2008年12月03日

新型フェアレディZを見てきました

日産から、今回で6代目となる新型フェアレディZが登場しました。

来年で初代ZであるS30が登場して40年。フェアレディだけで言えばSR、SP、さらに遡ればSPL……と、実質的にはさらに長い歴史を持つフェアレディ。それだけに、日産としても自動車ファンとしても非常に重要なモデルである事は今更言うまでもありません。

Z32が消滅してしばしの沈黙の後、Z33が登場したのが6年前の02年。登場後もエンジンを4度も変更したのを始め、毎年のように改良と熟成を重ねて、まさにスポーツカーらしく在り続けるために進化を続けてきました。

そして、今回の6代目…スタイリングは限りなく5代目のイメージを残すキープコンセプトでの登場となりました。が、しかしあくまでもイメージは踏襲するものの決して「守り」ではなく、確実に「攻め」の姿勢でスタイリングされている事が分かります。

最初に気づくのが、大きさ。年々ボディサイズが拡大する傾向にある中、全長で65mm、ホイールベースはなんと100mmも短縮されました。同じ日産車で言えば、全長はティーダと同じ。先代と並べてサイドから見ると、明らかに一回り小さい印象です。全高は先代と同じで、全幅は逆に45mm拡大。トレッドもそれに伴いグッと広がっていて、前後フェンダーの膨らみはさらに明確に。とりわけ、リアのワイドフェンダーっぷりはちょっと他の国産車では見られないほどボリューム感で、セクシーかつスポーティな印象をさらに強めてくれます。当然空力面にも力を入れており、控え目なフロント&リアスポイラーが装着されるエアロキットを装着すれば、前後ゼロリフトも達成しています。

フロントマスクは少し魚類っぽい造形。ブーメラン型のヘッドライトはボリューム満点のボディに対してやや力不足な印象か……。しかしながら同じモチーフのテールのリアは非常にボディラインにマッチしており、ボディ中央下部に装着されるリアフォグはSUPERGTのマシンを思わせます。Aピラーからルーフ周辺のラインの折り方は、GT−Rを思わせる仕上がり。Zはピラーがボディ同色となるので、個人的にはこのあたりのパネル接合部分のチリの隙間が少し気になるところでしたが、すでに同時併行で開発が噂されるオープンモデルでは、ルーフがなくなることでスッキリとして解消される事でしょう。

少しアレっと思ったのは、マフラー。こちらもボリューム満点のボディに対し全体的なまとまりはいいものの、少し迫力不足…?実は、先日LAショーで公開された車両にはオプションのNISMO製スポーツマフラーが装着されており、その時の印象と実際の市販型を見比べた時に若干の落差を感じたのでした。今回アクセサリーとしてこのマフラーもオプションで用意されているので、純正で物足りなさを感じた方は検討価値アリです。

もう1つ、小物で注目したいのはサイドのウインカー。最近流行りのドアミラー内蔵型ではなく、サイドのZエンブレムにLEDを内蔵し、エンブレム自身が光る凝った仕組み。サイドエンブレムをウインカーにする手法はすでにBMWZ4で見られますが、Zのほうが視認性・アピール性ともに高く、こういった作り手のこだわりを感じられる点はスポーツカーにとっては結構大切なポイントです。また細かいところでいえば、先代でボディラインを台無しにするひどい位置に装着されていたアンテナがなくなり、スッキリとしたのは○。

継承された特徴的な縦型のドアノブを開けると、まず軽量化のためにアルミ化されたドア自体の軽さを実感。ヒップポイントはさらに10mm下げられ、スポーツカーらしい適度な包まれ感のある空間です。

先代から飛躍的に進化したのがインテリアのクオリティ。価格面の限界か、特に初期型のインテリアの質感はお世辞にも褒められたものではありませんでした。しかし新型は、ソフトパッドの面積拡大を始めとして、見た目・触感ともに大幅なインテリアの質感向上を実現しています。少しスカイラインクーペと似通った印象が強くなり、特にナビ装着車はスポーティというよりもフォーマルな雰囲気が強まりますが、メインとなる大径メーターに3連サブメーターの特徴はしっかりと継承。サブメーターの1つがあまり普段さほど見る必要のない?油圧メーターから、ハード走行の時には是非とも気になる油温メーターに変更されたのはスポーティ派の人にとっては嬉しいポイント。もちろん一番運転席寄りの位置に配置されています。

ステアリングは小径化された印象で、質感のいい革でキュッと締められ握り心地が大変よく、クルマ全体の印象をさらに向上させてくれるパーツの1つ。メーターフォントは少しGT−Rを思わせ、また大径化されたことにより視認性は◎。右にはスピードメーター、左には車両情報を表示する大型ディスプレイを配置。燃料計と水温計は特徴的なシグナル式で、視認性もよくスポーティでなかなか面白い表示方式です。

シートはブラックのファブリックシートを基本として、本革シートが装着されるバージョンT、STには3色のカラーを用意。ブラック、オレンジ、そして先代途中で追加されたグレーが選択できます。シート自体もサイズ、サポート性が向上した印象で、特にアクティブヘッドレストの大きさは非常に安心感満点のビックサイズ。

また先代に比べて収納スペースの充実ぶりにも注目。グローブボックスがないという致命的な欠点があった先代でしたが、新型はキチンと用意。いちいちシートを前倒さなくても使えるようになったアクセサリーポケット付シートバックボックス、容量と使い勝手が向上したセンターコンソールボックスなど、先代ユーザーが持つ不満を大きく解消しています。

そしてラゲッジスペースも大幅に拡大。先代は剛性確保の為にサスペンションタワー同士を結ぶ大型のタワーバーが横断していましたが、新型ではフロアやボディから構造を見直し剛性アップを実現。タワーバーがより細くスマートになり前席真後ろまで移動したことで、ゴルフバックを2つ収納可能なスペース確保しています。大きなハッチゲートをもつこともあり、2シーターながら実用性はなかなか高そうです。


エンジンはスカイラインクーペにも搭載されている、アクセル開度をスロットルではなくバルブ作動角とリフト量で制御する3.7LVVEL(ブルベル)を搭載。パワーも若干向上しており、336ps/37.3kgmを実現しています。それに組み合わされるのは、6速MTと7速AT。注目はバージョンS、STの6速MT車に搭載されるシンクロレブコントロール。これは従来AT車に搭載されていた、シフトダウン時に回転を合わせるために自動的にブリッピングをする機能で、これがMT車に搭載されたことによりクラッチを切りシフトダウンをするだけで自動的にクルマ側がアクセルを煽り回転合わせを行う……つまり、勝手にヒールandトゥをクルマが行ってくれるというもの。頭では理解できるものの、実際の感覚としていったいどのような印象を受けるのか、ぜひとも気になる制御です。ちなみにこのシンクロレブコントロール、シフト横にあるSモードスイッチによってON/OFF両方の設定が可能なので、万が一感覚が合わないユーザーの方にも安心です。

また、今まで他車に対してリードを許していたATは一気に7速へと進化。2速以上のロックアップ制御やZでは初のパドルシフト搭載など、ATの方もスポーティさへの対応は忘れていません。ちなみに、この3.7Lエンジン+7速ATは近日スカイラインセダンにもマイナーチェンジで搭載されるようです。

サスペンションはフロントダブルウィッシュボーン、リアマルチリンク。ブレーキは先代で設定のあったブレンボは姿を消し、バージョンS、STにはフロント4ポッド、リア2ポッドのアルミキャリパー対向ピストンブレーキを搭載。このあたりはスカイラインクーペと共通していますが、先代Z33が登場したのは、スカイラインクーペ登場の1年前。今回のZ34では逆にスカイラインクーペよりも1年後に登場したこともあり、大幅なサイズシェイプに加えて、走り面での熟成もさらに進んでいる事が期待できます。LSDはトルセン式ではなく、先代と同じくビスカス式。Z33はサーキットなどでのコーナー立ち上がりでのトラクション不足が指摘されていましたが、新型ではシャシー性能の向上でどこまでカバーできているのか注目したいところです。

タイヤとホイールは標準車とバージョンTがフロント235/リア245の18インチホイール、バージョンS、STにはフロント245/リア275のRAYS製鍛造19インチホイールがセット。ちなみに、先述したように新型は大変グラマラスなボディをもつだけに、見た目の印象だけで言えば18インチは少し足元が貧弱気味。ブレーキもシングルポッドなだけに、新型に映えるのはやはり19インチの方です。これだけのワイドタイヤを履きながら、短縮されたホイールベースのおかげで最小回転半径は18インチで5m、19インチでも5.2mとコンパクトカー並みに抑えられているのは嬉しいポイント。

これらの内容の充実にも関わらず車重はほぼ変化なし。ボンネット・ドア・リアゲートのアルミ化などにより、実質的には100kg近い軽量化が行われているのとほぼ同じとのこと。

注目の価格は、標準仕様の6MTで約362万円。Z33から約25万円向上していますが、性能や内容の濃さを考えれば十分納得できる範囲でしょう。また、新型は当初からNISMO仕様のパーツをパッケージオプションとして用意。ただ、大きなエアダムやリアスポイラーはZ33の時と同様、今度のZ34にも少し不釣り合いかもしれません。

気になるのは、折しもこのタイミングでの登場という事。おそらくメイン市場であるアメリカでの金融不安か叫ばれる中デビューするZ34の運命やいかに。今年最後の大玉、正統派FRスポーツカーの登場は早くも前途多難の様相を見せていますが、クルマ自体の仕上がりの良さ…そしてなんといっても迫力満点色気満点の魅力的なスタイリング。久々に「カッコいい!」と思える国産スポーツカーの登場は、一クルマ好きとして素直に喜ばしい1台である事に違いはありません。



岩田和馬(19歳 大学1年生 大阪府在住)
子供の頃から筋金入りのクルマ好きで、自動車メディアの仕事に就くことが夢です。自動車メディアは東京中心であり関西人には縁遠いものに感じていましたが、国沢学校での経験を通し夢実現に向け頑張って行きたいと思います。

posted by 親方 at 10:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 岩田和馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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