点センスをを下げた上で褒め称えるパッソ試乗記が多い中で、相対評価対照群を明記したレポはとても見やすかったです。

Posted by しげ at 2010年06月04日 03:46
このパッソの安直な造りは、トヨタ自身の確信犯的戦略から来たものであることを小生としては読んでいる。
言ってみれば、2011年頃に登場の本格的欧州戦略車・次期ヴィッツとの住み分けを明確にしようという魂胆なのだろう。
走り・ハンドリングはなるほど50点主義でも、ナノイーイオン発生のエアコンを装着しているし、内外装共に悪趣味ではないだけに所期の目的は達成させられているのだろう。日本の市街地程度の速度域で使う分には決して危険ではないし、中国製や韓国製の訳の解らん(失礼!)小型車よりはるかに安心できるというのはうなずける。
しかしこれほどターゲットユーザーを見切ったクルマも珍しい。低速でのトロトロ走行に的を絞った若いOLさんや地方のキャリアウーマンのお嬢さんがたにはこうした走行特性はぴったりなのだろうが、一家に一台のオールラウンダーとして見た場合率直に言ってカタワだし、ある種の豪華版軽自動車(スズキのワゴンRスティングレイ、ダイハツのムーヴカスタム等)の方がずっと安心して高速を走れるのも確かだ。
トヨタ自身の事情としては、本命ヴィッツの引き立て役が必要ということもあろうが、パッソを買うに当たっては「街乗り専用」という割り切りが必要に違いない。
PS
小生自身は2004年式ヴィッツ1300U-L(74660km走行)を目下愛用し、併用している2009年式レクサスIS350よりも遥かに多い稼働率を示している。実際、購入後2-3万キロまではその87ps/11.8kgmのエンジンをブン回してサーキット走行を行い、時速160-170はざらという乗り方をしておりました。何よりアクセル全開で最高速184.75km/h(6500rpm)を記録し、その後アクセルから足を浮かせると徐々に速度が伸びて(CVTのOD相当のモードに入ったためと見られる)190.68km/h!!を記録してリミッターが効いたことも一度や二度ではありません。問題はこうしたCVT仕様のコンパクトカーとは信じ難い駿足ぶりもさることながら、そうした過酷な乗り方をしても「手抜き」が言われる日本仕様ヴィッツの足回りも決して破綻はきたさず、千鳥足なりに最後まで路面を支え続ける寸法で一度もジャッキアップ現象など示さなかった点はトヨタ側もヴィッツは世界戦略車として一定の哲学に基づいて譲れぬ一線を守っていることが伺えます。「コストダウンの塊」といわれた初代SCP13系ヴィッツにしてこうなのだから、三代目として来年に登場の公算が大の次期ヴィッツなどたとえ国内向けであってもVWポロやプジョー207など本場のコンパクトと互角の動的品質・一次安全性を持つのでは?という予感もできるほどです。
そうした「看板商品」ヴィッツを擁するトヨタとしてはパッソ側に「ワーゲンとヒュンダイ・アトスほども違う動的品質」を計算に基づいて持たせてあることは想像に難くないですが、パッソ自体セカンドカーかコミューター需要以上の市場を持ちうるとはかなり考え難く、その意味ではトヨタの試算通りなのでしょうか。
Posted by 真鍋清 at 2010年06月04日 15:12
私もアムラックスで45分の一般道試乗をしてきましたが、ゲタがわり(言葉は悪いですが)の車だと思えばそれなりで悪くないかなと思いました。同じエンジンとCVTを積んでいるヴィッツの1.0に比べて発進時の飛び出しが抑えられているのは好印象でしたし、レポートにもあったように視界もよくセパレートシート車のポジションもそんなに悪くない。先代では日常域でもやや効きが甘かったブレーキも良くなったと思います。ただ、シートリフターやベルトアンカーはちゃんと装備すべきですし、リヤシートも着座姿勢は相変わらずひどい。VSC&TRCは新たに設定されたもののサイド&カーテンエアバッグも結局オプションのままで、1.0Xだとリヤワイパーすらない。果たしてモデルチェンジする意味があったのか。「売れるからこれでいい」ということなのでしょうが、110万円とはいえあんまりじゃないかと思います。知り合いでこの車を買おうとする人がいたら、老婆心ながら「スプラッシュあたりにした方がいいよ」とアドバイスしたいところです。

ヴィッツとの関係を考えるトヨタとしてはこれでいいでしょうが、ダイハツはこれをアジアやヨーロッパで販売していかなくてはならない。レポートでもご指摘のように、新興国を視野に入れた路線をいくのか、ポロを代表とする欧州プレミアムコンパクトとも戦うのか、もっとはっきりさせた方がいい(車を見る限り前者なのかなと思いますが)。+Hanaなどああいうあざとい装飾などやめて、やるなら(もちろん安全面など基本は抑えたうえで)エッセぐらいとことんシンプルにやってほしいと思いました。
Posted by ty at 2010年06月04日 21:05
面白い記事でした、が、タイヤサイズの一件はちょっと気になりました。個人的には、この車、もっとタイヤサイズが細くてもいいなと思ったものですから。太くなれば、それだけ燃費の面でも悪さをすると思いますし、回転半径もコンパクトカーらしくないサイズになってしまいます。
この車の性能を左右しているのは、タイヤの太さうんぬんより、燃費偏重のタイヤの特性のような気がします。
Posted by どうも at 2010年06月26日 07:15
お返事遅くなり申し訳ないです。

しげさん>
ありがとうございます。最初からなんとなくは分かっていましたが、クルマ好きの基準で評価するとどうしても厳しい意見しか出てこないクルマかもしれませんね。そういった声を普段全く聞かない人がユーザー層かもしれません。

真鍋清さん>
毎度細かく丁寧なコメントありがとうございます。1つ1つ全て目を通しておりますが、個別にお返事できずに申し訳ありません。

もうするISがイヤーチェンジを受けますね。その際、IS350Cが設定されるとの噂もあるようです。

豪華版軽自動車のほうが安心、というのは同意見です。もっとも燃費などを考えた場合にも逆転してしまうかもしれませんが…排気量ダウンサイジングが叫ばれる昨今、改めて660ccという排気量を見直してみる時期なのかもしれません。

そして性能に関してですが、個人的にはA〜Cセグメントの車に関しては、特殊なクルマを除き加速力や最高速はあまり絶対的な基準基層を持たないと考えております。確かにヴィッツでもフィットでもノートでも、条件がそろえばリミッター発動は十分に可能でしょう。しかしそういったところで競争原理は、私は微々たる差だと思っています。公道でジェントルに走る一級品スポーツカーをブチ抜いても、相手は当然本気ではないから、自らの車のポテンシャルの高さを表しているとは言えない、と考えます。

そういったところでしか得られない動的質感を、持つか持たないか。次期ヴィッツに課される難しい方向性の選択でしょうね。
Posted by 岩田 at 2010年07月22日 00:49
tyさん>
確かにそうですね。基本はしっかりと進化しているのに、トヨタで一番安いクルマという位置付けをするがためにこういう出来になってしまう。クルマが好き、運転が好き、ならスプラッシュでしょう。私もそうです。笑

マーチが登場しましたが、あちらもシンプルでいくのかプレミアムでいくのが、揺れが感じられました。そろそろモデル全体を通しての方向性を明確に打ち出すべき時期でしょうね。

どうもさん>
コメントありがとうございます。

確かにタイア銘柄に関する部分も多いと思います。ただ、155の80扁平でまともなタイア選択肢がないという実情も浮き彫りになってきます。
やはり165/70R14くらいのサイズを最低限のスタビリティを確保するには必要で、その中からこのパッソに合った銘柄チョイスをするのがベターだと考えます。
Posted by 岩田 at 2010年07月22日 00:54
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