2009年08月23日

ゴルフ6試乗レポート

今回は、既に導入開始されてから4か月ほど経過してはいますが、ゴルフ6に乗るチャンスを得たのでレポートします。

ご存じの通り、今回6代目となるゴルフは、コンポーネンツを先代からキャリーオーバー。完成度は抜群に高いものの、利益率と生産コストという観点では決して会社孝行ではなかったゴルフ5に代わって、モデルサイクルを早めて世代交代がなされました。ということで新型の名目は「コストダウン」。しかし実際に乗ってみると、そのような事は実用上微塵にも感じる事はありません。細かく見れば、ドアやバックドアヒンジなどには5と6の違いを見つける事ができますが、これはいわば5の「過剰品質」。ほとんどのユーザーが気にする事はないでしょう。

前回レポートした通り、走りに関する部分はエンジン、トランスミッション、そして足周りはサス形状だけでなく、そのジオメトリーやブッシュ類まで基本的に全てゴルフ5から継承。もちろん足周りに関しても評価はもともと高く、エンジン+トランスミッションはゴルフ5時代に全てアップデートを完了したTSI+DSGの組み合わせ。目新しさはないものの、モデルチェンジ直後としての完成度の高さを考えれば、こういう形のFMCも十分に魅力的に思えます。

乗ったのは上級モデルであるTSIハイライン。こちらは1.4Lのターボ+SCの160psで、タイアは17インチ。コンフォートラインは1.4Lのターボ122psで、タイアは16インチ。実用上はコンフォートラインでも十二分ですが、先に結論を書くと個人的にお勧めはハイライン。価格差は37万円と小さくはありませんが、いずれ登場するであろう1.2Lターボ+DSGを搭載したトレンドラインの事を考えると、コンフォートラインは少し中途半端な存在になるかもしれません。もっとも、312万円のハイラインでさえ今時ハロゲンヘッドライトな点は少し興ざめですが…。

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こちらはコンフォートライン


ドライビングポジションの自由度が高いのはゴルフ伝統の美点。基本はアップライト気味ながら、座面をグッと低くしスポーティなポジションも取る事ができるのは嬉しいポイントです。インテリアの見た目上のクオリティも上々。基本的なパーツやレイアウトは5と共通ながら、メッキパーツを上手く使って高級感をプラスし、革の質感・ステッチともに素晴らしいステアリングやホワイト盤・赤針にスッキリとまとめられ視認性の良いメーターなど、基本的な部分をキッチリと抑えた仕立て。位置変更を受けたパワーウインドースイッチとしっくりこない節度感のないシフトレバーの操作感が画竜点睛を欠きます。

ハイラインをお勧めするポイントとなるのが、パドルシフトとシート。先述したように、シフト操作の際の操作感がチープで、せっかくの素晴らしい7速DSGのフィーリングの良さに水を差します。ここは是非とも積極的にマニュアル操作ができるパドルシフトが欲しいところ。シートはコンフォートラインのノーマルシートも○ですが、ハイライン用のサポート性に優れるスポーツシートはさらに好印象。また、インテリアの雰囲気をグッと変える事ができる明るいベージュカラーのレザーシートが選べるのもハイラインだけの魅力の1つと言えるでしょう。

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走りに関しては、初期の湿式クラッチの6速DSGから乾式のコンパクトな7速仕様となって随分と熟成が図られたものの、やはり少しまだ発進時に少し唐突さがあり、1.4Lの過給エンジンということで初速にややレスポンスの悪いかったるさが垣間見える時もありますが、2つともほとんど気にならないレベル。むしろ細かく荒探しをしたところで見つけられるのはそれくらいであり、いざ走り始めれば排気量からは想像できない加速を見せ、6000回転まで気持ち良く回るパワーフィールに、そんなエンジンの魅力をさらに引き立てる、クロスレシオの7速DSG。街中ではほとんど7速に入るチャンスはありませんが、高速域での燃費や静粛性には大きなアドバンテージとなることでしょう。

また5→6への大きな違いはNVH性能の向上。アイドリング時からエンジン音の侵入はグッと抑えられ、FF車によく見られるステアリングへの微振動も一切皆無。走り始めるとタイアからのロードノイズの小ささを実感し、リア部分からの侵入音も非常に抑えられています。これらは今まで日本車が欧州車に対して持つアドバンテージでしたが、このクラスのクルマまでここまで静かになるとは率直に驚きを覚えます。

ハンドリングに関しては、さすがこのセグメントのベンチマークと堂々と誇らしげに言わんばかりの仕上がり。先代からの大きな進化や飛躍はないものの、こう改めて乗ると元々持つポテンシャルの高さをヒシヒシと実感します。さらにしっとりとしたフィーリングを伝えてくれるようになった電動パワステのフィーリングは、もう油圧との違いは全く分からないレベル。ステア操作に対し素直にノーズが反応し、ペースをどんどん上げていっても終始安定感を保持し続け、挙動はどこまでも自然。よほど素早い操作をしない限りガッチリと路面を掴んで離さないリアのスタビリティの高さに、フル制動時にはしっかりとした踏力を必要とするものの、コントロール性は抜群のブレーキ。225幅の17インチを履きつつ、乗り心地も安っぽさや硬さを感じさせる事は微塵もなく、これだけに乗っていれば、さらに良いと言われる日本未導入の電子制御サス(DCC)仕様(シロッコにはあり)の必要性を感じる事はほとんどありません。

やはりこの懐の深さと安心感、いくらハイブリッドが注目されプリウスが良くなったとは言え、改めて比べてしまうと「クルマ」本体の差は明確。もちろん、プリウスがゴルフを過剰とも言える走りのクオリティを目指す必要があるとは思いませんし、ガソリンエンジン最強のエコと走りのバランスを構築しているとは言え、THSシステムの叩き出す環境・燃費性能には敵いません。しかし、もしこのゴルフがハイブリッドになりプリウスに迫る燃費性能を獲得したら……。単純な価格差だけでは説明できない魅力と価値を秘めているこのゴルフには、まだまだ同セグメントとして見習うところはたくさんありそうです。



もちろん、ゴルフ自体もうかうかとはしていられません。圧倒的な性能と完成度を誇るものの、年々拡大していくボディサイズに対し、実用性に不満は全くないものの、パッケージング上の利点はほぼ皆無。6でその傾向は一応止められはしましたが、ここまで大きくなれば、広くて実用性が高いのは当たり前のことです。いまだにこのゴルフを「コンパクトカー」を表記する記事もよく見かけますが、そんな時代錯誤な事を思ってこのゴルフを買う人はもうほとんどいなくなっているのでは。

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そういった意味では、もうすぐ日本導入予定の1回り小さいゴルフとそっくりとなった新型ポロのほうが、これから日本ではさらに驚異になっていくかもしれません。全長4m以下の5ナンバーサイズ、1.4NAと1.2TSIに7速DSGを組み合わせ、シューズには16・17インチを履くその新型は、ヨーロッパでの試乗会でも非常に好評を得ているようです。その新型ポロは、ちょうど大きさ的にゴルフ2のサイズに近いもの。その関係はまさにホンダのシビックとフィットを見ているようであり、このゴルフ最大の敵は実は身内に存在するのかもしれません。



<レポート: 岩田 和馬>


posted by 親方 at 00:00| Comment(6) | TrackBack(0) | 岩田和馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最後の新型ポロの記述で、「その新型ゴルフは、ちょうど大きさ的にゴルフ2のサイズに近いもの。」とあるのは「新型ポロ」を指すのですよね?
Posted by Y at 2009年08月23日 10:53
ご指摘の通り、ゴルフ→ポロでした。

申し訳ありませんでした。
ご指摘ありがとうございます。
Posted by 岩田 at 2009年08月23日 15:05
いつも楽しみに拝見させていただいております。
秋に日本登場予定のGTIの購入を考えて、ゴルフYの素性を確かめるべく何度となく試乗しました。
私がこの1.4モデルで現状比較するならコンフォートラインを推します。日本の速度領域を考えても、実際に試乗を重ねてみても、コンフォートラインのバランスの良さに好感を持つ方が多いのではないかと思います。トップエンドの1000回転でのギュイーンという加速とDSGの旨みをより一層楽しみたいとい人にはパドルシフトが付くハイラインが適してるとは思いますが、日常領域のパワーの出方に唐突感があること、225のタイヤが拾うノイズと振動も直接比較すると気になるように思いました。またGTIの登場を考えるとハイラインの味付けの方が中途半端になってくるのではとも思います。とはいえCセグメントにおいてゴルフに真っ向勝負できるような国産車は正直ないようにも思えるほどクオリティの高さを随所に感じます。
ただスゴく気になる点がひとつ。交差点の右折時などブレーキから素早くアクセルペダルに踏み変えるような場面で一瞬エンジンがストールすることです。アクセルとブレーキを両方同時に踏んだ際に安全機構として作動するとのことですが、結構気を使います…なんとか改善されないものでしょうか!?
新型1.2TSIポロの日本登場すごく楽しみですね、ゴルフの最大のライバルになることでしょうか!?つくづくVWブランドの商品力の厚さには感心させられます。
大変長々とコメントしてしまいました。すいません!

Posted by トレビン at 2009年08月24日 23:06
かってゴルフのデーゼル車が欲しかったのですがお金の面で都合がつかず断念。
最初の車はシビックRSからスタート。
乗り継いで今はレガシーワゴンですが、やはりゴルフは気になります。
外車で心配なのはアフターと整備費用の高さと思うのですが現状はどうなんでしょう?
少ない排気量とターボの組合わせは良いと思うし話題のトランスミッションも魅力です。
価格も昔に比べたら国産と勝負できますしね。
肥大化したレガシーよりはスリムなゴルフには惹かれます。
Posted by kyamaga at 2009年09月04日 03:50
先日も、新型レガシィを見かけました。
車高が高く、箱型で、格好悪いです。
正直、視界に入って心地良いものではありませんでした。
最近、車に対して所詮こんなものと冷めている自分がいました。特に、冷蔵庫のような日本車に対して。
ところが先日、ポルシェボクスターを運転する機会がありました。なんなんでしょうか、あの喜びは。一週間興奮状態で、寝つきが悪く困りました。あの非日常、一体感、高回転での叫び
。必ず手に入れようと思いました。
完全にポルシェの世界に酔いしれました。
Posted by 元スバル(元ディーラーマン) at 2009年09月06日 14:24
返信が遅れてしまい大変申し訳ありません。


トレビンさん>
いつもご観覧頂き誠にありがとうございます。

GTIの価格が思ったよりも上昇しませんでしたね。ハイラインの価格差を考えると…確かに私もGTIのほうに流れていってしまうかもしれません。

その現象は前々から言われ続けていますね。特に左足ブレーキをする方は相当苦労するという話を聞いたことがあります。プログラムのROMいじりで解決する問題だとは思うのですが…メーカーの方針のようですし、少し難しいでしょうね。

ポロは本当に楽しみな1台です。とりあえず当初は1.4+7速DSGのコンビから導入されるようです。

いえいえ、是非またコメント頂ければ幸いです。よろしくお願いします。


kyamaga>
日本車の価格上昇を考えれば、ゴルフは今では「安い」とは言いませんが、完全に手の届く範疇に入ってきていることは事実ですね。エコとエゴのバランスで言えば非常にハイパフォーマンスかもしれません。

元スバルさん>
さすがに、ゴルフのレポートでレガシィ批判されるのは少しご遠慮いただければと思います。苦笑

私は日本車、まだまだ楽しいと思いますよ。どなたかがおっしゃっていましたが、「日本車を一番評価していないのは日本人だ」という文を見かけて、なるほどその通りだ!と少し思ってしまいました。
欧州車の魅力に近づくのではなく、日本独自のアイデンティティにこれからも磨きをかけて欲しいですね。
Posted by 岩田 at 2009年09月29日 00:10
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