2009年09月08日

アウトバック3.6試乗レポート

以前レガシィの試乗レポートの際に乗りそびれていた、アウトバックに乗る機会を得る事ができました。幸運にも試した個体は、こちらもまだ未体験である3.6Lモデル。簡単ではありますがレポートしたいと思います。

高められた車高の影響で、アイポイントはグッと高め。シートやステアリングの調整量が大きいおかげでドラポジはキチッと決まります。ただ、やはりレガシィのアイコンである「自発光式メーター&MOMOステアリング」という2大アイテムが失われたのは、返す返すも大変残念。特にステアリングは、別にブランド命というわけでなく、採用しないならしないで、純正でももう少し気合いを入れて開発すべきパーツでしょう。オプションのマッキントッシュオーディオは音質はもちろんの事、インパネの見た目も向上させてくれる極めて身力的なアイテム。ナビの画面も大きく非常に視認性に優れています。

アイドリング時のエンジンの振動はほぼ皆無で、走りださずとも6気筒の恩恵を感じる事ができます。まずはSI−DRIVEをデフォルトの「I」モードでスタート。この時はかなりアクセルに対する反応が落ち着いており、発進は実にジェントル。ただこの状態だとせっかくのこの排気量の余裕が感じられないのも事実。個人的にはこの3.6Lでは「S」モードをチョイスしたいところです。

そのSモードでは、アクセルを踏むと同時に実に頼もしい低速トルクを体感でき、少し発進時のかったるさが感じられた先代の3.0Lモデルからの+600ccのゆとりを実感することができます。また大陸的なのんびりとした性格と思いきや、低回転だけではなく、中〜高回転域のパワーの盛り上がりも実にナチュラルかつパワフル。そしてボクサー6の真骨頂とも言える振動のなさと吹けのスムーズさ、ブン回した時のサウンドの良さ。このジェントルな振る舞いとスポーティなフィーリングのバランスは国産エンジンの中でも随一。

4Lクラスと同じ税金である事など、この車にこれだけ大きなエンジンが必要かどうかと考えると「?」マークがつくところであり、この排気量でレギュラーガス対応という事を声高に叫んだとして、さほど大きなアピールになるとは思えません。しかし、そういった能書きを横におけば、間違いなくこのボクサー6ユニットは魅力的。今後もスバルが国内市場でも拡大化志向を貫くならば、この3.6LエンジンにMTを組み合わせたスポーティな追加グレードがB4やTWのほうに展開するのも1つの手法でしょう。

そのエンジンの魅力に対して、ステップ比が大きめで決してスムーズとはいえない5速ATの存在が足を引っ張ります。もちろん我慢できないほどの不満点ではないものの、新型のキャラクターと価格を考えると、やはりATが見劣る印象は拭えません。

足周りは基本的にソフトな味付け。M+Sの17インチタイヤを履く事もあって、コーナーは得意とは言えず。ゆったりとしたリズムで乗るにはバランスが取れており、乗り心地も大変優れていますが、ベースモデルと比較してしまうと、AWDらしい「走りの頼もしさ」に少し陰りがある部分が残念な点。

むしろアウトバックにも、もっとオンロードを意識したセットアップがあってもいいかもしれません。それならば本末転倒、ツーリングワゴンにすればいい…というのはごもっともですが、実際にスバルは限定車という形で、モデル末期時に2.5Lターボエンジンを搭載し、ローダウンサスを組み合わせオンロードタイアを履いたアウトバックを登場させています。別に頼もしいオフロード性能などではなく、見た目の雰囲気でアウトバックに魅力を感じるオーナーも実際多いのでしょう。国内ではそういったセットアップのアウトバックもアリかもしれません。



登場以来、個人的に新型レガシィに対して、コンセプトの変革やサイズアップではなく、その出来上がってきたスタイルに対して酷評を続けてきました。今でもやはり見慣れる事はなく、走りの素晴らしさに感慨を覚えつつクルマから降りると、今までこんなデザインの車に乗っていたという事実を消し去りたくなってしまうような嫌悪感を抱きます。3代目や4代目も決してカッコいいデザインなどとは言えなかったものの、新型はさらに中身が充実しているだけに、デザイン案の最終段階で大幅な軌道修正を図った上層部の責任は重いと言えるでしょう。

そう思いつつ、今回のアウトバックに乗った際には、不思議とそういった気分は自分でもさほど感じられませんでした。それはいわゆるこのクルマが「レガシィ」というしがらみをあまり感じさせないモデルであるからかもしれません。「アウトバック」という名前の違うクルマと考えれば、不細工なスタイリングにもなんとかギリギリ耐えれそうな気もします。北米ではツーリングワゴンではなくこのアウトバックがワゴンのスタンダードになっている風潮が、日本でも強くなってくるかもしれません。

新型レガシィに対して嫌悪感を抱くユーザーに対して、まだ受け入れてもらえるのはエクシーガかもしれません。先日マイナーチェンジを行い、一部を除き2LNAモデルにリアルトロニックCVTを搭載。排気系の見直しでパワーアップを図りつつ燃費を向上させており、またサスペンションに手を加えて操安性向上を行うあたりはさすがスバル。またVDCの設定拡大やターボモデルへのパドルシフト搭載、細かいところでいえば視認性どうこうを無視したえげつないメーター配色が落ち着いた色調へと変更を受けたのも嬉しいポイントです。また4速ATモデルであれば、特別仕様車のSスタイルは充実装備で価格は200万円以下。エクシーガのデザインも洗練されてるとは言い難いですが、このエクシーガにもストリームのように5人乗り仕様を用意し、新型レガシィに幻滅したユーザーへの対策として用意するのも可能性としてはアリかもしれません。エクシーガは今数少ない国内専用車(オーストラリアなどへは輸出予定アリ)、CMでもここに来てレガシィとの共通イメージを大きく打ち出してくるようになりました。

同時にインプレッサも年改を実施。軽自動車のほうでは、ついに「ディアス」という名前でダイハツアトレーのOEM配給が始まってしまいましたが、サンバーのバン・トラックのほうはマイナーチェンジを実施してまだまだ生き残り。国内メーカーでは今もっとも前途多難なスバルではありますが、地道に打開策を見出していってほしいところです。

今後のレポート予定
○魅力的な欧州コンパクトモデル ロングランテスト
・フィアット500
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・MINIONE
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○夏場にインサイトを改めてテスト


レポート<岩田 和馬>


posted by 親方 at 16:33| Comment(7) | TrackBack(0) | 岩田和馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
夏場のインサイトのテストなんて、面白そうですね。
アイドリングストップした時の、湿った空気が流れてくるエアコンを
じっくり解説してほしいです。
ま、アイドリングを止めなければ、
コンプレッサーは動いているようですが。
Posted by kojima at 2009年09月14日 22:56
新型レガシィ
8月は1736台・・・
9月はどうでしょうね。

北米で売れればいいんでしたね。
Posted by デイトナ at 2009年09月16日 23:55
>デザイン案の最終段階で大幅な軌道修正を図った上層部の責任は重いと言えるでしょう。

はじめまして。
新型のデザイン、わたしも岩田さんほどではないにしても、う〜んと思っています。
「軌道修正」があったとのことですが、どのようなものだったのでしょうか?
(過去の記事でふれられていましたっけ)

Posted by まるお at 2009年09月22日 18:22
先日スバルの販売店へ行ったときの出来事。

なんと新型レガシィの試乗車が3台も並んでいる。地方の販売店なので3台も用意するなんて気合いが入ってるなと3m位まで近づいたところで真ん中の1台のヘッドライトに青いラインがあることに気づきました。

そう、それはエクシーガでした。

新型アウトバックのオーナーである私も
すぐに見分けることが出来ませんでした。

新型レガシィのデザインとサイズ拡大が
気に入らない方にエクシーガが受け入れられるでしょうか。


Posted by うずしお at 2009年09月28日 13:54
まるおさんへ

モーターファン別冊『レガシィのすべて』の中に掲載されていたA案の試作スケッチが格好いい、このまま販売されていたら直ぐに購入するなんてカキコミがネットを賑やかしたことがあったのでそのことを言っているのではないでしょうか。

仮にそうだとしたらあのスケッチは確かに
スマートですがマークXやウインダムの
二番煎じみたいで直ぐに飽きがきそうな
気がします。

岩田さんとはデザインに関しては何処まで
いっても平行線のままみたいですね。

ちなみに北米では新型になってツーリングワゴンは販売されていません。

B4とアウトバックのみです。
Posted by うずしお at 2009年09月28日 19:23
kojimaさん>
また後日レポートする予定ですので
少々お待ちください。
また宜しくお願い致します。

デイトナさん>
むしろ、スバルのメーカー自体の販売台数の低下が問題かもしれません。レガシィが出て、他のスバルのユーザーを吸い寄せてる状態なので。
OEM配給では限界がありますしね…。

まるおさん>
例えば、レガシィの特徴であるDピラーは
日月主査の「どう見てもレガシィにしか見えない」という鶴の一声で決まった、と販売後のインタビューでもおっしゃっていました。それはデザイン案の経過を見ても明らかです。

うずしおさん>
確かに、エクシーガとレガシィは大変よく似ていますね。しかし、2Lエンジンの存在+200万円を切る価格は、新型レガシィには望めないものです。また「拒絶反応」と書いただけで、何も「新型レガシィのデザインとサイズ拡大が気に入らない方」と限定しているわけではありません。価格、排気量、車格設定、新型は様々な部分が変化しているのになぜそれだけに限定してしまうのでしょうか?それこそ、オーナーの皆さんがやはりサイズとデザインに関して問題意識している証拠なのではないでしょうか。


>北米ではツーリングワゴンではなくこのアウトバックがワゴンのスタンダードになっている風潮

という私の書き方では混乱を招きましたね、失礼しました。

現在北米ではB4とアウトバックのみの設定というのは承知済みであり、前回のレポートでもすでにその事触れています。また、申し訳ありませんが、このような状況になったのは別に新型になってからではなく、すでに先代モデル途中時点で北米市場では、B4とアウトバックのみの設定となっています。

私のデザインに対する意見へのご批判・お叱りは結構ですが、それによって薄識での挙げ足取り、また勝手な印象操作をするような言動はできれば自粛していただければありがたいと存じます。申し訳ありません。
Posted by 岩田 at 2009年09月28日 23:41
(1)<アイドリング時のエンジンの振動はほぼ皆無で>について、「皆無」というのは「全く無い」ということですので、<ほぼ皆無>という表現はおかしくないですか?

(2)<それによって薄識での挙げ足取り>について、「博識」ならばともかく、「薄識」という言葉は無いですよね?「知識が薄いこと」ですか?

若い人同士の日常会話ならともかく、ライターを志す人が公開する文章なのですから、専門分野の知識だけでなく、国語的なことももう少し気をつけられた方が良いかと思われます。少々気になったもので。悪しからず。
Posted by カラメルン at 2009年09月29日 08:56
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