2009年06月16日

シロッコ/Q5/Eクラス

ここ1カ月のうちに、注目すべき欧州車が連続して登場しました。簡単ではありますが、いくつかピックアップして軽く紹介していきたいと思います。

・VWシロッコ
初代、2代目、そして実質的3代目だったコラード以来、久々復活のゴルフベースのスポーツクーペ。真面目で謙虚なクルマ造りがキモのVWながら、ニュービートルやこのシロッコなど、時よりとてもおもしろくて魅力的な遊び心あふれるプロダクトを行ってきます。

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ゴルフよりグッと低く、幅広く仕立てられたボディスタイルは迫力満点。大幅に拡大された結果、FFとしては珍しくリアのトレッドのほうが広くなっているボディ形状からくるフェンダーの盛り上がりや、薄いガラスウィンドーなど遊び心満点。

しかしながらリアシートも十分実用性は高く、バケット風のシートの雰囲気も○。かつてのトヨタWILLVSを思わせる閉鎖感がありますが、車のキャラクラーを考えればほとんど問題ないでしょう。唯一、グラスエリアの狭さに加え、大型のリアバケットシートによって、後方の死角が多い点には少し注意が必要です。

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インテリアは、ベースとなったゴルフ6と同じく、ゴルフ5の名残を強く残すもの。D型ステアリングや専用シフトノブで雰囲気は出そうとしているものの、ここが唯一シロッコの弱点かもしれません。無論、質感のほうは全く問題なし。

ラインナップは、1.4TSIと2.0TSI。1.4はお馴染みツインチャージャーの160ps仕様、2.0はGTIでお馴染みの直噴ターボ200ps仕様(とはいいつつ、エンジン自体は様々な部分が改良されています)。それに組み合わされるのは、前車に7速、後車は6速のDSG。タイヤは1.4が17インチ、2.0が18インチ。2.0には現時点で国内仕様のゴルフには未装着の、電子制御サスのDCCが装着されています。

そして価格。1.4は392万円、2.0は447万円。日本仕様にはカーナビ、バケットシート、キセノンヘッドライトなどフル装備なものの、ゴルフとの差は明確。日本仕様の新型ゴルフ6が不当に高い価格だとは思いません(むしろ内容を考えれば、コストパフォーマンスは十分以上。本命ともなるトレンドラインの登場も楽しみです。)が、このシロッコの価格設定には甚だ疑問。むしろ本国の価格と比較すれば、呆れるほどです。もちろん、日本仕様=最初からオプションフル装備仕様、というのは、輸入車ではよく見られる事ですが…。

ドイツ本国でのシロッコの扱いは「ゴルフとほぼ同じ価格の、エントリースポーツ」。もちろん、日本に合わせたラインナップ展開をしていく必要性があるのは分かりますし、こういったブランド性の転換を積極的に行っていけるところに、VWの勢いと強みも感じます。

しかし、VGJの勘違いマーケティングによって、オプションてんこ盛り状態が標準状態のハイプライスで登場し、一気に存在感を失ってしまったイオスの悲劇をもう忘れたのでしょうか。魅力的な1台だけに、アウディTTの競合してしまうような価格設定で、自らの存在価値を下げてしまわないか心配です。

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VWから注目のもう1台「ブルーエモーションスポーツ」。ジュネーブで公開されたコンセプトカーで、直噴ディーゼルをミッドにマウントし、DSGを組み合わせた次世代エコスポーツ。先日新たにいくつかの画像が公開され、どうやらVWは本気なようです。是非市販化を期待したい1台。

・アウディQ5

注目を集めるプレミアムSUVであるアウディQ7の弟分、Q5が登場しました。実際Q7は近くで見ると驚くほど巨大で、日本で扱うにはさすがに厳しいものがありましたが、今度のQ5は1900mmという全幅さえ除けば、日本でもどうにかなりそうなサイズです。本音を言うのであれば、もう1回りコンパクトならさらにいいのですが、そうすると今度はVWティグアンとバッティングしてしまうので難しいところ。ちなみにこのQ5はA4がベースであり、ティグアンとの関係性は全くありません。

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ワッペングリル&LEDポジションライトのフロントマスクは、依然厚化粧気味で好みが分かれそうなところではありますが、A4から譲り受けるオーバーハングの短さがプロポーションを際立たせており、全体の雰囲気とまとまりはなかなか。インテリアのキッチリとした質感はアウディらしいクオリティの高さで文句なく、ラゲッジスペースは奥行きが若干短く感じられるものの、高さ方向のゆとりは十分で全く問題ありません。

エンジンは先日A4・A5にも搭載された2.0Lターボと、3.2LのV6。A4・A5とは違い、2.0だけでなく3.2の方にも縦置き用Sトロニックが組み合わされています。もちろん、両方とも前後駆動力比率40:60のクアトロシステムを採用。

価格は2.0Tクアトロが569万円、3.2クアトロが660万円。A4のアバントがそれぞれ513万円、663万円。3.2で比べるとQ5とA4アバントの価格差が逆転しています。これならA4アバントのユーザーも、全幅さえ気にならなければ、Q5へと多く流れてきそうです。

ライバルはメルセデスGLKに、BMWX3。ただ無骨で洗練さに欠けスリーポインテッドを外せば韓国車と間違えそうなスタイルで、左ハンドルしかないGLKに比べれば、Q5のアドバンテージは明確。近日登場予定のボルボXC60が、唯一マトモに競合しそうな1台です。サイズも価格もジャストながら、もう少し高級感が欲しい、またはDSG(Sトロニック)が欲しい、と思っているVWティグアンを買おうか悩んでいるユーザーの方も、気になる存在になってくるでしょう。

・メルセデスベンツEクラス

ゴルフに続く今年のドイツ勢の大物の1台、新型のEクラスが登場しました。スタイリングは昨今のメルセデスのデザイントレンドを持ち込みつつ、方向性も変更。丸目を捨て、角型の4灯となり、スポーティさよりもラグジュアリー性をより醸し出す流れへと変更を受けたようです。

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個人的には、最初に見た時より少し慣れたものの、スタイリングに関してはイマイチな印象は拭えません。顔はどうしてもマーク2ブリッドを思い出しますし、ルーフラインが伸びた事で、W211のエレガントさに比べれば少し無骨さが目立つ印象。その分、リアシートの居住性を中心として、ある意味W124時代の端正なメルセデス像が戻ってきたと感じられる方もいるかもしれません。

スタイルについてはW210登場当初の丸目もかなり違和感があったので、マイナーチェンジや次期モデルなどが出ていくことで次第に慣れていくかもしれません。また、そういった強引とも言えるトレンドの流れを作り出してしまいかねないというのも、ある意味メルセデスのブランドの強さの1つとも言えるでしょう。

ボディサイズは全長・全幅が若干拡大。特に1855mmの全幅は、国内でのオーナーカーとしてはギリギリのサイズでしょう。FRならではの特権で最小回転半径が抑えられているのがせめてもの救い。スクエアなボディデザインや、20mm伸ばされたホイールベースによって、居住性は若干拡大傾向になっています。

インテリアでの注目は、シフトノブがなくなったこと。SやMLのように、ステアリングコラムへ小さくレバーで配置されています。BMW7シリーズがいち早く採用したものの、こちらは新型でコンベンショナルな位置へと逆戻り。しかしメルセデスは、このシフト位置をどんどん他車種にも広げていくようです。また、ナビシステムの位置がようやく現代的な場所へと移動されたのは歓迎したいと思います。

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依然このクラス・価格帯としてはインテリアの質感はもう一息という印象ですが、W211時代からすれば随分とよくなりました。またインテリアはもちろん、外装のLEDライトやAMGパッケージのマフラーと一体型エアロなど、ところどころアウディやレクサスの他メーカーのトレンドを受け入れている点も、目につくところです。

メルセデスの中でも一番の生産メイン車種だけであって、新エンジンや足回り、安全装備の充実には目を見張るばかり。先代W211ではブレーキバイワイヤ―システムのSBCをSLに続いて搭載したものの、モデル途中でリコール問題が発生。トヨタはしっかりとモノにしたものの、メルセデスは潔くこの分野から身を引きました。

そういった出来事もあり、今回のW212を開発するにあたってテストに費やされた走行距離は、約3600万キロ。これは昨今の新型車と比較すると圧倒的であり、同じメルセデスで比較しても、この規模は異例。コンピュータ技術が発展しながらも、こういった人間の感性でしかチューニングできない領域のセッティングも含めて、相当煮詰めて開発が進められたようです。

エンジンは、3Lと3.5LのV6、そして5.5LのV8。いずれも自慢の7Gトロニックの組み合わせ。V8モデルにはエアサスが装着されるのはW211と同じ。ご自慢のブルーテックディーゼルや63AMGもいずれ追加されることでしょう。

注目すべきは、おそらくそれとほぼ同時期に上陸するであろう1.8L直噴ターボモデル。メルセデスといえばCクラスでもお馴染みのコンプレッサー、つまりスーパーチャージャーを採用してきましたが、Eクラスからは過給機をターボに変更。排気量ダウン+過給機で性能維持・燃費性能改善という流れは、ついにEクラスまでやってきました。

排気量がそのまま車格・ヒエラルキーにつながる国内では、1.8L4気筒のEクラス…ともなると少し抵抗あるユーザーが多い事が予想できるので、やはりおそらく当分はE300〜350が結局は売り上げの中心になるでしょう。導入予定と目される204ps仕様のE250が、7速ではなく5速ATというのも少し気になる点。しかし、このような自らが築き上げてきたヒエラルキーを壊すようなドラスティックな改革を行う姿勢は、凄いの一言。気筒数で高級車の品格の差を問う時代は確実に終わりに近づいてきているのかもしれません。

誤解を恐れずに強引に単純に言うならば、クラウンにプリウスのパワートレーンを積むような、そんな感覚に近いかもしれません。さすがにそれは乱暴すぎるとしても、現行のクラウンクラスの高級車に2.0L以下の排気量のエンジンを搭載するなど、売れる売れないは別問題として、今現在の国内メーカーでは考えられません。

もともと必要十分以上のパワーをもつ3.5Lエンジンにモーターを組み合わせ、完全に過剰領域とも言える過大なパワーとバッテリー積載による重量増を手に入れて、それで「ハイブリッドです。エコです」なんて言っている場合ではありません。

ハイブリッド車で成功しているクルマは、今現在プリウスだけ。トヨタ・レクサスを含めてそれ以外はすべて付属価値とブランド欲求のため、と言っても過言ではありません。ハイブリッドなんて、そんなハリボテ・メカニズムを…と完全に舐めていた欧州メーカーは、最近になってようやく焦り本腰を入れ始めてきました。

ハイブリッドに関しては日本が依然断トツ優位なものの、ガソリンエンジン改革に関して欧州勢の勢いというのはそうとうなものです。こういった観点でも、絶対的なクルマの完成度だけではなく、新型Eクラスはフューチャーされるべき1台と言えるでしょう。

少し話は脱線しましたが、いずれ実際乗る機会がありましたら、またレポートにてこの場でインプレッションしてみたいと思います。


<岩田 和馬>


posted by 親方 at 23:33| Comment(3) | TrackBack(0) | 岩田和馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
かってゴルフが出始めの頃、欲しかったのですが手が出なかったものです。
仕事の関係から長くホンダ車には4台乗り今は荷室の広さでレガシーにチェンジし2台目です。
外車で不安なのは故障時のサービスですね。
国産車のディラーの数に比べ少ないのが気になります。
レガシーが大型になりゴルフも選択肢に入りシロッコでも良さそう。
Posted by kyamaga at 2009年06月17日 08:55
 シロッコの価格設定には全く同感です。「日本での台数を考えるとどうしてもこの価格に・・・」と行った趣旨のVGJ広報のコメントがある雑誌に掲載されていましたが、勘違いも甚だしい。いつから高級スポーツクーペになったんでしょうね。発売直後はともかく後々あんまりいい結果にならないような気がします。個人的には、車の性格に合わせたとはいえただでさえ天地の薄いリヤウィンドゥにあんなバケットタイプのリヤシートをつけたのもマイナスポイントですが。

 新型Eクラスは発表直後の展示会(東京国際フォーラム)で見て少し試乗させてもらいました。スタイリングはだんだん目が慣れてきたからかそう違和感は感じませんでした。個人的には「なるほど新しいメルセデスだな」という印象。インテリアも最近のメルセデス各車と共通のデザインで、質感はまぁまぁというところ。アウディやレクサスあたりには負けますが、もともとSクラスあたりでもそんなに質感が高いわけではなく、特に期待もしていなかったので気になりませんでした。ただ、他車と比べたりすると「値段の割に大したことないな」という印象を受けるかもしれませんね。父親がS210のE320ワゴンに乗っているのですが、ディーラーに見に行った父いわく「ナビ画面があるせいかちょっとインパネから圧迫感を感じる」そうです。210のインパネはあまり高さがなく上面が手前に向かってなだらかに傾斜しているから余計にそう感じるのかもしれません。あと、個人的には以前に比べAピラーが傾斜している分ちょっと頭上(というかおでこの前あたり)の圧迫感を感じました。もっと足長の人なら問題ないでしょうが。
 
 試乗させてもらってまず感じたのは格段に静粛性があがったこと。アイドリング時の振動やエンジン音もほとんどないですし、走り出してもその印象は変わりません。ゴルフYもそうでしたが、最近の欧州車は静粛性にかなり力を入れているようです。ステアリングの操舵力は・・・と書き出すとまた長くなる(というかもう充分長すぎますが)ので、またの報告を楽しみにしております(苦笑)。

 またまた長文失礼しました。
Posted by ty at 2009年06月17日 12:54
コメント頂きありがとうございます。

kyamagaさん>
そうですね、ゴルフ2のGTIは確か当時でも300万円を大きく超えていました。そう考えると、絶対的性能ではなくエンジン排気量をヒエラルキーとしてとらえる体質がなければ、現行モデルの出来と価格を照らし合わせると、非常に手の届き易いセグメントとなってきたような感じもします。もっとも、そのような高級志向がゴルフに相応しいか、と聞かれれば微妙ですが…。
その点でも、次期ポロに個人的には大きな期待を寄せています。


tyさん>
台数が売れない=オプションてんこ盛りで価格を上げる、というのは、全くもって上手く理解できませんね。もちろんそれこそユーザーは絶対数限られているでしょうが、VGJはそれをより助長しているようにしか思えません。単純に考えてアウディTTと競合するような価格。私なら絶対TTを選ぶと思いますね。

メルセデスのデザインに関しては、むしろW211の流れがメルセデスの中では異端だったのでしょうが、個人的にはまだやはり少し見慣れません。苦笑

インテリアの質感もそうですが、やはりそこはメルセデス。細部や見えない部分にはビックリするくらいコストをかけているところも散見できます。

お父様のご意見、非常に的を得ていますね。今やもうナビシステムありきのインパネデザインなので、断崖絶壁にようになることは今や致し方ないのかもしれません。

最近の欧州車は、静粛性がグッと向上していますね。昔はその点で優位だった日本車勢に対して、「路面とのコンタクト性や車外の状況をあえて分かりやすくするため…」というような酷いこじ付けの文章が多く見られましたが、今やその意見はどこへやら、ゴルフの試乗記を見ても静粛性に関して皆さん大いに褒めているところを見ると、欧州車ありきの体質が少し見え隠れしてしまいます。苦笑

ゴルフやEクラスに関しても、試乗する機会がありましたら、またこの場で報告させていただきます。
またよろしければコメント頂けると幸いです。
Posted by 岩田 at 2009年06月28日 13:40
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