
ハイブリッドシステム自体はエンジンが主役、モーターはアシスト的な役割をするホンダIMAで、走行モードは発進時と加速時のモーターアシスト、エンジンのみの定速走行、減速時のエネルギー回生、アイドルストップの5種類。インサイトで低速巡航時にあるEV走行モード(エンジンとモーターをクラッチやギアで切り離せないので厳密なものではないにせよ)は、インサイトに全バルブ休止状態があるために出来るのに対しCR−Zは1バルブ休止のみになるためありません。なお、エアコンは普通のエンジン駆動タイプとなります。

ラゲッジスペース下に置かれるバッテリーとコントロールユニットを一体化したIPU(インテリジェントパワーユニット)、バッテリーはサンヨー製で容量もインサイトと同じ
CR−Zで注目なのは初代インサイト以来久々のハイブリッドのMT車の設定です。

ミッション自体は欧州シビックの1.8リッターに組み合わされる6速MTがベースで、ハイブリッド用に細部を合わせたものとなります。やっぱりハイブリッド車でもMTで運転を楽しめるというのは嬉しいことです。ハイブリッド用のMTが出来たのですから、無責任なことを言えばインサイトへの組み合わせても望みたいものです。

6速MT本体
CVTはスタート用のクラッチを持つ7速パドルシフト付きです。なお重量はCVT/1160kg、MT/1130kgと、MTの30kgの軽さは実走行時の大きなメリットとなりそうです。

10・15モード燃費はCVT/25km、MT/22.5km。実走行ではどうなるか?
プラットホームはインサイトベースとなりますが、サスペンション形式や形状は同じものの、ワイドトレッド化に対応してフロントのロアアームが新作のアルミ製(インサイトより左右で4kg軽量)、リアもアクスルビームが専用、ハブもPDC114.3の5穴なっているなど、ほとんど別物です。重量配分がハイブリッド化でリアに重いものが載っていることもありフロント6:リア4とFF車にしてはノーズが軽いですから、かつてのCR−Xを彷彿とさせるシャープな走りを期待したいところです。

タイヤサイズは195/55R16、アルミホイールはインサイトの16インチアルミより4本で5kg軽量。ブレーキディスクは14インチ径
最近のホンダ車が燃費重視のECONモードで力を入れている制御関係には、スポーツモードが加わりました。CR−Zに用意される3モード(ECON、ノーマル、スポーツ)は大まかに言うと電子制御スロットル、MT車のモーターアシスト、CVT、エアコン、電動パワステの重さがノーマルを基準にECON→燃費重視、スポーツ→スポーツ走行向けにパワー重視、電動パワステも重め、となります。気分や走るシーンによってモードを選べるにもCR−Zの大きな魅力の1つです。

グレードは上級のα/249万8000円、ベースのβ/226万8000円(価格はCVT、MTともに同額)という「世界最高水準の安全性能」と言っていた2代目レジェンドのような2種類。どちらもスタビリティコントロールVSA付きで、装備差はアルミホイール、HIDライト、クルーズコントロール、パネルやステアリングといったインテリア関係なので、せっかく買うならαなのでしょうけど、自分好みにいじりたい人ならβもありといったところです。αにはCVT、MTともにクルーズコントロールも付きますから、ライトウエイトスポーツとしてだけでなくGTカー的な使い方も出来そうです。
価格自体は「まあそんなところか」、「思ったより安い」など感じ方は人それぞれでしょうけど、ハイブリッドカーですから先日のベンツEクラスと同様に取得税と重量が免税かつ購入補助金の対象ですから、今ならβで25万以上安く買えることになります。そう考えるとβは約200万円ですから、待ち望まれていた車両価格200万円のスポーツモデルが密かに登場したことにもなります。カリカリのスポーツモデルではないにせよ、その分付き合いやすくて、若者からお年を召した方まで広く受け入れられそうなカッコ良くて燃費のいいハイブリッドのスポーツモデルというのは商品としても非常に魅力的です。その魅力を象徴するように、1000台の月間販売目標台数に対してすでに4500台の注文が入っているそうです。


ホンダ純正オプションのモデューロ、ホンダワークスの無限もすでにスタンバイ
ハイブリッドカーという以前に久々に出てきた比較的手軽なスポーツモデルということでちょっと興奮しているせいもあるかもしれませんが、個人的にもCR−Zは所有したい車に感じます。写真のモデューロ、無限仕様もカッコいいですし、今年からハイブリッドカーも出場できるようになったスーパー耐久やツインリンクもてぎのJOY耐などのモータースポーツにも出てくれば、車への関心を高める意味でもCR−Zの貢献度は大きいのではないでしょうか。