2009年06月13日

新型アクセラ

マツダから、2代目となるアクセラが登場しました。初代アクセラはファミリアの後継車という世界戦略車のポジションを担って登場し、全世界で200万台という好調なセールスを記録。マツダ全体売り上げの3分の1を占める主力モデルとして、マツダの今後を背負う重要な1台となります。

まずはスタイリングから。先代モデルでは標準系とエアロ系、そして4ドアセダンと5ドアのスポーツでフロントマスクを分けていましたが、新型では国内仕様は基本的にすべて統一されました。

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フロントはバンパーから開口部を大きく開けて、グリルレス風の処理。ヘッドライトはグッとツリ上がって、非常にアグレッシブな顔付きとなっています。先代モデルはデザインに関しては評価が高かったですが、新型も積極的に攻めてきました。国際戦略車としての役目を考えれば、このスタイルはなかなかのチャレンジです。

昨今のプジョーのデザイントレンドに少し似ている点も感じますが、こういった実用的なセグメントのメイン車種でダイナミックな造形に挑戦したその姿勢は、昨今のマツダのデザインレベルの高さを伺える要因の1つ。好き嫌いはハッキリするかもしれませんが、個人的には若々しさと勢いが感じられ、かなり好印象。一目見て「アクセラだ!」とはっきり認識できるインパクトの強さは、文句なしに個性的です。

フロントフェンダーを強調するプレス処理は、RX−8から一連の流れを含むマツダの1つのアイデンティティ。北米市場ではメインとなるセダンは、先代と同じくトランクリッドが短くハイデッキな処理。基本アテンザを思わせる造形ですが、リアからの眺めは先代と比べるとこれでも随分精悍さを増しました。日本で主力となるスポーツのリアは、テールランプからバンパーへと流れるラインが印象的。テールがギョッと飛び出しているスポーツに関しては、こちらも少し好き嫌いが分かれるかもしれません。

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2.0LモデルはリアテールがLEDタイプに。これはアテンザにも言える事ですが、クリアテールの処理は、夕暮れ時などの後方視認性を考えると誉められたものではありません。ノーマルのテールではブレーキ部分はレッドとなるので、LEDテールもこのほうが良いのでは。また、ハイマウントはいまだにバルブ式タイプという「逆転現象」は、新型となっても継続しています。

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もう1つ気になるのは、フロントライト側面の蛍光オレンジのライン。北米仕様のサイドマーカーの役割?とも思いましたが、実際機能面では何の効果もないそうです。この歌舞伎役者の目つきのようなオレンジのラインにはかなり違和感を覚えましたが、これはハロゲン式ヘッドライトのみに施される処理。HIDライトを装着すると、この目立つ不自然なラインななくなるので、気になった方はオプションでHIDを選ぶとこの問題は解決されます。

またボディデザインが非常にボリュームたっぷりなので、先代以上に15インチサイズのタイヤでは視覚面で見劣りしてしまう印象。走りとのバランスもありますが、ここはやはり17〜18インチのほうが、新型アクセラのデザインをより際立たせてくれます。

ボディサイズは全長×全幅×全高×ホイールベースが、4490(セダン:4580)×1755×1465×2640。このセグメントではまだこれでもコンパクトな方とも言えますが、国際戦略車とは言え、これ以上のサイズアップは抑えて欲しいところです。

新型は全長がセダンで+100mm、スポーツで+90mm。しかしホイールベースは変わっていないので、このサイズアップは居住性向上というよりも、スタイリングやラゲッジスペースの拡大、また衝突安全性や歩行者保護の観点によるもののようです。

また国産であまり見られないボリュームたっぷりのバンパーは、使い勝手の観点から言えばメリットはありませんが、カッコよさという点で○。特にセダン・スポーツのリアバンパーの張り出しは迫力満点。バックの際には少し注意が必要なものの、最小回転半径はメイングレードで5.1mと優秀で、実際の取り回しはそう苦労しないでしょう。また純正ナビのバックカメラは、マツダのエンブレム内に上手く隠されています。

インテリアは、マツダらしい囲まれ感を重視したスポーティな雰囲気。チルト・テレスコステアリングとラチェット式シートリフターなども相まって、ポジションの自由度は非常に幅広く、ピシっとドラポジを決める事ができます。フロントシートは標準仕様でも座面部分でしっかりとサポート性を発揮させており、クッションも硬めで好ましいです。20S・20Eなどに採用されるスポーツシートだと、サイドサポートがさらに強調された作りとなっており、スポーティな印象はさらに強い。

また、小径でスッと手になじむステアリング、手を下ろしたそのまさにドンピシャの位置にある、先代から60mmも上方に配置され、FF車としては非常に短いシフトノブも、よりスポーティな雰囲気を演出してくれるポイント。反面、サイドブレーキの位置は少し遠い印象です。このあたり、基本左ハンドル設計で考えられている部分が垣間見えるところでしょうか。

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インパネ付近のデザインは基本的に先代からのイメージを継承。各部の質感は取り立てて高いとは言えないものの、価格を考えれば十分以上。クリーンかつヨーロピアンな仕上がりは、無理矢理デザインに凝って乱雑な印象を残す昨今のホンダ車などよりも、はるかに好感が持てます。

シンプルながらも大きめに配置されるエアコン〜オーディオ付近のスイッチ類の操作系も分かりやすく、インターフェイス面で大きな特徴はないものの、最近のマツダのスッキリとしたインパネの雰囲気は、このアクセラにも受け継がれています。

ただ、エアコン操作系のボタンスイッチとダイヤルの上下位置を逆にしたほうがより分かりやすかったのではという気も。また、新型は内装色が全てブラック基調。先代にあった明るいベージュ内装+ピアノブラックパネルというなかなか雰囲気のよかった組み合わせがあっただけに、今後は内装色のバリエーション増加にも期待したいところです。

先代からの分かりやすい変更点と1つとして挙げられるのが、3眼式から2眼式へと変更を受けたメーター。視認性は大変よく、上級グレードには背景照明:赤、針:白の配色となるブラックアウトメーターが装着されており、インテリアの1つの見せ場ともなっています。

そしてもう1つの注目が、エアコン表示モニターと並列して並べられた、インパネの一等地に装着されるマルチインフォメーションディスプレイ(MID)。ここでi−stopの停車時間や燃費、外気温、平均車速、メンテナンス、オーディオなどの様々な情報が表示する事が可能となっています。ディスプレイの切り替えはステアリングのスイッチにて任意で切り替え可能。純正ナビを装着していなくても、こういったアメニティを楽しめるようになっています。

また、純正は白黒のドット式画面なのですが、マツダスピードアクセラは4.1インチの大型液晶モニター仕様のMID仕様。当然実際の見やすさだけでなく、インテリアの見栄えの良さも段違いに液晶モニターの方が上。この液晶仕様のMIDはHIDヘッドライトとセットでオプション装着可能なので、特にi−stopが採用される2.0L車では、ぜひともチョイスしたい装備です。

前述したように、サイズアップ分は居住スペースにはほとんど使われている印象はなく、居住性については先代から大きな進化はありません。しかしリアシートのスペースは十分実用的。頭上高もスポーツでは十二分に確保されており、セダンでもほとんど気になりません。フロントシート下につま先がキチンと入り、フロアからのシートの高さも適切。当然、リアシート中央席にもヘッドレストと3点式シートベルトが装着されています。

ラゲッジスペースは、セダンの方はオーバーハング延長の効果で、容量が拡大されています。先代はマイナーチェンジでもラゲッジ拡大に余念がありませんでしたが、新型では相変わらずトランクリッドが短く開口部は狭めながらも、幾分広くなった印象。シートは分割で格納でき、その際フラットにはならず段差が残りますが、セダンというキャラクターを考えるとさほど大きな問題にはならないでしょう。

スポーツのほうは、スペースのスクエアさが印象的。やみくもに最大幅を稼ごうとせずに、スペース効率を優先する処理はかなり欧州車チックな仕上がりです。バンパーラインとラゲッジスペースの間に段差が残ってしまうのが少し残念ですが、スポーツの方ではシート格納時はほぼフラット。また、ラゲッジスペースを前後方向や上下方向に上手く仕分ける事ができるフレキシブルフロアボードは技アリ。使いこなすことができればスペースを有効に、普段スッキリとまとめることができそうです。

エンジンは、1.5Lと2.0L直噴、そして2.3L直噴ターボの3種類。それぞれにCVT、5速AT、7速CVTの組み合わせ。北米では2.5Lも用意されますが、日本仕様には設定されません。また、MTがターボのみの設定というのも少し残念な点です。

基本デミオと同じ共通ユニットが搭載される1.5L。ただ数値上のパワーも若干変更されており、アクセラ用に専用にセッティングされています。ポイントとしてはトランスミッションが先代の4速ATから、7速アクティブマチック付のCVTとなったこと。車重を考えると若干アンダーパワー感は否めませんが、新型はそれをCVTが上手く補ってくれそうです。

シフトは押してシフトダウン、引いてシフトアップのレーシングカー方式。高速道路などで、シフトダウンで加速をする…といったシチュエーションでは少し慣れが必要ですが、ワインディングなどでは逆に、慣れればこのマツダ・BMWが採用しているタイプのほうがしっくりときます。また、1.5Lは直噴エンジンではないため、i−stopは残念ながら装着されないものの、それでもモード燃費は2.0L以上。おそらく日本ではこの1.5Lが販売のメインとなるでしょう。

そして今回最大の注目なのが、2.0L直噴エンジン仕様に搭載されるi−stop。従来のようにスターターで再始動をかけるのではなく、シリンダー内へ燃料を吹きかけ爆発させる力でエンジンを再始動させるという、直噴エンジンならではのメリットを生かした新しいアイドルストップシステムです。個人的にはマツダスピードアクセラにも搭載して欲しかったところですが、ターボとの組み合わせ面などを考えると少し難しいのでしょうか?

直噴エンジンといえば、三菱が先駆けるものの先走りすぎて失敗、日産もホンダもすでに辞めてしまい、今残っているのはトヨタとマツダのみ。このi−stopは直噴エンジン搭載車なら比較的低コストで装着できるということもあり、マツダにはアクセラをきっかけに是非他車種への普及を進めていってもらいたいところです。

話が少し逸れましたが、アイドルストップをするためにはいくつかの条件をクリアする必要があります。また、「アクセルを踏む事」ではなく「ブレーキを離す事」で再始動するので、そのあたり前回レポートでお伝えした、インサイトのアイドルストップの考えに近いもの。なお、このi−stop搭載車には、ボンネット内に縦・横にバッテリーが2個並べられて装着されています。

マツダが偉いのは、i−stop装着車用に専用グレードを設けたのではなく、2.0LFF全車に標準装着した点。せっかくの新機能を出し惜しみグレードにするパターンがよくありますが、今回のアクセラのこの姿勢には拍手!

この2.0Lに組み合わされるのは5速AT。こちらには1.5Lには装着されないステアリングシフトも装備されます。こちらも押してダウン、引いてアップという独自のロジックをBMWと同様に備えていますが、これに関しては一般的なパドルシフトの操作系のほうが、分かりやすさや取っ付きやすさは上。

BMWやMINIの場合もそうですが、確かにGの流れを考えると、減速方向→押してシフトダウン、加速方向→引いてシフトアップ、というシフトレバーでの変速ロジックと同じ考えでステアシフトのインターフェイスが考えられていますが、普通に考えて右がアップ、左がダウンのほうが操作のしやすさも含めて自然に馴染みやすいのでは。マツダ方式は片手でシフト操作できるというメリットがありますが、それを差し引いて考えても少し厳しいところです。

むやみなシフトアップ・ダウンを抑えるダイレクトシフトや、Dレンジ状態でもステアスイッチに反応するロジックは○ですが、そろそろこういったインターフェイスについてはメーカーが頑なに主張するだけでなく、素直に統一させた方がいいような気がします。せっかくの素晴らしく完成度の高いメカを、時代にそぐわないインターフェイスを採用してしまった事で損をしているポルシェのPDKが悪い見本。シフト側の+−方向の違いはクルマのキャラクターによって意見が分かれるかもしれませんが、ステア・パドルシフトについては、そろそろ周りと合わせて考える必要がありそうです。

本題に戻りまして、MSアクセラに搭載されるのは、2.3L直噴ターボ。FFながら264psという快足ホットハッチは、6速MTのみの設定。今の時代に男らしい割り切りの良さですが、営業サイドとしてはAT仕様も欲しいというのが正直なところのようです。

インプレッサSTIのA−Lineがなかなか販売好調な状況を見ても分かるように、若干ディチューンしてでも、MPV用の6速ATを搭載したモデルがあってもいいのでは。ボンネットエアインテーク、大型リアスポイラー、2本出しマフラー、18インチホイールを身にまとうそのアグレッシブさに、心奪われたものの、ATがないということで泣く泣く…というパターンは多いように思えます。

もちろん、MT仕様から手を抜けというわけではありません。1〜3速にトリプル、4速にダブルコーンシンクロを備えた6速MTは、ギア比も先代MSアクセラからファイナルを変えただけでなく、各ギア比それぞれも新型用となっている気合いの入りよう。

またFFでこのハイパワーを受け止めるべく、サスペンションは当然専用セッティング。フロント大径ブレーキローター、トルセン式LSDを装備し、タイヤは225幅40扁平の18インチ。ちなみに、この18インチのアルミホイールは、RX−8のタイプSに装着されているものと同じデザインのもの。

インテリアもMS専用の差別化部分が多数。メーターは専用280km/hスケール仕様で、ノーマルではシフトポジションを表示するセンター部分に、MS仕様はブースト計を設置。ドアトリム・インパネガーニッシュには赤ドット仕様の専用品で、同じ柄があしらわれるシートは、メモリー機能を備えたハーフレザー仕上げのパワーシート。他にも自動防眩ルームミラーなど、単なるじゃじゃ馬ホットハッチではない、プレミアムを感じさせる仕立てとなっているのが、今回の新型MSアクセラの特徴となっています。


そして、最後に価格。全てオーディオレス状態が標準となるものの、これだけの内容で、ほぼフル装備の15Cが166万円、20Cが189万円、セダンの20Eが205万円、スポーツの20Sが214万円、MSアクセラが267.8万円。

20Cの価格は、明らかにインサイト・プリウスを意識したもの。当然この価格設定には裏があり、15Cで標準装着されるレインセンサー付ワイパー、オートライトシステムが20Cではオプション扱い。また、MSや20S・20Eに標準、15Cでオプションとなるサイドエアバッグが、20Cではオプションでさえ装着できません。

また、DSCは20Cに標準で装着されるのに、15Cではオプション設定なしと、少し首を傾げざるを得ない不可解な点も見られるので、購入を検討の際には是非注意して装備内容を見比べる必要がありそうです。もっとも、デミオ・ビアンテでは設定すらされていなかったDSCが、アクセラでは20C以上に標準装着されだたけでも、ここはよしと考えるべきでしょうか。

また、相変わらずの「抱き合わせメーカーオプション」の制度も残っていますが、今回は「セットオプション」と「単独オプション」をそれぞれに組み合わせできるようになっており、選択肢の自由度は若干増した印象です。

またセットオプションは内容を考えると結構値打ちのあるものが多く、例えば20CコンフォートPは先述したレインセンサーワイパー、オートライト、そしてプライバシーガラスがついて約36.000円、20SツーリングコンフォートPは17インチタイア+アルミ、HIDライト、カラー液晶仕様のMIDがセットで約90.000円など、価格に対する装備の充実度は高くなっています。

そして、忘れてはいけないのが先進アクティブセーフィティ装備。ハードブレーキング時にハザードを高速点滅させるESSは全車標準、ドアミラーの死角内にいるクルマをリアバンパーから出すレーダーで感知、ウインカー操作と連動してミラーに警告表示を出すリアビークルモニタリングシステムなど、このセグメントではまだあまり見かけない装備も見られます。これがマツダの世界戦略車たる事実を感じ取れる点でしょうか。

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世間は現在、ハイブリッド旋風の真っ只中。プリウス205万円ショックをきっかけに自動車業界は大いなる脅威に見舞われています。もちろん、車を購入する要素として「価格」や「燃費」は重要な項目。ハイブリッドがこの価格で出てくるとなると、各セグメントのコンベンショナルな純ガソリンエンジンを搭載するモデルは、相当な危機感をもって今後望まなければいけない事実から逃げる事はできません。

しかし、クルマを買う要素が「価格」と「燃費」に全て左右されるというわけではありません。エクステリア、インテリア、走り、など、自動車にはその他の魅力がたくさんあります。

そう思うと、インサイトやプリウスも魅力的と思いつつ、どちらに惹かれるかと言われれば、まだまだ個人的にはやはり新型アクセラに心が傾きます。燃費の差や絶対的価格差を考えると厳しい状況ではありますが、クルマの魅力は何度も言うようにそれだけに縛られるものではありません。

魅力的なエクステリアに、今できる最大限の「エコ」であるi−stopを搭載、内容やボリュームを考えれば、価格面でも十分に頑張っているのでは。ハイブリッドまでとは言わないものの減税も受けられ、燃費も同クラスのガソリンエンジン車からすれば大変優秀。先代の事を考えれば、走りの「FUN」の部分に関しても、新型は相当期待ができそうです。

エコが声高に叫ばれる中、「エコ・スポーツ」とあくまでマツダらしさを存分に発揮する事をメインに登場した新型アクセラ。マツダがマツダらしく、今の時代の流れを読みそれに応えつつ、自社の魅力をたっぷりと詰め込んだ、とても魅力的な1台に仕上がっていると感じました。確かにハイブリッドは魅力的。しかし、それだけじゃ面白くない!そんな勢いが、今回の新型アクセラから大変感じる事ができました。




<レポート:岩田 和馬>


posted by 親方 at 07:59| Comment(6) | TrackBack(0) | 岩田和馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月12日

アクセラのアイドルストップ

アイドルストップ機構「i STOP」が話題の新型アクセラが発表されました。実車はまだ見ていませんが、直噴エンジンの特性を利用したこのシステムはかかるコストの割に燃費の改善代が大きく、普及を願いたい装備です。

「i STOP」はNAの2リッター直噴エンジンを積むモデルに装備されますが、アクセラの直噴エンジンといえば2.3リッターターボのマツダスピードアクセラもラインナップにあります。直噴エンジンなのですから、マツダスピードアクセラにもアイドルストップを付けたら燃費も上がって「スポーツモデルなのにエコな車」な車になるのではないでしょうか。それに今からでは何かと手遅れかもしれませんが、現在のマツダスピードアクセラの10・15モード燃費は11.0km/lなので、これをアイドルストップ効果でもし13.0km/lまで上げられれば、1450kgのマツダスピードアクセラは平成22年度燃費基準適合になり、スポーツモデルでは皆無に近い政府の自動車購入補助金の対象になる可能性もあります。まあ今からだと発売したとしても、その時には政府補助金が終わっている可能性が高いと思いますが。

補助金のことは余談です、スポーツモデルだからといって環境への配慮は疎かでいいという時代ではありませんから、加えるのに比較的手間の少ないアイドルストップのスポーツモデルへの採用というのも望みたいところです。





posted by 親方 at 23:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 弟子永田 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

プリウスEXの正体

半年ほど前から「3代目プリウスが出ても2代目プリウスは併売される」という噂が流れ初め、新型プリウスの発表と同時に正式にプリウスEXという車名での併売(189万円、6月8日から)も公表されました。しかし、あまりの新型プリウスフィーバーや総合的に見れば205万円の新型プリウスLより買い得感がないこともあり話題に挙がることもなくなり、トヨタのホームページを見てもプリウスEXの情報は上でリンクしたプレスリリースしか見つけることが出来ません。まあ今となってはそれほど気に留めるほどのことはないのでしょうけど、私はそういう車が妙に気になってしまう変わったタイプのようで、ディーラーでカタログをもらってきました。ホームページに載っていないこともあり、「もしかして企業や省庁にしか売ってくれない車?」という心配もしてしまいましたが、ディーラーの方に聞くと「もちろん一般の方にもお売りしています」。

さてプリウスEXですが、内外装はこんな感じです。

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※写真はすべてカタログをスキャンしたもの

予想通りというか、95%くらいごく普通の2代目プリウスのマイナー後と同じ内外装です。5%の違いはメッキではなくボディカラーと同色になるグリル、ホイールキャップとフォグランプがない点ですが、この2つはディーラーオプションにホイールキャップ/1枚4179円、フォグランプ/2万8350円で用意されています。

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ディーラーオプションのホイールキャップ

その他の装備品も電動インバーターエアコン、CD、モニターは付いているし、HDDナビもオプションで設定されており(26万2500円)、ビジネスユース中心といっても何の不便もなく全く普通に乗れる仕様となっています。なおボディカラーは白、黒、銀の3色で、インテリアカラーはグレーのみです。

ただし雑誌などで言われているようにプリウスEXと新型プリウスLで16万の差額があっても、プリウスEXだと設定のないVSCとサイド&カーテンエアバッグ(6万3000円のオプション)を付けたと仮定するとほぼ同価格、備え付けのナビはメーカーオプションのみで高いなど、よほどの事情がなければ新型プリウスLを買うべきとなるのは当然です。それでも189万円のインサイトGを比較対象にすれば「新鮮味あるインサイト」、「新鮮さはないけど、技術的面や広さで有利なプリウスEX」という勝負は成り立つのではないでしょうか。

客観的に見れば新型プリウスLに劣るプリウスEXですが、強引に税金面やサイズ以外のプリウスEXの有利な面を探してみると

・納車が早ければ、確実に補助金をもらえる

・最小回転半径が5.1mと新型プリウスより0.1m小さい

・モニターが大きくて見やすい

・シートをフルフラットにできるので、仮眠は楽チン

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そういえば新型プリウスはフルフラット不可能

・横方向のウォークスルーができる

・ラゲッジスペースのトノカバーが標準装備

・センターコンソールがファブリック巻き(新型プリウスLはイマイチなプラスチック)

・ほとんど隙がなくて完璧な新型プリウスより可愛い存在に感じる

と、どうでもいいといえばどうでもいい点しか見つけられませんでしたが、「新モデルとならんだ旧モデルはどのくらい売れるものか?」というポイントでもちょっと注目したい車です。そういえば社用車をプリウスEXかインサイトのどちらかに買い替えるというベストカー編集部は、どちらを買うことになったのでしょうか。





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2009年06月06日

新型レガシィがSUPER GTに参戦!

SUPER GTにおいては昨年いっぱいでインプレッサを走らせていたクスコチームが撤退してしまったため、現状のSUPER GTでスバル車を見ることはできませんが、近いうちにSUPER GTにスバル車が復帰することになりました。

以前このレースでヴィーマック(イギリスで設計されたライトウエイトスポーツカー)で参戦していたR&Dスポーツが新型レガシィB4でのエントリーを発表したのです。クラスはもちろんというかGT300で、マシンの詳細は明らかにされていませんが、4WDじゃなくFRになっていたり、屋根が切られて車高が別の車のように低くなっているかもしれません。まあ、あまり評判のよろしくない?新型レガシィの違った一面を見せるという意味では面白いチャレンジなのではないかと感じます。レースデビューは8月23日決勝の鈴鹿戦の予定です。
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2009年06月05日

自動車販売、とりあえず上向き傾向か

5月の新車販売台数販売台数ランキングが発表されました。乗用車の販売は前年比83.7%と、景気低迷が始まった昨年11月から今年4月の前年同月が60%台後半から70%台前半だったことを考えれば、減税や補助金の効果が出て復調しているように思います。メーカー別に見ても減税対応車の多いホンダ/104.7%、日産/94%がいい数字を収めています。ちなみにトヨタは後述するプリウスの影響もあるのか、77.1%と意外に振るいませんでした。

販売台数ランキングベスト30はテレビや新聞でも話題になっているように、5月18日に発売されたばかりのプリウスが1万915台でトップ。まだ10万台以上の注文が残っているわけですから、今年一杯はトップをキープし続けるのは確実なのではないでしょうか。2位から10位はフィット、インサイト、ヴィッツ、パッソ、カローラ、キューブ、セレナ、ノートという順。2位以下の顔ぶれを見て感じるのは、まずインサイトの今後です。初期受注はもうある程度消化しているでしょうから、この後はプリウスの影響でそれほど売れなくなるような気もします。しかしプリウスが空前の大人気で補助金の出る期限となる来年3月末までの納車が怪しくなってくれば、「納車が早まっているインサイトなら補助金が確実に出て、ハイブリッドだから重量税と取得税も免税」と考える人がそれなりにいて、しばらくはまずまずの台数を売れるようなこともありそうです。もし、そのような形でも踏ん張ることが出来て、それまでに20万円くらい値下げしたお買い得仕様の追加といった対応が可能ならば、プリウスと客観的に比べれば総合力で劣勢なインサイトもちゃんと居場所を確保できるのではないでしょうか。

もう1つはカローラの順位と販売台数が7位にまで落ち込んだこと。カローラのランキングでの順位はここ半年くらい落ち気味だったのですが、新型プリウスの発売で一気にハッキリしたというか「カローラを買っていたような層もプリウスを買うようになった」というのが明白になったのではないでしょうか。トヨタ同士でのプリウスの影響といえば、プリウスにお客さんが集中はしているけどトヨタのシェア自体はそれほど変わっていない、もう少し悪く考えればプリウスの注文が山ほど集まっているのはいいけど、需要に対応し切れないプリウスばかり売れても納車が間に合わなくて、トヨタ全体の台数だとどうなのかという懸念も浮かびます。このあたりはプリウスの増産でどう変わるのか気になります

軽自動車は前年同月比81.6%と今まで90%近くをキープしていたことを考えると低迷したように見えます。原因としてはさすがに登録車からのダウンサイジング等での軽自動車への乗り換えが行き渡った、減税や補助金の大きい登録車へ流れたユーザーが多かった、といったあたりでしょうか。メーカー別に見ると、堅調なダイハツとスズキに対してその他のメーカーの低迷が対照的です。

輸入車は前年同月比80.7%と、4月までの半年間が60%台後半から70%台前半だったことからすれば大分盛り返しました。これはインポーター独自の補助金の代わりにあたるキャッシュバックなどの効果と思われます。
posted by 親方 at 22:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 弟子永田 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月03日

新型レガシィ試乗&結論

試乗記の評価『優』(国沢光宏)
・ドアミラーの形状の違いまでよく見切ったと思う。私もドアミラーを見て「レガシィじゃないな」と思った次第。

前回の新型レガシィのレポートについて、皆様から大変多くのコメントを頂きました。改めてありがとうございます。ご賛同いただけたり、そうでなかったり、厳しい意見もたくさん頂きました。全てに目を通し、これからもまだまださらなる精進が必要な事も自覚することができました。コメント頂けた皆様に感謝の一言です。またこれからも、改めてよろしくお願い致します。

前回酷評気味となった新型レガシィですが、今回はその試乗レポートです。試乗したのは、B4の『2.5i・Sパッケージ』とツーリングワゴンの『2.5GT・Lパッケージ』。レガシィには他にも16インチノーマルサス仕様やアウトバックもありますが、残念ながらそちらは現時点では試せていません。

NAのノーマルサスやターボのビルシュタインサス、またB4・ツーリングワゴンでどのサスペンション、どのタイアがベストマッチなのか?を詳しくお伝えできない点、そして長距離ではなく、ごくごく短時間短距離の試乗でしか試せなかったので、今回は簡易的なレポートになりますことを、予めご了承ください。

最初に乗ったのは、B4の2.5i・Sパッケージ。NAの2.5L+CVTに、18インチ&ビルシュタインサスペンションを組み合わせたモデルです。グリップ式に変更となったドアハンドルは○。ヒップポイントが上がったおかげで、乗り降りのし易さは向上しました。

従来のレガシィは低めのアイポイントがセールスポイントの1つでしたが、すでに乗りこむ段階で「これは全く違うクルマなんだ」という印象を強くします。もっとも、実際にドライバーズシートに収まれば、極端に頭だけが飛びぬけているような印象はなく、自然にポジションを取ることができます。

シートサイズもたっぷりとしているのですが、クッションが柔らかめ。個人的にはもう少しタイトさが出たとしても、サポート性を上げて欲しかったところ。もちろん、先代のシートもあまりいいものとは言えませんでしたが、このあたりもキャラクターの変貌を表しているのでしょう。

また、視認性は十分なものの、自発光式メーターでなくなったのは少し残念な点。メーターの針も以前のようにレッドのほうが、パッと見た時の把握性がより良いのでは。水温計が廃止され、代わりに燃費系が追加。メーターの左側に配置されているのですが、これは以前のようにスピードメーター内の下部配置のほうがよかったかもしれません。

もう1つ、運転する際に気付くのが、巨大なサイドミラー。見た目的には少々無骨すぎて、新型レガシィの不格好さを強める1つのファクターになってしまっていますが、視認性に関しては○。最近ではレクサスISのドアミラーの大きさも印象的でしたが、こちらはさらに上下方向に広い印象。

もちろん、現行BMW3シリーズのように、少し危険を感じるほど小さなドアミラーを採用してしまうよりは、多少見た目を損なっていても、実用性を優先したほうがいいとは思います。もっとも、ミラーの形を多少スマートに改善したところで、新型レガシィのデザインが良くなるというレベルのお話ではありませんが。

動き出しでの注目は、今回新たに採用された電気式パーキングブレーキ。発進時の際には操作不要で自動解除してくれるので、少し慣れるまで時間がかかるかもしれませんが、一度要領を得れば大変便利な機能です。むしろ、この方式に慣れてしまえば、他の車を運転する際に煩わしさを感じて仕方ない、となるかもしれません。これによって、センターコンソール内の収納スペースは一気に拡大しています。

確かに、収納スペースが拡大した事については歓迎です。しかし、全幅の拡大によって、カップホルダーが横方向の並列配置になった事を、開発の方がことさらアピールしているようですが、個人的にはそこまで言うほど重要な事とは思えません。2つ分用意されていれば、それで十分。全幅拡大のメリットをこういった場面で強調されても、正直どっちでもいい事ではあります。

また、このパーキングスイッチ位置が右側という点に、やはり強い違和感を覚えました。理由として、他の同乗者からのイタズラ防止、という説明を受けましたが、それを言い始めればセンターコンソール付近に走行関係のスイッチ類は何もつけられなくなります。

エンジンボタンが右側なのでその動作と同じようにすればいいのでしょうが、やはり左手で一連の動作ができるようにするべきなのでは。スイッチの場所も奥のほうで微妙に分かりにくく、慣れるまではブラインドタッチがしづらそうな点も気になります。せっかくの便利な機能ですが、インターフェイスの点で少し損をしているように感じました。

インテリアについて、他には以前お伝えした通り。視覚面での質感はなかなかなものの、ソフトパッドが使われている部分がほとんどなく、触れてしまうと質感は「並」。今度のレガシィとしてのクラスアップを考えれば、少し厳しいライン、といったところでしょうか。このあたり、追々に新型の立ち位置の難しさを表していくポイントの1つとなります。

本題に戻ってエンジンスタート。まず実感するのは、音振性の向上。クレードルフレームの採用が大きく効いているのか、アイドリング時の静寂さと振動の少なさは明らかに向上しています。水平対向エンジンの独特のビート感も、いまや昔。もっとも、例のドコドコ音については、先代から「らしさ」は失われてはいますが。それは別として、このあたりの動きだしからの滑らかさと高級感は、完全にプレミアムセグメントの領域を彷彿とさせます。

好印象だったのは、初期の加速でのスロットルレスポンスがジェントルになった事。もちろんこれは、SI−DRIVEがデフォルトで「I」状態になったのも関係しているでしょう。むやみにスロットル早開きで唐突に発進時の勢いだけを強調しない、大人なセッティングは○。かったるさを感じる人もいるかもしれませんが、しっかり踏めばそれなりの反応は示してくれます。

縦置きエンジンのAWD車では初となるチェーン式のCVTですが、動き出しはいたってスムーズ。ギクシャク感はほとんどありません。エンジンは基本的に、先代の2.5Lと同じ印象。パワー、トルクともに平均値。しかしながら初速からしっかりとした加速感が得られるのは、やはりCVTの効果が大。アクセルにしっかりとダイレクトに反応し、CVTの違和感はほとんどありません。

これならCVT嫌いな方でも、それほど拒絶反応はでないでしょう。エンジンブレーキの感覚の違いや、フル加速時に高回転をキープしてしまう特性は、パドルでの6速マニュアル操作を上手く使っていけば問題なし。Dレンジでもパドル操作を優先させ反応するロジックは○。ただ、運転中は少しパドルの形状が小さく感じました。

CVTが、限られたエンジンパワーを最大限に使ってくれている印象です。絶対的なパワー伝達効率ではATよりも劣るCVTですが、特に「S♯」での俊敏なレスポンスとパワー感はなかなか。CVT+SI−DRIVEによって、NAモデルの存在感は大きく増したと言っていいでしょう。NA車でのSI−DRIVEは初めてだったのですが、1つ1つのモードの差は少し分かりづらいものの、「I」と「S♯」での違いはハッキリと体感できます。

人によってはリアルトロニックCVTの「ヒューン」という音が耳につくかもしれません。また、耐久性うんぬんに関して、まだ少し初物の不安があるのも事実。アクセルを多めに開けている状態からパッと足を戻した時に、エンジン回転をキープするのか落とすのか、少し制御が迷う仕草もみられました。しかし、このあたりは「重箱の隅を…」の領域の話。普通の人が普通に乗れば、違和感はほとんどないと思われます。

足周りは、18インチ+ビルシュタインダンパーのSパッケージ。タイアはBSポテンザRE050Aを装着していました。いわゆる「A型」ということで、先代登場時のA型スペックBの強烈な乗り味に慄いたのは記憶に新しいところですが、今回の新型はそういった印象はさほどありません。

まだほぼ新車状態だったので、低速でのアタリがまたついていない感じもあり、基本「硬め」のセッティングではあります。しかし、速度を上げていくにつれてピタっと路面に対してフラットな姿勢を保っていき、ステアリングのフィールや座り、落ち着き感も問題なし。NAモデルだと18インチのタイアのキャパシティでは少し持て余し気味な印象もありますが、これなら見た目の良さでSパッケージを選んでもほとんど問題ないでしょう。

少しペースを上げていっても、バネ下の重さをほとんど感じず。またこのサイズを履きながらもロードノイズは比較的抑えられており、ここでもレガシィの車格感の向上を実感。また特筆すべきはリアの落ち着き感で、このロードホールディングの良さとリアのスタビリディの高さは、スバルAWDの真骨頂。

天候など悪条件になればなるほど、その効果を実感できることでしょう。マルチリンクからダブルウィッシュボーンとなり、リアサスのキャパシティが向上している事がよく伺えます。また、速度を上げていくほど、乗り味自体もむしろ向上していくように感じられるこの感覚は、ビル足ならでは。

ブレーキについては、従来からのレガシィ乗りの方からすれば、少し違いを感じるかもしれません。いままでが踏力に対して制動力が比例し、奥に従ってリニアに効くタイプだったのが、新型では踏みはじめからの制動力の立ち上がりが素早く、よりブレーキの効きを強調させるセッティング。

人によっては少しコントロールしにくいと感じる人もいるかもしれませんが、歴代レガシィのウィークポイントだった、どこかブレーキが頼りないという印象はなくなりました。ノーズダイブも極端に大きくはないものの、新型のブレーキは「とても良く効いていい」「唐突に効きすぎる」と意見が分かれるかもしれません。

続いて試乗したのは、ツーリングワゴンの2.5GT・Lパッケージ。ターボエンジン+17インチのコンビです。こちらはエンジンをかけた瞬間から、さきほどのNAとの違いを実感。このあたりはツーリングワゴンとB4、またLパッケージとSパッケージの違いもあるのではっきりと断言はできませんが、感覚的には同じ排気量同じ4気筒ながら、ターボモデルのほうがさらに高級感が感じられました。

そう思う原因は、主にステアリングへの振動の違いの低周波ノイズ。もう1度NAのB4に乗り込みアイドリング状態で比較すると、NAだけに乗っていれば全く気にはならないのですが、直近ですぐにターボモデルと比較すると、その差は僅かながら、感じ取る事ができます。これはCVTとATの違いによるものなのか、ボディの違いによるものなのか、サスの違いによるものなのか、はたまた個体差か…。現時点ではハッキリと特定はできないのですが、ターボモデルはさらにもう半回り高級さと静粛性の高さを実感できた事をお伝えしておきます。

走りだしてみると、タウンユースでの速度域での扱いやすさを実感。先ほどのNAモデルと同じく発進時のスロットルレスポンスはジェントルながら、しっかりとアクセルに対する反応のツキの良さ。2.0Lターボ時では、どうしても極低速時の過給の立ち上がりに気を遣う場面がありましたが、新型は排気量を生かして、アクセルに対する反応が実にナチュラル。

そこからアクセルを多めに開けていくと、その力強さがキレイにスロットルに比例してスムーズに加速していきます。街中での絶対的パワー感は、思ったよりもNAとの違いを感じません。もちろん実際の速度の伸びは大きく違うのは当然ですが、そう感じてしまうほど今度の2.5Lターボは大人な仕上がり。新型の全体のキャラクターにとてもマッチしています。

今回NA+CVTの仕上がりの良さも印象的ですが、やはり魅力的なのは個人的にはターボモデル。ターボとは思えない素直なトルクの立ち上がりがもたらす、3.0L超級エンジンのようなフィーリング面の違いのほうが、絶対的な加速感の違いよりも、むしろNAとの差を感じました。NAのCVTの仕上がりの良さも印象的ながら、5速ATのスムーズさも上々。

反面、SI−DRIVEを「S♯」にしても、レスポンスは良くなるものの、加速自体の刺激は控え目。ターボらしいメリハリや高回転での伸び、スポーティさなどを期待してしまうと大きく裏切られますが、それらを意識しなければ、実に高級感のある素晴らしいパワートレーンです。

その印象をさらに強めるのは、足周り。さすがワゴンボディのノウハウについては手慣れているもので、路面の舗装状態が悪い所でのロードノイズの侵入量の違いなどを除ければ、街乗り領域でB4・ツーリングワゴンの違いはほとんど分かりません。おそらくサーキットレベルまで追い込まなければ、ほとんど実感できないでしょう。

それよりも違いを感じたのが、先ほど乗ったB4に対する、ノーマルサス+17インチサスの滑らかさ。ビルシュタインサス+18インチでも個人的にさほど大きな不満は感じませんでしたが、そのSパッケージからこの17インチ仕様に乗り換えると、こちらの足周りの仕上がりの良さはさらに上。Sパッケージで感じた低速での硬さはほとんどなく、荒れた路面でもスムーズにしっかりとストロークし、履きこなし感はさらに上。

かといってペースを少し上げても、舵に対しての反応も実にしっかりしており、スポーティさが削がれる印象はありません。確かに見た目の部分では18インチを履くSパッケージ有利なものの、シャシーとのマッチングと走り・乗り心地のバランスを考えれば、現時点でのベストは17インチ+ノーマルサスだと感じました。

もう1つ注目なのが、ターボ勢には初登場となる電動パワステ。NAモデルではすでに他のスバル車でも採用されていますが、新型からは関係なくすべて電動パワステに統一されています。直進時からわずかに舵を入れた際に、若干クルマ自体のイナーシャの出方とステア舵角との間にズレを感じる場面もありましたが、ステアリングへのキックバックの少なさは17・18インチともに好印象。

燃費などの事も考慮すれば当然の採用ではありますが、フィーリング面でもう少し熟成が進めば、さらに全体の完成度が増すと思います。適度にクイックになったステアリングギアレシオのバランスの良さは、○。

実際に乗ってみると、クルマ自体の走りの実力の高さはさすが。今回様々なコンポーネンツが新しくなったことで、少し熟成不足な点も散見できましたが、基本的なポテンシャルの高さについて、その完成度の高さ、そしてグランドツーリングカーとしての実力は、十分以上でしょう。

しかし、そのポテンシャルの高さを実感しつつも、やはり個人的には、どこか心に今回の新型についての疑問符が残り続けます。いい車であることは間違いありません。スバル自身が目指した新しいレガシィのコンセプトは、おそらくしっかりと目標達成できていることでしょう。

問題なのは、そこに分かりやすい個性が存在せず、ただの「優等生クルマ」になった点。「クルマ」としての魅力は向上したものの、「レガシィ」としての魅力が感じられないのです。確かに、このサイズの水平対向+AWDの実用セダン・ワゴンとしてのコストパフォーマンスは抜群ですし、いままでスバルが他の車に劣っていた部分について、その多くが改善され、一部大きく凌駕する部分もあります。悪天候での走りの良さには、真髄はしっかりと染みついているのでしょう。

しかしそれは、個性を保ったまま進化したのではなく、存在そのものの変化。しかもそれはドラスティックなものではなく、まだまだ既存の独自性を見す見す手放せない、未練たらたらのイノベーションなのです。

つまり、いいクルマになったことは間違いないものの、これならあえてレガシィを選ばなくてもいい、積極的に選ぶ理由がどうも希薄になったような、そんな中途半端な印象を感じずにはいられません。

もちろん、それがさらなる多くのユーザーを獲得するために、スバルが今度のレガシィに対して込められたコンセプトならば、この新型は大成功と言っていいでしょう。しかしながら、どうしても開発陣が口で言うコンセプトと、実際に仕上がった車との間に、大きな隔たりを感じます。

今回日本のユーザーが求めるレガシィ像、今まで築き上げてきた個性とフィロソフィーを多く削ぎ落しながら、「あくまでもレガシィらしさを強調した」と胸を張る開発陣。言葉ではイノベーションを唱えながら、レガシィの名前に対してからの依存から、まだまだ脱却できていない証拠です。

また、決してプレミアムブランドになろうとは思っていないという開発陣の思惑と、しきりにマークXやスカイラインの名前を出し、高級感を前面に打ち出しつつ、どうやって今度のレガシィを売っていこうか困惑気味なディーラー側の思惑との不一致。

良い「製品」であることには間違いないものの、それを買おうと思わせる、手に入れようと思わせる「商品」としての魅力の欠如。もちろんクルマの最大の魅力である「走り」の部分についての魅力が損なわれていれば元も子もないものの、ただそれが良ければいいという問題でもありません。

変わろうとしていながら、実は変わっていない。変えていないと言いながら、すでに捨て去っている。変化への違和感ではなく、変化の内容についての違和感。イノベーションでもなんでもない。変わろうとしつつ、どこかで捨てきれない部分も多くある、そんな中途半端さ、思い切りのなさ、新たな提案性のなさ、これが今回の新型レガシィの最大の問題なのでは。それは、走りに関しても、エクステリアやインテリアに関しても、サイズに関しても、コンセプトに関しても。

今回新型を見て乗って、変える事への異議はなくなりました。スバルがそう判断したのです。時代を読みつつ、変えていく事も必要だと感じます。

しかし、変えるなら変えるで、そこに真剣さと本気さを、さらに強く出していかなければならないのでは。


もちろん、アメリカ市場が無視できないマーケットである事は周知の事実。レガシィがコケればスバルもコケる、そんなメーカーの大黒柱としての責務を担っているレガシィの立場を考えれば、ある程度致し方ないのかもしれません。これでアメリカで新型がヒットを飛ばせば、それはそれで万々歳。メーカーとしてもひとまず安泰でしょう。

しかし、いくら日本のマーケットが縮小気味だからといっても、多くのスバルのディーラー、そこに勤める従業員の存在から目をそらす事もできません。レガシィがこのような潔さを感じない上級化に踏み切り、軽自動車からは撤退、ダイハツからのOEM化。デックスをのぞき、インプレッサもフォレスターも3ナンバー。スバルがこれから日本で置かれる立場は、これまでにない、ある意味「異常事態」とも言えます。

今後スバルがどうなるか、それは今回のレガシィにかかっている、と言っても過言ではありません。果たしてどうなるのか。小さな極東の島国に住む人間の声が、今後いずれ至らぬ心配だったと笑い話で流して済まされたならば、それは結果的に全く問題ないのではありますが…。


レポート:岩田 和馬

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posted by 親方 at 00:39| Comment(72) | TrackBack(0) | 岩田和馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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