しかしながらそんな寂しい寂しいと叫ばれる中でも、今回がTMS初参加だった自分としては、やはり楽しかったの一言に尽きます。見方を変えれば自分のような免許取って数年、ハタチ前後のクルマ好き、またはその予備軍はたくさんいる事は一般公開で数多く見られた風景。BSやトヨタのF1撤退など寂しいニュースが続きますが、ぜひまた2年後再び活力を取り戻してTMSが華々しく開催してもらえる事を願うばかりです。
GT−R、フェアレディZロードスター、そしてマークXとTMSでの試乗レポートをお届けしてきましたが、引き続き他にも味見したクルマの印象をレポートしたいと思います。
○三菱アイミーヴ
これも個人的にはかねてからずっと乗ってみたいと思っていた1台。ガソリンエンジンのiも個人的には登場以来チャンスがあれば何度も試乗するほど気に入っており、デビュー当時衝撃的だったスタイリングはいまでもまだまだ斬新かつ新鮮。スタイルはプリウスよりはるかに未来的…と思っていましたが、このアイミーヴは中身も含めてまさにこのi本来の持つべくコンセプトの良さをフルに発揮させていると言えるでしょう。
さて試乗開始。ベース車との違いと言えば、その特徴的なカラーリングを除けば、前後のLEDヘッドライト・テールランプ程度。MCによってフロントバンパーの塗装処理が格段に安っぽくなってしまった点も、このアイミーヴは引き継いでしまいました。フロントワイパーの形状変更や車重増に伴うブレーキ径の拡大など、細かい点も変更されています。
ドアを開けて乗り込んでも、メーターとシフトまわり以外はiと何も変わらず。パッケージング面で何も犠牲になっていない点も、このアイミーヴの魅力を際立てせるアドバンテージです。
エンジンに火を入れる…ではなく、スイッチをONにするかのようにノブを回すと、すでにプリウスなどで何度も味わっているこの儀式、静寂状態のままメーターパネル内に「READY」の表示。これで発進可能。当然動き出しは無音そのもので、強くアクセルを踏んでもずっとモーター駆動のまま。頭では分かっているものの、この感覚はやはり実際体感してみると、まさに「静かなる衝撃」。
試乗時に充電が残り少なくなっていた事もあり、まず最初はシフト位置をECOにしてスタート。ややアクセルを閉じた時に回生による減速感が強めに感じるものの、日常域ではこのECOモードで十分な加速感。あえて発進時の急激なトルク感を抑えてあるようで動き出しはいたって普通ではありますが、一度動き出してしまえばその後の中間加速は非常に力強く感じます。
直線に入ったところで、「Dモードもぜひ一度試してください」ということで、シフトノブを動かしてアクセル全開。するとiのターボモデルでは絶対に味わえない、いやレシプロエンジンとは全く異なる加速感!電車のようというべきか、雲の上を滑っているというべきか、いやはやなんと表現すべきか。とにかくEVが今までの自動車とは少し異なるベクトル上にある乗り物だという事を実感しました。エコという言葉うんぬん関係なしに、純粋に気持ち良さを感じられる乗り物と言えます。
おそらく、シティユースならECOモードで十分な性能。こちらをデフォルトとして普段はできるだけ航続距離を伸ばし、Dレンジを多人数乗車時の山道や合流などで使用するスポーツモードのような形で考えて使用するのがベストでしょう。
バッテリーの搭載で車重はかなり増えていますが、その効果は乗り味に表れていました。床下が重い事で乗り心地は非常に落ち着いたしっとりしたものとなっており、ベースモデルから比べると確実に1ランク上。もちろん登場当初からパワステやサス、シートの見直しによりガソリンエンジンのiもキチンと進化しており、そちらの進化との相乗効果が出ているとも言えるでしょう。
ハンドリングもこれまた新鮮な感覚。ベースモデルのiはとにかくどこまで攻め込んでも軽快かつナチュラルな挙動が印象的でしたが、アイミーヴのほうはどっしりと安定して落ち着いた印象。機敏さは相殺されているものの、床下が重めのためにロールスピードが少し早めでも不安な印象は感じられず、旋回能力はなかなかのもの。素早い切り返しでも不自然にヨーが残るような事もなく、ビシッとしたスタビリティの高さを実感できます。
まだまだ足りない航続距離とインフラ、そしてまだまだ高価なプライス…まだまだ問題はたくさん残っています。クルマ自体の完成度も非常に素晴らしいものの、ブレーキ回生などができるようになるなど、まだまだ性能向上が見込まれる部分も。しかしながら現時点でこのクルマを形にして世に送り出した事について、厳しい状況が多かったにも関わらず諦めずに開発を着々と進めていた三菱の開発陣に拍手!よく言われる200・200・20の目標(価格200万円以下、航続距離200km以上、充電時間20分以内)がゆくゆく達成できれば、普及化は一気に進むことでしょう。
もちろん、個人的にはまだまだエンジン全開レブリミットまで踏みっぱでブン回して、CO2大放出でエキゾーストノートを楽しみたい…という種類の人間。しかしながらこのアイミーヴにも、またそれとは全く異なる自動車としての「ファン・トゥ・ドライブ」が感じられた事が、個人的には大変収穫になった試乗でした。
レポート:岩田和馬


