

動力性能から見ていくと155馬力の1.4リッターターボといえども、車重が1240kgと意外に重いこともあって、アバルトという名前から浮かぶちょっと荒っぽそうなイメージからすると扱いやすさはありますが、やや大人しい加速感です。音も特にドラマ性を感じさせる部分はなく、全体的には想像よりは普通かなという印象。しかし、ワインディングロードくらいまで想定するならちょうどいいところかなと思います。もし、試乗してみて「刺激が足りない」、サーキットもガンガン走るというなら、“エッセエッセ”という180馬力にパワーアップされ、タイヤも17インチから18インチになる仕様(335万円)もあるので、こちらを選ぶ手もあります。ちなみにアバルト グランデプントの価格は270万円なのに対し、格下のアバルト500は295万円! 調べた際には「間違いじゃないないのか?」と驚いてしまいました。このあたりは希少性などの問題なのか分かりませんが、面白いというかよく分からない価格設定です。

乗り心地は跳ねるとまでは行きませんが、道路の繋ぎ目などで落ち着かない傾向があり、決して安楽ではありません。しかし個人的には小さなホットハッチらしい元気な雰囲気を感じるものだったので、こういう車らしいかなと好意的に解釈しています。
逆に雰囲気という面でちょっと残念だったのがインテリア、フィーリング面です。具体的には着座位置の高さとシフトフィールをもう少しソリッドにして欲しいという点なのですが、この辺はシート交換やクイックシフトでの対応など購入後のチューニングで直していけばより楽しめる車になりそうです。

何はともあれ、こういった楽しい車が比較的リーズナブルな価格で買えるというのは嬉しいことに違いなく、フィアットもルノーもインポーターがこの種の車の販売に力を入れつつあるのを高く評価したいところです。