2009年08月03日

スカイラインクロスオーバー試乗レビュー

日産からスカイラインクロスオーバーが登場しました。ご存じの通りすでに数年前から北米では「インフィニティEX」として販売されており、今回パワートレーンがアップデートされて日本に導入されました。しかしのっけからではありますが、このネーミングのセンスはいかがなものか。スカイラインベースの派生車種ではあるものの、あまりに単純で安易的なネーミングだと思わざるを得ません。スカイラインという名前にもっと重みを感じて欲しい、と感じるのは、古臭い凝り固まったコアなクルマ好きだけの考えになってしまったようです。

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頭から皮肉ってしまいましたが、クルマ自体の存在はなかなか好印象。スタイリングは先代から日本でも並行輸入で人気のFXをモチーフとしつつ、全幅は1800mmに抑えられており、日本でもなんとか許容範囲のサイズ。写真ではかなり立派に見えますが、実際は1575mmに抑えられた全高の影響もあって、グッと引き締まって見えます。大径タイアを履きつつ、スカイラインよりホイールベースが50mm短い事もあり、最小回転半径は2WDモデルで5.5mに抑えられているのも、取りまわしの際有利に働きそうです。

また、このクラスのSUVではBMWと日産だけとなる、FRベースのプロポーションの良さも魅力の1つ。線だけではなく面のつながりと光で見せるボディラインをはじめとして、その佇まいには実に雰囲気があり、「色気」や「気品」を感じさせてくれる数少ない国産車の1台と言えるでしょう。

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その流れはインテリアにも。ベースとなったスカイラインとの共通パーツは並行ステッチでキュッと革を巻き上げられた小径ステアリングくらい。この質感の優れたステアリングと7500rpmリミットのタコメーターがスカイラインの血筋を感じる事ができますが、それ以外では実に優雅な雰囲気。FRベースということもありドライバーズシートは広々とは言えませんが、ポジション自体はアイポイントが高い事以外はセダン的。ただ、大きめなシートはホールド性よりもゆったり感を重視したようで、クッションも柔らかめ。カチッとした硬めのシートを好む人には、この少しアメリカンなシートは気になるかもしれません。

リアシートですが、こちらもはっきり言って狭め。乗員性自体は非常に優れているのですが、178cmの自分が適切なドライビングポジションをとった状態で後席へ座ると、膝前には握りこぶしがかろうじて1つ程度。ラゲッジスペースもBOSEのサブウーハーが搭載される影響かフロアが高めで、申し訳程度の長さしかないトノカバーを見ても分かる通り、奥行きもさほどありません。広さだけで言えば格下のディアリスのほうが遥かに有利。

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もちろんこれはFRベースであり、そのスタイリングを優先した結果。セダンではなく、4ドアクーペとSUVの融合と考えたほうがいいでしょう。ゴルフバックの収納などを期待するのであれば、大人しくセダンを選ぶのが賢明です。格納だけでなく、元の状態へ戻すのも電動で行えるリモコン式リアシートの使い勝手は○。

パワートレーンは330psを発生する3.7L+7速ATのみ。相変わらずスロットルを踏み込んだ瞬間から抜群の加速力を見せ、車重アップのデメリットも性能的には全く問題なし。むしろ発進時のスロットルの早開き特性が、少し重めということもあり、まだ若干デリケートではありもののその癖が少し抑えられている印象。試乗したのはFRモデルだったのですが、4WDモデルではもう少し改善が期待できます。日本では2.5Lモデルがあれば、さらにユーザー層を増やす事ができそうですが、やはり主力は北米市場。難しいところです。

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アイドリングから図太く獰猛な排気音が室内にこもり気味となるのはご愛敬。VQエンジンもHR仕様となって以前と比べれば随分と洗練されたものの、絶対的レベルではまだまだ振動・音に関しては荒々しさが残ります。エキゾースト系や室内の静粛性は異なりますが、そのフィーリングと音はまさにZのそれ。スポーティと言えばスポーティなものの、クルマのプレミアムな雰囲気に相応しいかどうかと言われると、好みが分かれるところでしょうか。7速ATのシフトダウンでのブリッピングが気持ち良く、つい有りもしないパドルシフトを指が探してしまうあたり、いい意味でも悪い意味でも、「この瞬間が日産だなぁ」と実感させてくれます。

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タイアは225/55R18のダンロップ。M+Sではなく完全なサマータイアであるところが車のキャラクターを物語っています。乗り味はスカイラインシリーズの中ではベスト。ワインディングではさすがに少し重さとロール量の違いを実感しますが、いまでは少数派となりつつある純粋な油圧式パワステがもたらすナチュラルなステアフィールと、重量配分バランスの良さに優れたフットワークに加え、非常にたっぷりとしたサスストロークを持つ懐の深さは、まさしくこの車の真骨頂。レクサスRXやムラーノとは別次元のこのプレミアム感とスポーティさの融合は、スタイリングと並んでこのクルマの大きな魅力の1つでしょう。

ラインナップはシンプルで、標準車と豪華版のタイプP。それぞれでFRと4WDが選べます。車のキャラクターを考えれば、FRでもほとんど過不足することはないでしょう。本革シートが欲しければタイプP。特にブラウン色のインテリアは、インテリアの雰囲気をさらに個性的に演出してくれます。それを気にしないのであれば標準車でもHDDナビや運転席パワーシート、サイドエアバッグにVDCとフル装備状態。これで420万円スタートならば、内容を考えれば十分納得できるレベル。

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エコ減税ブームが吹き荒れる中、このスカイラインクロスオーバーはその恩恵を全く受けることがなく(13年以上所有車を廃車した際の25万円援助のみ)、登場のタイミングが悪いという印象は正直拭えません。また月間販売目標はたったの200台。それでもボディカラーをスクラッチシールド対応の全7色(!)設定した点には拍手ですが、一方でオプションカタログはぺらんぺらんで、スモーカーには必須的なドアバイザーも設定されないほど。エアロやボディコーティングを頼まない限りはディーラー側の取り分もあまり稼げないでしょうから、正直言ってかなり売りづらい1台ではあると思います。

しかし、冒頭にも書いた通り、国産車になかなかない雰囲気を持ち合わせている個性的な1台である事は事実。室内・ラゲッジの狭さと燃費の悪さを除けば、実際の日本での使い勝手も上々。そしてスタイリングと走りのバランスもかなり好印象。このようなウンチクうんぬんの戯言を並べるのではなく、左脳より右脳で選びたくなる1台です。


<レポート:岩田 和馬>


posted by 親方 at 11:53| Comment(4) | TrackBack(0) | 岩田和馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月01日

ファルケンタイヤ

ファルケンタイヤのWebサイトを見て、ビックリしてしまいました。何にビックリしたかというと、現在の商品ラインナップです。Webサイトに載っているのはサマータイヤがファッション性重視のジークス、実用車向けのシンセラ、スタッドレスタイヤが3種類の5種類。これはファルケン内でラインナップ再編があって一時的に縮小しているのか、それともファルケンがダンロップ、ファルケン、グッドイヤーから成るダンロップファルケンタイヤグループなので、グループ内での再編への予兆ということなのでしょうか。

タイヤメーカーもアジアブランドの躍進などの影響もあるのか、自動車メーカーと同様の業界再編の時期が来ているのかもしれません。
posted by 親方 at 23:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 弟子永田 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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