トヨタには同じ3列シートコンパクトミニバンとしてはシエンタがありますが、2台と比較すると大きく違うのは全高。シエンタより50mm、フリードより95mmも低く、またスライドドアではなく、あえてリアドアにはヒンジ式を採用しているところなどを見ると、カローラスパシオの実質的後継車とも言えそうです。
とはいえ、全長はスパシオの方が80mm長いものの、ホイールベースはセッテ/ルミナスの方が逆に150mm長く、同じような似たサイズの中でも、よりパッケージングの効率化が進められている事が伺えます。
そのため、見た目で言えば3列シートミニバンという雰囲気はあまりありません。サイズは若干違うものの、ディティールや全体のシルエットなどは、個人的に見れば見るほど、日産のノートにそっくりに見えてしまいます。
インテリアは、bB/クーと同じようなセンターメーターが特徴的なものの、その他のレイアウトや質感はいたってシンプル。余計なギミックがなくスッキリまとまっているおかげで、オーディオやエアコン、そしてインパネシフトの操作性も含めて、扱いやすさは○。また、フロントシートはグレードによってセパレートタイプ・ベンチタイプと2種類設定されています。
気になるサードシートはあくまでもエマージェンシー。スパシオよりは格段にマシですが、5+2シーターの領域は超えてはいないようです。シート自体も非常に薄く平板で、収納は分割格納ではなく一体式で畳むだけ。
多様性はありませんが、フリードの跳ね上げ式収納サードシートよりは、女性ユーザーにとって遥かに楽に操作する事が可能です。また、セカンドシート中央のヘッドレストがキチンと装着されているのは○。3点式シートベルトがこれで採用されていればさらに良かったです。
エンジンは1.5Lのみの設定。ダイハツ主体開発ということで、トランスミッションはCVTではなく、トルコン式の4速ATが組み合わせられています。そのハンデをイメージで少しでも補うためか、インパネシフトのATには、全車スポーティなシーケンシャルモードが搭載されています。タイヤサイズはベースモデルが175/65R14、上級グレードは185/55R15のポテンザを装着。
注目は、FF車の全グレードでVSCがオプション装着可能となった点。標準化まではまだ遠いものの、選択の余地さえない状況からすれば、ユーザーの任意で装着できるようになった事は大きな進歩です。
VSCはTRCと同時装着され、ブレーキディスクの径も15インチへと拡大。14インチタイヤ車は、それに伴い自動的に15インチへとタイヤがインチアップされます。これでオプション価格は14インチ車で78750円、15インチ車で63000円。これは是非とも購入する際には検討して欲しい、魅力的かつ重要なオプションアイテムです。
VSCがオプションで装着可能となっている一方、セッテのベースグレードとなるXグレードでは、サイド&カーテンエアバッグが標準装着されていません。ちなみに、ルミナスは全グレードでオプション扱いとなっており、ほとんどのグレードに標準装着されているトヨタ側のセッテが凄いのは、他メーカーから比べても確かに明白です。
トヨタは昨年7月のプレスリリースで、乗用車系の新型車に関して、サイド及びカーテンエアバッグを全車標準化するという発表をしており、これはいわば、メーカーからの公約として大々的に打ち出したとも言えます。それなのに、なぜベースグレードのXだけ標準装着されないのか。確かに価格面で他ライバルに優位に立とうする姿勢も理解できますが、昨年発表したのであれば、是非これは推し進めるべきだと思います。
もちろんトヨタは、イスト、カローラルミオンを始め、ヴィッツやラクティスではマイナーチェンジをきっかけに、このクラスではコスト面的にもかなり厳しいにも関わらず「全車標準装備化」という明確な姿勢で取り組んでいました。
よくよく考えてみると、ヴィッツやラクティスのマイナーチェンジでは標準化された一方で、ベルタやbBでは、なぜか引き続き従来通りのオプションのまま。つい先日マイナーチェンジされたカローラシリーズでも、ルミオンでは装着されていながら、セダンとフィールダーには標準化されませんでした。
そして今回、パッソセッテでの同車種でのグレードによる差別化。いったい昨年のトヨタのあのプレスリリースでの宣言は何だったんでしょう。業績悪化が叫ばれる中での、価格戦略優先のための方向転換でしょうか。それなら改めてキチンとまた公式的に発表するべきでは? と思ってしまいます。
話は少し脱線してしまいましたが、セッテとルミナスではサイドエアバッグの標準グレードの差異があったり、またセッテの方は全車オーディオレスになっているなど、兄弟車の中でも装備内容に若干の違いが生じています。価格もそれぞれに違うので、これは実際購入検討する際に、より自分の要望に応える設定を行っている方を選ぶのもいいかもしれません。
とりわけインパクトの大きいモデルではありませんが、現状のマーケットの流れを確実に睨み、ちょうどいいところに落とし込んで仕上げてくるのは、良くも悪くもさすがトヨタ&ダイハツといったところでしょうか。個人的には、パッソ/ブーンベースのシャシーで7人乗りの車をどこまでしっかり仕上げられたのか?と少し気になるところではありますが、「絶対に独走は許さない」という、トヨタのライバル潰しの凄さをまた垣間見たような気がしました。
なお、これで本年中の新車レポートは最後となります。ありがとうございました。また、来年からもよろしくお願い致します。
岩田和馬(19歳 大学1年生 大阪府在住)
子供の頃から筋金入りのクルマ好きで、自動車メディアの仕事に就くことが夢です。自動車メディアは東京中心であり関西人には縁遠いものに感じていましたが、国沢学校での経験を通し夢実現に向け頑張って行きたいと思います。
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