2009年07月05日

改めて、トヨタiQに乗る

前回のレポートは100G“レザーパッケージ”でしたが、今回テストした車両はベースモデルの100X。プッシュスタートが省かれ、オート→マニュアルエアコンとなり操作パネルも変更。シート形状も同じなものの表皮の質感は「並」。サイドエアバックとVSCはベースモデルでも標準ですが、これで140万ははっきり言って割高。iQを選ぶならばやはりG以上のグレードをチョイスするのが賢い選択でしょう。

さてインプレッションのほうですが、タウンユースの速度域での印象は前回お伝えした印象とほぼ同じ。絶対的なパワーよりも、その安っぽい振動と音質に問題アリのエンジンフィール、圧倒的な小回り性能の良さ、それに対しミラーtoミラーが2000mmを超えるという事ですれ違いなどでは案外気を遣う点など。

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しかし相変わらず素晴らしいのはステアリングフィール。キャスター角を始めとする特異なサスペンションジオメトリー、ステアリングユニットをデフの上に置くというiQならではの構造など、これらによってもたらされた、副産物的なしっとりかつ接地感のあるフィーリングは、このセグメントでは望外の素晴らしいもの。ボディサイズを意識させない走りの頼もしさを感じるのも、このしっかりとしたステアフィールによるところが大きいでしょう。

今回はロングランということで、ハイペースのワインディングや高速セクションを試す事もできました。そこで気づいたのはブレーキの特性。少し強めのブレーキングではリアの落ち着きがなくなる傾向が早めに出てくるようで、思っていたより唐突にスタビリティが失われがち。全幅が広く普段はどっしりとした走りを見せてくれますが、こういった場面では「全長3m以下」という特異なディメンジョンのデメリットが顔を出します。そのためか、ブレーキもストロークが長く初期の制動が甘め。こういった癖には慣れるまで少し時間がかかるかもしれません。

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高速域の動力性能はさすがにNAの軽自動車+αレベル。効率的にパワーを引き出せるCVTのおかげで巡航時の回転は抑えられるものの、合流地点や追い越しなどでは、アクセル全開6000回転をキープして68psをフルに発揮させる機会が多くなります。

意外だったのはその時の静粛性。高速セクションではこのクラスのコンパクトとは思えない程静かで、ロードノイズ、風切り音、6000回転キープでも車内で普通にパッセンジャーと会話可能なレベルです。むしろ1200〜1500回転域での不快な微振動と安っぽいノイズのほうが気になるほど。

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ここでも称賛したいのがステアリングフィール。ステアリングの落ち着きの良さと抜群の中立性によってもたらされる直進性の高さは、それこそパッソやヴィッツとは比べ物になりません。この短いホイールベースでは横風や路面のアンジュレーションの影響を受けやすいものの、ステアリングから伝わる安心感は非常に高いものがあります。

絶対的なパワー感はないものの、追い越し車線のアベレージを保つ事も容易。先述したようにブレーキ時の挙動には注意が必要ですが、高速域での外見からは想像も付かない安定感は、最大のライバルであるスマートに対する大きなアドバンテージと言えるでしょう。

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またワインディングでは、その独特のディメンジョンの特長を実感。ステアリングギア比は結構クイックな分類で、エコタイアであるBSエコピアとのグリップバランスもちょうどよく、先述のしっとりとしたステアフィールとも相合って、軽快にコーナーをクリアしていきます。

ただその時のロール量はしっかり抑えられているものの、ストローク感があまりなく、例えるならばどこか背筋を伸ばして「気を付け」をした状態で曲がっていくような挙動。またリアタイアの接地性を常に感じながら走れるのも、この超コンパクトなiQならではの感覚と言えるでしょう。

今回様々なシチュエーションで1000キロ以上をこのiQと共にしましたが、実際の街中での取り回し性の高さだけでなく、シティコミューターだけにしておくのはもったいないと思える程の優れた操安性には、少し感服するものがありました。

いまいちパッとしないエクステリア・インテリアに、ガサツで安っぽいエンジンフィールなど、改善点を上げればキリがありませんが、地味で代わり映えのしない国産車・またはトヨタの中では、なかなか見どころのある面白い1台と言えます。あのアストンがトヨタからOEMを受けるなんて、と思う方もいるかもしれませんが、ただ単に「所詮トヨタ」「スマートのパクリ」と片付けてしまうのは早計です。

そのiQは、近日バリエーション拡大予定。注目は1.3L仕様の追加。パワー・トルクが増強される事はもちろんの事、3気筒独特のフィーリングが改善されるだけでも期待大。モード燃費も1Lモデルと変わらないようです。

今回は高速セクションが中心で平均車速は高めでしたが、その時の燃費が約17km/L。状況によってはむしろ1.3Lのほうが良い時もあるかもしれません。惜しむべきは、この1.3Lの組み合わされるのはCVT。ここは是非5速MTを期待したかったところです。また同時に、2シーターバージョンなど、ラインナップを今後重視していくようです。

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もちろん、さらなるバージョンアップ仕様やiQベースの派生車にも期待。またアストンがこのiQをどう仕上げてくるのかも非常に楽しみです。プリウスが騒がれる昨今ですが、もう1度改めてこのiQが持つ本来の魅力と楽しさを見つめ直す機会があってもいいのではないでしょうか。


<レポート:岩田 和馬>


posted by 親方 at 23:26| Comment(4) | TrackBack(0) | 岩田和馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 発売当初は注目度の高かったiQも最近はめっきりメディアに出てきませんね。トヨタがiQを国内でどう展開していくのか私も注目しています。早速1.3Lと2シータ―が追加されレザーパッケージにはシートリフターも装着されるらしいですが、レポートにもあったように日本では趣味性の高い車ですからせっかくならMTも追加して欲しいです。
 
 ドライビングポジションはどうでしたか?私の印象ではステアリングも少し遠いし、シートも座面の後傾斜角が足りず落ち着かなく感じました。Aピラーも気になったのですがどうでしたか?

 写真を拝見するにこれは山口県の角島大橋でしょうか。しかし遠くまで行きますねぇ・・・私は3日で1000km走ったのが一番長い記録で、1日だとせいぜい550kmほどです。以前から気になっていたので、私も夏休みにでもレンタカーでiQを借りて乗ってみようと思います。これからもレポート楽しみにしております。
Posted by ty at 2009年07月07日 00:00
拝読させて頂きました。

文章構成は変わらずお上手ですね。

ただ、「曖昧な表現」と感じてしまう部分が以前より多くなった気がします。「感覚的・相対的」と言い換えてもいいかもしれません。

難しいところだとは思いますが、以前はもう少し努力されていましたね。

また『少し感服』は日本語として(私には)違和感があります。


陰ながら応援しつつ拝見しておりますので、これからも頑張ってください。
Posted by 關本 at 2009年07月07日 12:53
こんにちは。

いつも楽しく読ませていただいています。

iQ、小さい割にはなかなか良いクルマなのだということがよく分かりました。

1点質問ですがiQのように短いホイルベースであると高速道路のうねり、つなぎ目等によるピッチングが出やすくなると思います。ピッチングの評価はいかがでしょうか?私としてはこの評価が一番気になりました。

いくらステアリングのprecisionや、静粛性が良くても、このピッチングが大きいと500km以上の長距離は厳しいですから。(首がやられます。)

またiQが待ち乗り重視として作られたかどうか私は分かりませんが、もしそうなら絶賛されていたシャシー性能を落としてでも価格を下げて売るのが正解、という気もしますね。

Posted by Aira at 2009年07月08日 15:48
tyさん>
こういった事をリアルタイムで感じると、本当にメディアというのもある意味罪かもしれません。S2000やアルテッツァの時もそうでした。褒めるなら褒めるで、キチンと追い求めていく姿勢であってほしいですね。

MT、欲しいですね。こういうニッチな層を狙うクルマだからこそ、従来通りの既成概念に捉われたラインナップではいけないと思います。

ドラポジについてですが、ステアリングはできればテレスコピック調整が欲しいですね。あと、Aピラーについては、三角窓がなくキャビンフォワードがさほど強調されていなかったのであまり気になりませんでした。シートについても、まぁ許容範囲だと思います。それよりも、シートベルトの装着位置が悪く、装着するたびに内装が傷まみれになる点は頂けませんでしたね。

今回は24時間で1200km超の走行でした。貧乏学生のため、できるだけ短時間で長い距離を走りたいので…最近は1日600〜700km程度なら楽勝に感じられるようになってきました。

ぜひその際はまた感想お聞かせ頂ければと思います。またコメントよろしくお願い致します。

關本さん>
ご指摘される点は、自分の勉強不足・経験不足そのものです。今回はできるだけ文章を短くまとめようとトライした結果だったのですが、關本さんがそうお感じになられたのは、自分がまだまだ素人以下の駄目文書きである事の証明です。今後はさらに自分なりに弱い頭をフルに使って精進させて頂きますので、またよろしければコメントよろしくお願い致します。

Airaさん>
ピッチングの件ですが「見た目から想像するよりはるかに良い」と言っていいと思います。ジョイント部分などではスタビリティ確保のために足の硬さが露呈する部分もありますが、真っ直ぐ走っている限りは、実際ほとんど気になりません。Cセグ・Dセグの車と比較されると難しいかもしれませんが、少なくともA・Bセグメントの中では全く劣っていないと私は感じました。

シャシー性能と価格のバランスですが、これは難しいところですね。しかし、トヨタにしては珍しく妥協点が少ない1台である事は確かです。多少値は張りますが、こういう1台があってもいいんではないでしょうか。「安くていいものを」ではなく「いいもの、できるだけ安く」という姿勢であって欲しいと思います。
Posted by 岩田 at 2009年07月29日 13:12
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