2009年06月29日

iQが様々な顔を持つ車になる?

革新的な小型車として登場し、昨年のカーオブザイヤーに輝きながらも、最近はちょっと忘れられた存在(5月の販売台数も2500台の目標に対し、3桁後半)になりつつあるiQですが、トヨタからテコ入れというべきなのかバリエーション追加の予告がされました。

まず日本国内向けに関してはオートサロンに出品されていたスポーツ仕様(11月限定販売)の他、内外装を女性向け・若者向けにした仕様も投入されます。若者向け仕様というのは値下げもされるのか気になるところです。

さらに欧州ではなんとアストンマーチンにOEM供給され、デザインを変更した「シグネット」という車名で販売されることになりました。トヨタとイギリスはアベンシスの現地生産やロータスへのエンジン供給など、意外と縁は深いですが、このOEM供給はアストンマーチンオーナーが街乗り用として置く車という意味が強いのだと思います。もしこのOEM車が当たれば、日本やアメリカでレクサス仕様のiQが登場することもあるかもしれません。

価格の高さや軽自動車と比べた場合の競争力の弱さなど、買いにくい面も多いiQですが、埋もれさせてしまうには惜しい車なのは事実ですから、今後の巻き返しに期待したいところです。

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2009年06月28日

新型プリウス試乗

登場前から予約発注が膨れ上がり、減税効果も手伝ってか、販売1か月後になんと18万台という空前絶後の人気を集めた、3代目プリウス。今回はその試乗レポートです。

まず最初に前置きとして、試せたグレードは「L」「Sツーリングセレクション」「G」。SツーリングとGは軽く街中を試乗した程度、そしてLでは約550km強のロングランで燃費計測・走りのチェックなど細かくインプレッションしました。それらを今回はまとめた上でレポートする事を、あらかじめご了承願います。

スタイリングは随分と精悍となり、ディティールには空力的な処理が散見できます。年内納車も厳しいと言われる中、今年から来年にかけて、これから新型プリウスを街中でウジャウジャと見かける事になるでしょう。差別化のために、エアロやホイールなど、プリウス用のドレスアップパーツの需要も今後多く見込まれるはず。

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また、燃費第一とはいえ、やはり純正の15インチタイアはかなり足元が貧弱に見えます。ボディのボリュームが大きく向上しただけに、見た目とのバランスで言えば17インチのツーリング仕様のほうが自然。思えば、初代が登場した時も、タイア幅は165ながら径は15インチ。そう考えると、幅狭のまま外径だけを大きくするチャレンジがあってもよかったかもしれません。

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続いてインテリア。こちらではグレードの差がモロに出てくるところです。LとSでは見た目はリアワイパー、フォグランプがなくなる程度ですが、インテリアはセンターコンソールの違いや肘掛けの質感、また最大の難点として挙げられるのが、シートリフターがない事。ちなみに自分の場合、Lではどうしても自分のポジションを決める事ができませんでした。

Lで走った感想も後述しますが、もし自分ならこれだけでLは選択肢から外れます。また、SとGではシート表皮が異なりますが、個人的にはその差はほとんど感じませんでした。Sでは本革巻きステアリングが装着されませんが、こちらはオプションにて装着可能。握りはやはり断然本革巻きのほうがしっくりときます。

ステアリングのスイッチ類は、先代から比べるとかなり集約されました。先代ではエアコンのON/OFFや前後ウインドーの熱線までステアリングでコントロール可能でしたが、新型はそこまで徹底していません。操作の分かりやすさでいうと、個人的には先代が若干上。しかし、新型はタッチトレーサーという新機構があるだけに、こういった形で簡略化されたのでしょう。

その他基本的な事は、前回のレポートでお伝えした通り。Lではポジションに不満が残ったものの、S以上のグレードでは問題なく、ステアリングにテレスコ調整機能がついたおかげで、先代ではどう調整してもルーミーさが残ってしまうポジションは随分自然なものとなりました。

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今回のロングランで新たに分かったのは、シートのレベルアップ。先代のそれはお世辞にも褒められたものではありませんが、新型はかなり良くなりました。それでもまだ「最高!」というレベルではないものの、1日元気よく走りまわった時の疲労感の違いは明白。少しタイトなポジショニングを取る自分の場合、新型のほうがはるかにフィット感、サポート性は上に感じられました。薄型化によるクッション性の低下も全くなし。シートサイズも十分なものです。

また、今まで共用していたナビモニターとTHSユニットのエネルギーモニターが新型から分離され、エネルギーモニターはセンターメーター内に。ナビユニットは通常のDIN企画となって、ユーザーの好みのものが装着できるように。

これでナビ表示とエネルギーモニターを同時に表示・確認できるようになり、個人的には好感を覚えたものの、常に乗るユーザーはナビシステムをそれほど毎回使わない事を考えれば、精細度が大きく落ち、分かりやすいとはいえなくなったエネルギーモニターには賛否が分かれるかもしれません。

このエネルギーモニター、下にはトリップメーターも備わっており、メインの画面では時間毎燃費記録・システム状況画面・そしてエコインジケーターが表示可能。エコインジケーターは普段の運転の際のアクセルワークに大きく貢献する画面ではあるものの、緑色の単色表示では、パッと見の視認性にやや欠ける印象。夜だとパワーモードが若干赤色に光っているのが見えますが、全体的な質感の面でも安っぽい感じは否めません。

ここはやはりメーターの色変化でアクセルワークを指南するインサイトのエコティーチング機能のほうが、分かりやすさと見栄えは確実に一歩先を進んでいる印象。絶対的な性能だけでなく「クルマとドライバーの疎通」というインターフェイス面での優位性も、こういったハイブリッドモデルではとりわけ重要になってきます。今回プリウスに乗って、逆にインサイトが、性能の差をできるだけカバーするために、インターフェイス関連が非常によく考えられているという事を実感しました。

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また、インターフェイスで言うと、このシフトノブと「ECO」「PWR」「EV」ボタンにも一言。一応シフトノブに関して、開発陣の方は「一番操作しやすい場所に配置した」とのことで、確かにそれは間違いないのですが、それならばなぜ、この新設された「ECO」「PWR」ボタンも、どうせならシフトゲートの一部として操作できるようにしなかったのか。

現状ではシフトノブに触るのは、発進時と停車時、エンジンブレーキ時、そしてバックの時くらい。せっかく一等地にシフトノブを配置しておきながら、運転の際によく触れるであろう「ECO」と「PWR」のスイッチはボタン式。「バイワイヤ式なので、ボタン式のポジション採用も考えたものの、やはり手元を見ずに、一番運転しつつ操作しやすい場所にシフトノブを設置した」という開発者の言い分が、全く理解できない点がここ。走っている際に選択する頻度が明らかに高いモード選択がボタンでありながら、このような実際のインターフェイスの出来と大きく矛盾する、荒唐無稽の説明は全く理解に苦しみます。

実際、走りながら「ECO」「PWR」モードを選択する際、どうしても手元をつい確認しながらの動きになってしまうのは、全く人間工学的観点からも疑問としか思えません。また、スイッチの形もただ単に同じような形状に統一されており、特に夜間の走行中などには分かり辛い事この上なし。これなら、ステアリングにスイッチとして設置する事も十分に考えられたはず。

サイドのウォークスルーを諦めて、せっかくこのような一等地にシフトノブに配置したのであれば、「N」「R」「B」のポジションに加えて、「ECO」と「PWR」のモードもシフトノブで選択できるようにすれば、このシフトノブの位置の優位点を大きく生かして、使いやすさや操作性の分かりやすさは大きく向上したはず。実際の性能ではなく、こういった何の工夫もない適当さによってインターフェイス上での魅力を大きく削いでいるのは、まったくもって非常にもったいない、その一言です。

さて、実際の走りについてですが、すでに多くのところで書かれている通り、グレードによって乗り味がかなり変化するのが新型プリウスの特徴。まず、スタート時からの静粛性については、これは「S」や「G」が一枚上手。もともと絶対的に出る音が少ないため、「L」でも十分静かなのですが、エンジンがかかった瞬間やロードノイズの侵入など、実際に乗り比べてみると、軽量化のために防音材も大きく減らしている「燃費スペシャル」のLは、先代止まり。SやGではさらにクルマ本体の静粛性が向上している印象。どうせ新型を買うならば、やはりS以上を選んでいたほうがいいでしょう。100km/h〜ではさらに大きく違いが出るはず。

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しかし、体感上の速さの進化でいえば、それを一番実感できるのはこのL。絶対的な軽さに加え、先代と同じ185幅のタイアを履く事もあって、加速感の向上が一番分かりやすく体感できます。このLはプリウス中の最高燃費車であると同時に、最速グレードでもあります。

もちろん、「最速」と言えるのは直線のみ。シャシーのポテンシャルアップによって、ボディの剛性感、サスペンションの接地性も非常によくなっているものの、このシャシーに対してこの185のグッドイヤーは完全にプア。例えるならば、骨格は確実に良くなっているものの、それに伴う筋肉が全くついていけていない、そんな印象です。

それでも、荒れた路面でブレーキング時にリアのスタビリティが不足気味になる傾向は薄れており、先代と同じ頼りないタイアでも確実にポテンシャルは向上しているのですが、このシャシーとタイアのアンバランス感は乗っていて、かなり違和感アリ。また加速感でいえば最速なものの、日本では使えない120km/h〜の領域からは明確に直進性やスタビリティが低下し、そこに安心感が伴う速さではありません。

もちろん、「プリウスでそんな走りなどしない」という意見はごもっとも。しかしながら、登りのワインディングで少しアクセルを多めに開けると、途端にホイールスピン&トルクステアに見舞われて、VSCが作動。ドライ路面でもこれほどのパワーを新型プリウスが実際持ち合わせている事を考えれば、高速域での安定感を含めて、最低限もう少しレベルを上げておきたいところ。

今回ブレーキもリアがディスクに格上げされ、その絶対的なすトッピングパワーだけでなく、ブレーキフィールも随分とよくなった印象なので、とりわけタイアのグリップ不足が顕著に目立ってしまいます。

そう考えると、195幅のBSエコピアを履くS/Gグレードは、スタビリティとグリップバランスが適度にとられていて、やはり実用域でのマッチングを考えるとこちらのほうがベター。単純に言うならば、「プリウスとしての進化」をより求めるならL、「プリウスの魅力を分かりつつ、自動車としての進化も」というのならS/Gの15インチ仕様を、という感じでしょうか。こちらは若干重くなり、タイア幅も太くなりますが、Lのどこか常に頼りない印象がつきまとうことはほとんどなくなります。

しかし、基本的なポテンシャルが満足できるレベルにあるものの、そこに伴う質感の面でいえば、S/Gでも「並」。荒れた路面での少しバタつく乗り味や、スムーズさは十分なものの路面とのコンタクト性がほとんど感じられないステアフィールなど、基本的な部分では先代プリウスの味を継承しているのが実情。先述したように、スタビリティや剛性感の面では進化しているものの、感覚的な部分での質感の向上はあまり感じられません。

それらを求めるならば、俄然お勧めとなるのが17インチを履くツーリングセレクション。215幅の17インチタイアだけでなく(17インチはBS・ミシュラン・トーヨーの3銘柄の中から)、ダンパーやサスペンションも専用品、また電動パワステのユニットも専用で、ステアリングギア比もこちらのほうが若干クイックな設定。

このグレードは17インチを履く事から「スポーティ」なグレードと思われがちですが、実際には走り面ではむしろ「プレミアム」なグレードと考えたほうがいいでしょう。当然ノーマルよりも少し硬めとなるものの、高速域でのフラット感を考えれば、乗り心地の良さはむしろこちらのほうが上。

ややスローすぎるステアレシオを含め若干違和感の残る標準系よりも、キチッとした操舵感を伝え、またステアレシオの方もツーリングセレクションのほうがむしろナチュラル。クルマの動きもスポーティというよりは全体がシャキッとした印象となり、今回の新型プリウスのシャシーのポテンシャルを一番有用に生かしているのがツーリングセレクションといえるでしょう。

もちろん、プリウス最大の魅力である「燃費」という事を考えると、少しばかり矛盾するグレードではあります。それに加え、Lの時に感じた「加速性」という面でも、このツーリングセレクションは、それほど大きく感じられません。排気量アップの効果も、このツーリングセレクションでは、重量増+17インチタイアで相殺されてしまうようです。走りの質感部分での魅力は大きいものの、動力性能の面でのメリットは感覚的に先代と同レベルにとどまります。また、最小回転半径が5.5mと大きくなってしまうのも、少し気になる点。

しかし個人的には「燃費」と「走りの質」のバランスを考えても、このツーリングセレクションは魅力的。また、この足と電動パワステユニットは、S/Gでソーラーパネル付電動サンルーフを選択するとセットで装着されるので、15インチ+ツーリングセレクションの足という組み合わせも可能。しかし、サンルーフが欲しい人なら良いものの、必要なければ単なる贅沢品。ソーラーパネルも現状ならエアコンの動作のみであり、それで20万円を大きく超える金額は微妙なところ。

変わってツーリングセレクションでは、LEDヘッドライトを始め、Lには標準なもののS/Gにはオプションのフロアアンダーカバーに、リアバンパースポイラー、17インチタイア&アルミが装着されて25万円。この乗り味が欲しいのなら、どちらかを選ぶ事になりますが、このあたりの選択の巧みさが、トヨタの販売戦略の上手いというか、憎いところです。

個人的には、Sツーリングセレクションに本革巻きステアリングを装着、そしてタイアサイズをあえて205幅の16インチ仕様にインチダウンする方法で乗り味を模索してみるのがお勧めパーソナルチョイス。もちろん、あくまでもプリウスのキャラクターを考えれば、最低限のスタビリティを確保した上で、できるだけ緩くソフトな味付けのセットアップをするのが本意的。

よく模範的仕上がりで、価格的にも比較対象として持ち上げられるものの、プリウスはゴルフを目指す必要は全くないと考えます。今回の6の素晴らしい完成度には感服しつつ、これがプリウスの目指す走りのキャラクターかと言われると、全くそれはナンセンス。そう考えれば基本的にはLグレードだけ乗っていれば不安はありません。

しかし、そこに「質」が伴うかどうかは話が別。新型のエンジン+モーターのポテンシャルや、シャシー能力とのバランスを考えれば、やはり今新型を買うとなれば、ツーリングセレクションの乗り味の質感は欲しいところ。基本的なキャラクターは大きくは変わらないので、ある程度燃費とトレードオフで手に入れる価値があると思えば、お勧めはツーリングセレクションとなります。

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また、今回使用したカーナビはトヨタ純正メーカーオプションのものではなく、7インチのSD式シンプルナビ。しかしDVDの再生はもちろんの事、基本的な実用域での使い勝手はこれで十分なスペック。HDD内蔵でなくても、iPodが接続できれば音楽メディア内のボリュームも十分。

収まりの良さや画面の綺麗さなどでは確かに純正品やハイスペック品に若干劣りますが、このシンプルナビにバックモニターを装着するのが一番賢いチョイスのような気がします。それよりも気になったのは、新型のオーディオスペースの位置の傾きが、直射日光の当たり方によって画面が反射して全く見えなくなる時があるのは△。角度調整で若干改善はできたものの、実際のナビ装着の際にはぜひ1度確認を。

さて最後に、気になる燃費報告。今回のロングランで試したのは、燃費スペシャルグレードのL。先述したように、軽量なため動力性能でも圧倒的に有利で、パワー不足を感じた事は一切なし。ECOモードではさすがにアクセルレスポンスの鈍さが際立って、ほとんど街中でしか使用できませんでしたが、PWRモードにした際のスムーズかつ強力な加速感は、気持ち良いの一言。

また、足回りがLはフラフラなため躊躇なくとはいきませんが、性能的には2.4Lクラスの言葉に偽りなく、ハイペース領域でもグングンと加速していきます。この高速域での加速の余裕さと巡航時の回転数の低さは、排気量アップの恩恵によるものでしょう。また、リダクションギアの採用による効果も忘れてはいけません。反面、安定性は増すものの、重量とタイアの関係か、ツーリングセレクションだとここまでの動力性能の劇的さは感じず、感覚的には2.2L程度。もちろんこれでもレベル的にはゆとりたっぷりです。

Lでは特に防音材がカットされるため、新型のエンジンとなっても相変わらずエンジンのフィールはガサツ気味で洗練されていませんが、そもそもエンジンの始動している時間が新型はさらに短縮されました。街中でのモーター走行領域は先代よりも確実の広がっており、排気量アップで高速域の燃費が改善されたとはいえ、平均速度が遅いほど燃費が良くなるという傾向は、新型プリウスでも引き継がれています。

ここで、それぞれのシチュエーション別の燃費を紹介。デフォルトとして、エアコンはオート26度でON、オーディオON、3名乗車でテストしました。

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まずは、メーター上80km/h巡航。やや誤差があり平均速度は70km/代なものの、走行車線をゆったりと走った状況で楽勝に30km/L超え。このくらいの速度では、ノーマルモードで普通に走れば、誰でも30km/Lは楽勝でしょう。このあたりの燃費の良さは驚異的です。

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続いては、少しペースを上げて100km/h+α巡航。メーター上での平均車速はちょうど100km/hで、この時の燃費が26.0km/L。先代ではこのあたりの速度域になるとガクンと燃費が落ちましたが、新型の排気量アップによる燃費への効果がこの速度域で顕著に表れた形になりました。

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そして3つ目は、PWRモードにしてアップダウンの激しいワインディングを、アクセルを存分に踏んでかなり活発に走りまわった時の数値。始動直後の冷間時を除けば、これが新型プリウスの最低燃費を出すシチュエーションと考えてもいいでしょう。これくらいまでペースを上げると、さすがに185幅のタイアでは全くアテにならず、VSCが頻繁に介入。またスロー過ぎるステアレシオもこういった場面では気になります。

しかし、ブレーキングで荷重がフロントに移ってもリアのスタビリティは高く、タイアが負けているもののアンダーステアは最小限。このあたりはシャシーのポテンシャルアップを実感するところです。コーナー脱出時でホイールスピンをするなど、少し非現実的ではありますが、それほどのポテンシャルを新型は秘めている、という事をお伝えしておきます。

そのような走りでもこの燃費を叩き出す事を考えれば、実用上はまず15km/Lを切る事はほぼないのでは。タウンスピードでの燃費の良さもプリウスの自慢であり、普通に走って25km/Lを超える燃費を出す事は新型プリウスにとって楽勝ムード。上級グレードや17インチ仕様でも、20km/Lは固いところでしょう。

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そういった様々な走りのシチュエーションをテストしつつ、最終的な燃費はメーター上で24.5km/L。この燃費計はかなり正確性が高く、実際給油した際の数値もほぼ同値の24.4km/L台でした。奇しくも以前同コースでテストしたインサイトと平均車速が59km/hと全く同値。ちなみにこの時のインサイトの数値は約21.9km/L。高速セクションが7割強とやや多めだったので、思っていたよりも差は開きませんでしたが、インサイトのテストの時はエアコンを使用した区間は僅かだったのに対し、新型プリウスの時は常時ON。またインサイトの時はハイペース区間の燃費計測は実施しなかったので、同時に同じ内容で比較すれば、差はさらに広がっていたかもしれません。

インサイトと比較すると、新型プリウスが高速域の燃費が改善されたとはいえ、高速巡航燃費はインサイトでもプリウスに匹敵する数値を狙う事が可能。コーチング・ティーチング機能も非常に分かりやすく、エコ運転さえ楽しみにしてしまうところはさすがホンダ。またハンドリングは軽快で、エンジンサウンドもインサイトのほうがスポーティ。

ただ、得意の高速巡航燃費を出す時の速度域では、足周りのセッティングが合っておらず、プリウス以上にフラッフラ。かといって、5ナンバーサイズが有利になる街中では、途端に燃費がガタ落ち。このあたりのセッティングのあいまいさが、インサイト自体の中途半端さを少し助長しています。また実用性はプリウスに全く及ばず、スポーティなリアドア付クーペと考えたほうが無難です。そして価格を比べてしまうと…。

インサイトで勝っているのは、個人的な好みでスタイリング、アンビエントメーターによるコーチング機能、軽快なハンドリング、気持ちいいエンジンサウンド。その程度。残念ながらこうして比べてしまうと、車格の差うんぬんに関係なく、まず1台の車としての完成度からしてプリウスはやはり圧倒的です。

ちなみに、同区間での先代プリウスの燃費テストは23.1km/L。先代のユルイ仕上がりも嫌いではありませんが、新型の動力性能向上+燃費向上を思うと、さすがに少し見劣りしてしまいます。

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初代、2代目、そして3代目。ハイブリットとしての進化も驚異的スピードながら、新型は「自動車」としての進化もキッチリ盛り込んで仕上げてきた印象です。中には「ハイブリッドは本当にエコなのかどうか?」という事に関しては、議論が今後も続くでしょうが、これからの時代の実用車として考えれば、新型プリウスのこの仕上がりと完成度、そしてバリューフォーマネーは、これだけの注目と注文を集めてある意味当然だと納得せざるを得ません。「所詮ハイブリッドなんて」と鼻で笑っていた欧州メーカーにとっても、このプリウスは驚異的な1台でしょう。今までの従来的自動車評価軸や価値観をぶっ壊しかねない、そんな実力を秘めています。

もちろん、ハイブリッドだけ、プリウスだけ、が選択肢!というわけでは当然ありません。ハイブリッドでなくても、燃費や価格以外にも、クルマの魅力はたくさんたくさんあります。しかし、あえてそちらで勝負してくるなら、それこそ生半可なレベルではこのプリウスに太刀打ちすることは不可能。燃費や価格以外で「プリウスよりも魅力的!」と唸らせてしまう、それだけ本気のクルマ作りがこれからのどのセグメントでも求められてくるのかもしれません。

ある意味、21世紀に自動車という商品がどれほど人間にとって魅力的になれるのかどうか。その試金石となるのが、このプリウスという1台なのかもしれません。




レポート;岩田 和馬
posted by 親方 at 05:10| Comment(4) | TrackBack(0) | 岩田和馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月24日

新型プリウス用HIDライト

「死角は全くない」と言っても過言ではないほど好調に売れている新型プリウスながら、15インチタイヤを履く通常のG、S、Lグレードのヘッドライトが普通のハロゲンライトしかない選べない点に不満を感じている方は多いようです。個人的には今時のハロゲンライトは十分明るいしハイワッテージのハロゲンバルブも売っていますから、それほど問題には思いませんが、確かにプリウスという車の未来的なキャラクターや夜のルックス面を考えるとツーリングセレクションのLEDライトは難しいとしても、「HIDライトくらいは欲しい」と思う人がたくさんいるのは納得できる話です。

そんな要望に早速対応というところなのか、各種電子系部品を販売しているサン自動車から新型プリウス専用のHIDライトキットが発売されました。車種専用品ですから汎用品より手間無く装着できるのは大きな魅力ですが、それ以上に驚くのが新型プリウスの発売から1カ月以内で対応するキットが発売されたことです。しかしこの商品の取扱店を調べてみると、トヨタのディーラーがたくさんあります。と考えるとおそらくHIDライトの需要に対応して、車と同時進行で開発されたパーツのようです。また天下の自動車ディーラーで販売されていることを踏まえると、純正部品並みの高い信頼性・耐久性も期待できるのではないでしょうか。

価格はHIDライトのキットのみの場合で4700K/5万9800円、6300K/6万9800円。工賃まで考えるとメーカーオプションのHIDライトより若干高い感じですが、ディーラーや通販店なら多少の割引もあるでしょうから、そのあたりまで総合すれば平均的なHIDライトの値段です。さらにHIDライトとLEDのポジションライトのセット、この2点セットにルームランプなど車内のLED照明もセットになったパッケージもあり、商売の上手さを感じさせます。

このHIDライトキットを代表に最近プリウスやインサイトのアフターパーツが急速に増えていますが、このような動きを見るとハイブリッドカーは自分好みに作るのも楽しい車になりつつあるようです。

posted by 親方 at 19:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 弟子永田 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

BBCトップギア

イギリスのBBCで日曜のゴールデンタイムにこの時期になると放送されている「Top Gear」という自動車番組をご存じでしょうか?これを見ているクルマ好きの方なら、名前は聞いたことある、もしくはおもしろくて大好き!という方が結構いるかもしれません。

ジェレミー・クラークソン、リチャード・ハモンド、ジェームス・メイというキャラの濃い「少年たち」であるメインキャスター3人が、時に過激に、時に真面目に、時に皮肉たっぷりのジョークを交えてコーナーを展開していくこの「TopGear」。例えば、GT−Rと日本の公共交通機関を使ってレースをしたり、激安中古車を買って様々な指令をクリアしていったり、有名人をゲストに招きコースでタイムアタックさせたり、気に入らないクルマには容赦ない罵声、あげくの果てには破壊・爆破・炎上までさせてしまったり。

おそらく日本のテレビ番組では絶対にできないであろう、ましてや受信料を取るBBC、日本で言えばNHKなどには絶対にできないであろう、Rubbishかつ面白い企画が目白押しの番組。時にあまりに過激すぎる内容に批判がきたり、司会の1人ハモンドがクラッシュして重傷になったり、問題もあるようですが、日曜夜のゴールデンタイムに高視聴率を叩き出し、BBC内だけでなくイギリス国内外から高く評価されており、その人気は世界的規模にまで広がりを見せています。

もちろん、それだけなら単なるハチャメチャバラエティ番組。加えて、もともとはとても硬い真っ当なキッチリとした自動車番組だったのですが、ジェレミーが司会を務めるようになってから、どんどんバラエティー色が強くなったという要因もあります。

かといって、日本ではとうていマネできるレベルではありません。かつて「芸能人キャノンボール大会」という企画で、有名人たちが愛車で高速道路上をレースするという模様を放送し、その後警察で大問題になった事があったように、そんな日本で「戦車とランドローバーの勝負」や「メルセデスSLK55AMGとポルシェボクスター、どちらが銃撃戦でより弾を食らわずに逃げられるか」や「韓国車、プジョー、ポルシェを露骨に嫌う」というような事は到底できませんし、放送としても成り立ちません。

しかしそんなハチャメチャなものの、その美しくクオリティが極めて高い撮影・映像テクニック、そしてなんといっても「クルマってこんな楽しいんだ!」と改めて思わずにいられない企画力・表現力・そしてブラックユーモアを交えながらの情報発信には、現在の日本の自動車文化・メディアと比較してみると、真剣かつ大いに考えさせられる部分が多々あります。腹をかかえて笑いながら「やっぱりクルマの楽しさって、こういう感じなんだよな」という事を、いかに広く伝えていくか。ただ超絶に面白い自動車番組というだけでなく、純粋にジャーナリズムの在り方についても、個人的にはとても勉強となる番組だと思います。

もちろん、イギリス本国で放送されているので、基本は英語。しかしながらブリティッシュイングリッシュの聞き取りやすい発音のおかげで、番組の流れは十分に理解でき、とても楽しめると思います。個人的には英語の勉強の一貫にもなる、と自分に言い聞かせながら毎プログラムの放送が楽しみでなりません。見たことない、知らないというクルマ好きの方には、是非1度機会があればご覧ください。

ちなみに、シーズン13の1回目放送では、あの覆面白レーサーの通称「STIG」の正体暴露の模様も。中身は誰もが知る、あの超有名人物。もちろんこれも、この番組ならではのユーモアあふれる演出の1つだという事が、番組のラストで分かるという仕掛けになっています。

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今回は少し話の話題が逸れてしまいました。次のレポートなのですが、つい先週末に新型プリウスを1日しっかりテストしてきました。各グレードのインプレッション、そして今回行ったロングラン・燃費計測を含めて、近日中にまたこの場でレポートしたいと思います。よろしくお願いします。



<岩田 和馬>

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2009年06月23日

アウディのカーシェア

住友不動産とアウディジャパンが共同で「プレミアムカーシェアリング」というカーシェアを7月下旬を目処に開始することになりました。カーシェアは買い物や送り迎えが主な使い方なので、車は軽自動車かコンパクトカーが普通です。なので「アウディでカーシェア?」とも思ってしまいますが、カーシェアを行う場所はお金持ちの入居者や潤っている企業などが入っている東京六本木の泉ガーデン。車も2ドアクーペのA5、ステーションワゴンのA6アバント、オープンカーのTTロードスターと、「普通に使う車は持っているケースが多いので、たまにあると便利なジャンルの車を置く」という狙いのようです。カーシェアというより、入居者が使えるレンタカーといった意味合いなのかもしれません。旅行やドライブ、ゴルフといった遊び、企業なら重人の送迎、個人ならフォーマルな場、建物に入っている企業の方が電車のない時間に帰る足、といった用途に使えそうです。

お値段は高いのでしょうけど、ターゲットとしているユーザーを考えればなかなかいいところに目をつけたビジネスと言えるのではないでしょうか。
posted by 親方 at 22:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 弟子永田 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月22日

ネットブックを買いました

題名の通り、今流行りのネットブックパソコンを買いました。ここ半年くらい持ち運び用に導入を検討していたのですが、最近になって原稿書きなど使うOfficeソフト付きの商品も増えてきたので思い切って購入しました。

購入にあたっての条件は
・原稿書きにWordを使っているのでOfficeが最初からインストールされているもの(マイクロソフト純正のOfficeは後から買うと非常に高いです。まあ、Officeに類似した安いソフトを買えば済む問題といえば済む問題ですが)

・そうそうパソコンを買い替えられないので、信頼性・耐久性が高いこと

の2つが主なところです。

候補に挙がったのはエイサー、東芝、富士通(家電量販店オリジナルの期間限定なしのOffice付き)の3メーカー。このうち富士通は期限限定なしのOfficeが付いているせいか早い段階で完売。エイサーと東芝のどちらかとなりましたが、自分で使っているメイン機が東芝である点とやはり日本メーカー製というところが決め手となって東芝を選びました。ちなみにOffice付きネットブックに付いているOfficeはたいてい2年間ライセンス版ですが、2年後にお金を払えば永続版に変更できます。2年後に同じネットブックを使っている保証もありませんから、これはこれで問題ないではないでしょうか。2年後に安いOfficeの類似品に換えるという方法もあるわけですし。

購入店はヨドバシカメラで、ネットブックとセットのようになっているデータ通信サービスとのセット販売を利用(ソフトバンクです)し、1万7300円+20%分のポイントでした。ちなみにパソコン単体だと6万4800円+ポイント20%で、富士通からも私が東芝を買った翌日に2年間ライセンスのOfficeが発売されました。ただ東芝より価格は高く、ポイントも低いようです。ヨドバシカメラは大きな駅前にある場合が多く何も買わなかった時は駐車場代が高いのが難点ですが、安いし、定員さんは親切で延長保証もあるなど非常にいいです。ちなみにネットブックのコーナーは、お客さんがひっきりなしに品物を買っていくような状態でした。

さて東芝のネットブックというと、最近国沢師匠が買ったものと同じです。なので被らないように(笑)色は師匠がおそらくブラウンなので、つい最近追加されたばかりの黒にしました。

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しかし、黒はカッコいい代わりに持ち運びなどで触ると手の跡が目立ちます。これは私の手が汗ばみやすいせいなのかもしれませんけど。

使ってみるとキーボードの操作感はいいし、処理やデータ通信端末を使った際のネットのつながりの速さも期待以上と、使い道をネット、メール、文書作成くらいに限定するならメイン機に使っても問題ないのではないかと感じます。東芝のノートブックは人気で品薄になっているお店が多いそうですが、それも納得です。

サイズの小さいネットブックなので、通常のパソコンに比べるとキーボードピッチや配置が違うためタイプミスは若干起きやすいものの、慣れれば不便なく使えるのではないかと思います。バッテリーは特に省エネ設定をしないで90%充電からバッテリー切れ寸前の残り10%までで2時間10分くらいは使えるので、100%充電からなら2時間半近くは使えるのではないでしょうか。

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全体に「買ってよかった」と感じられるパソコンでした。
posted by 親方 at 23:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 弟子永田 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月20日

エアコン付きレーシングカー

普通レーシングカーやラリーカーには重量増やパワーダウンを嫌ってヒーター(ヒーターはオーバーヒート時に逃げ道にもなります)はあるにせよ、エアコンは付いていません。このことはタイムアタック仕様のチューニングカーなども同様です。しかし、世界初かどうかは不明ながら、今週末マレーシアのセパンサーキットで行われるSUPER GT第4戦に参戦するニスモチームのGT−R(カーナンバー1、本山哲選手/ブノワ・トレルイエ選手)はなんとエアコン付きとのことです。

エアコンと言っても普通の車のように室内全体を冷やすというものではなく、シートとヘルメットの中を冷やすタイプですが、自分のスティントを終えると脱水症状で倒れてしまうドライバーも多い灼熱のマレーシアでのレースを考えると、非常に有効にアイデアではないでしょうか。

個人的に普通はエアコンのないレーシングカーにニスモがわざわざエアコンを付けた理由を考えると、

・夏場に使うクールスーツ(中に氷水が通っていて、ドライバーを冷やす)もエアコンほどではないにしても重くはなる。おまけにクールスーツは氷が溶けてしまうと、水かお湯が回っているだけになってしまう。

・エアコンによるパワーダウンや重量増で落ちるタイムより、ドライバーが暑さで集中力を切らしてしまうことによるタイムの落ちやミスをしてしまうことによるタイムのマイナスの方が大きい。

・トータルしたらエアコン付きの方が得。

といったあたりに感じます。エアコン付きのニスモGT−Rの走りはもちろんですが、常時エンジン全開のレーシングカーに付くエアコンがどんなものなのかも非常に気になります。

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2009年06月17日

プリウスの生い立ちに迫った本

文藝春秋から発行された文庫本「ハイブリッド」(木野龍逸氏著)を読みました。この文庫、自動車雑誌などで紹介されているのを何度か見ていたのですが、なかなか書店に置いてなく、昨日たまたま寄った書店で見つけることができました。

そもそもプリウスはバブル時代に開発された車に対する疑問を持った当時のトヨタの上層部が、21世紀に向けた「サイズの割に室内は広く、燃費がいい」というコンセプトで企画された、市販車とはいえコンセプトカーにかなり近い性格の車でした。そこに「燃費を普通の車に2倍にしよう」という目標が加わり、その切り札として技術陣が温めていたシリーズパラレルハイブリッドシステムを搭載した車になったわけです。

しかし、まったく未知のメカニズムだけに開発は当然というか問題の嵐。それ以上に驚くのが本格的な開発スタートから市販化までに与えられた時間で、抽象的に表現すると「プラットホームやエンジンをキャリーオーバーするガソリン車でも短いんじゃないか」と思うほどです。その困難を乗り越えて市販化した技術陣の凄さや市販時期の前倒しを微妙に繰り返した上層部の決断は、読んでいて非常に印象的でした。

また、今のように燃費の良さやサイズに対する室内の広さがユーザーから求められていなかった時代に初代プリウスを計画した経営陣の英断、産まれたてで大きなトラブルの発生も想定された初期型の初代プリウスのために、正月休み返上で特別なサービス体制を組んだことやそのような未完成な車だった初代プリウスを受け入れてくれたユーザーがたくさんいたことも心に残りました。

とにかく読んでみると「よく出来てるけどつまらない」といったネガティブなイメージを特に車好きから持たれてしまうトヨタに対する見方が、「やるときには凄いことをやってしまうメーカー」という方に変わってしまうと思います(私個人は特にアンチトヨタではなく、トヨタのスポーツモデルに耐久力の高さにとても助けられた経験もあるのでむしろトヨタ好きな方かもしれません)。

値段も文庫本のため750円+消費税と手頃なので、ぜひ読まれていかがでしょうか。

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2009年06月16日

シロッコ/Q5/Eクラス

ここ1カ月のうちに、注目すべき欧州車が連続して登場しました。簡単ではありますが、いくつかピックアップして軽く紹介していきたいと思います。

・VWシロッコ
初代、2代目、そして実質的3代目だったコラード以来、久々復活のゴルフベースのスポーツクーペ。真面目で謙虚なクルマ造りがキモのVWながら、ニュービートルやこのシロッコなど、時よりとてもおもしろくて魅力的な遊び心あふれるプロダクトを行ってきます。

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ゴルフよりグッと低く、幅広く仕立てられたボディスタイルは迫力満点。大幅に拡大された結果、FFとしては珍しくリアのトレッドのほうが広くなっているボディ形状からくるフェンダーの盛り上がりや、薄いガラスウィンドーなど遊び心満点。

しかしながらリアシートも十分実用性は高く、バケット風のシートの雰囲気も○。かつてのトヨタWILLVSを思わせる閉鎖感がありますが、車のキャラクラーを考えればほとんど問題ないでしょう。唯一、グラスエリアの狭さに加え、大型のリアバケットシートによって、後方の死角が多い点には少し注意が必要です。

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インテリアは、ベースとなったゴルフ6と同じく、ゴルフ5の名残を強く残すもの。D型ステアリングや専用シフトノブで雰囲気は出そうとしているものの、ここが唯一シロッコの弱点かもしれません。無論、質感のほうは全く問題なし。

ラインナップは、1.4TSIと2.0TSI。1.4はお馴染みツインチャージャーの160ps仕様、2.0はGTIでお馴染みの直噴ターボ200ps仕様(とはいいつつ、エンジン自体は様々な部分が改良されています)。それに組み合わされるのは、前車に7速、後車は6速のDSG。タイヤは1.4が17インチ、2.0が18インチ。2.0には現時点で国内仕様のゴルフには未装着の、電子制御サスのDCCが装着されています。

そして価格。1.4は392万円、2.0は447万円。日本仕様にはカーナビ、バケットシート、キセノンヘッドライトなどフル装備なものの、ゴルフとの差は明確。日本仕様の新型ゴルフ6が不当に高い価格だとは思いません(むしろ内容を考えれば、コストパフォーマンスは十分以上。本命ともなるトレンドラインの登場も楽しみです。)が、このシロッコの価格設定には甚だ疑問。むしろ本国の価格と比較すれば、呆れるほどです。もちろん、日本仕様=最初からオプションフル装備仕様、というのは、輸入車ではよく見られる事ですが…。

ドイツ本国でのシロッコの扱いは「ゴルフとほぼ同じ価格の、エントリースポーツ」。もちろん、日本に合わせたラインナップ展開をしていく必要性があるのは分かりますし、こういったブランド性の転換を積極的に行っていけるところに、VWの勢いと強みも感じます。

しかし、VGJの勘違いマーケティングによって、オプションてんこ盛り状態が標準状態のハイプライスで登場し、一気に存在感を失ってしまったイオスの悲劇をもう忘れたのでしょうか。魅力的な1台だけに、アウディTTの競合してしまうような価格設定で、自らの存在価値を下げてしまわないか心配です。

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VWから注目のもう1台「ブルーエモーションスポーツ」。ジュネーブで公開されたコンセプトカーで、直噴ディーゼルをミッドにマウントし、DSGを組み合わせた次世代エコスポーツ。先日新たにいくつかの画像が公開され、どうやらVWは本気なようです。是非市販化を期待したい1台。

・アウディQ5

注目を集めるプレミアムSUVであるアウディQ7の弟分、Q5が登場しました。実際Q7は近くで見ると驚くほど巨大で、日本で扱うにはさすがに厳しいものがありましたが、今度のQ5は1900mmという全幅さえ除けば、日本でもどうにかなりそうなサイズです。本音を言うのであれば、もう1回りコンパクトならさらにいいのですが、そうすると今度はVWティグアンとバッティングしてしまうので難しいところ。ちなみにこのQ5はA4がベースであり、ティグアンとの関係性は全くありません。

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ワッペングリル&LEDポジションライトのフロントマスクは、依然厚化粧気味で好みが分かれそうなところではありますが、A4から譲り受けるオーバーハングの短さがプロポーションを際立たせており、全体の雰囲気とまとまりはなかなか。インテリアのキッチリとした質感はアウディらしいクオリティの高さで文句なく、ラゲッジスペースは奥行きが若干短く感じられるものの、高さ方向のゆとりは十分で全く問題ありません。

エンジンは先日A4・A5にも搭載された2.0Lターボと、3.2LのV6。A4・A5とは違い、2.0だけでなく3.2の方にも縦置き用Sトロニックが組み合わされています。もちろん、両方とも前後駆動力比率40:60のクアトロシステムを採用。

価格は2.0Tクアトロが569万円、3.2クアトロが660万円。A4のアバントがそれぞれ513万円、663万円。3.2で比べるとQ5とA4アバントの価格差が逆転しています。これならA4アバントのユーザーも、全幅さえ気にならなければ、Q5へと多く流れてきそうです。

ライバルはメルセデスGLKに、BMWX3。ただ無骨で洗練さに欠けスリーポインテッドを外せば韓国車と間違えそうなスタイルで、左ハンドルしかないGLKに比べれば、Q5のアドバンテージは明確。近日登場予定のボルボXC60が、唯一マトモに競合しそうな1台です。サイズも価格もジャストながら、もう少し高級感が欲しい、またはDSG(Sトロニック)が欲しい、と思っているVWティグアンを買おうか悩んでいるユーザーの方も、気になる存在になってくるでしょう。

・メルセデスベンツEクラス

ゴルフに続く今年のドイツ勢の大物の1台、新型のEクラスが登場しました。スタイリングは昨今のメルセデスのデザイントレンドを持ち込みつつ、方向性も変更。丸目を捨て、角型の4灯となり、スポーティさよりもラグジュアリー性をより醸し出す流れへと変更を受けたようです。

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個人的には、最初に見た時より少し慣れたものの、スタイリングに関してはイマイチな印象は拭えません。顔はどうしてもマーク2ブリッドを思い出しますし、ルーフラインが伸びた事で、W211のエレガントさに比べれば少し無骨さが目立つ印象。その分、リアシートの居住性を中心として、ある意味W124時代の端正なメルセデス像が戻ってきたと感じられる方もいるかもしれません。

スタイルについてはW210登場当初の丸目もかなり違和感があったので、マイナーチェンジや次期モデルなどが出ていくことで次第に慣れていくかもしれません。また、そういった強引とも言えるトレンドの流れを作り出してしまいかねないというのも、ある意味メルセデスのブランドの強さの1つとも言えるでしょう。

ボディサイズは全長・全幅が若干拡大。特に1855mmの全幅は、国内でのオーナーカーとしてはギリギリのサイズでしょう。FRならではの特権で最小回転半径が抑えられているのがせめてもの救い。スクエアなボディデザインや、20mm伸ばされたホイールベースによって、居住性は若干拡大傾向になっています。

インテリアでの注目は、シフトノブがなくなったこと。SやMLのように、ステアリングコラムへ小さくレバーで配置されています。BMW7シリーズがいち早く採用したものの、こちらは新型でコンベンショナルな位置へと逆戻り。しかしメルセデスは、このシフト位置をどんどん他車種にも広げていくようです。また、ナビシステムの位置がようやく現代的な場所へと移動されたのは歓迎したいと思います。

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依然このクラス・価格帯としてはインテリアの質感はもう一息という印象ですが、W211時代からすれば随分とよくなりました。またインテリアはもちろん、外装のLEDライトやAMGパッケージのマフラーと一体型エアロなど、ところどころアウディやレクサスの他メーカーのトレンドを受け入れている点も、目につくところです。

メルセデスの中でも一番の生産メイン車種だけであって、新エンジンや足回り、安全装備の充実には目を見張るばかり。先代W211ではブレーキバイワイヤ―システムのSBCをSLに続いて搭載したものの、モデル途中でリコール問題が発生。トヨタはしっかりとモノにしたものの、メルセデスは潔くこの分野から身を引きました。

そういった出来事もあり、今回のW212を開発するにあたってテストに費やされた走行距離は、約3600万キロ。これは昨今の新型車と比較すると圧倒的であり、同じメルセデスで比較しても、この規模は異例。コンピュータ技術が発展しながらも、こういった人間の感性でしかチューニングできない領域のセッティングも含めて、相当煮詰めて開発が進められたようです。

エンジンは、3Lと3.5LのV6、そして5.5LのV8。いずれも自慢の7Gトロニックの組み合わせ。V8モデルにはエアサスが装着されるのはW211と同じ。ご自慢のブルーテックディーゼルや63AMGもいずれ追加されることでしょう。

注目すべきは、おそらくそれとほぼ同時期に上陸するであろう1.8L直噴ターボモデル。メルセデスといえばCクラスでもお馴染みのコンプレッサー、つまりスーパーチャージャーを採用してきましたが、Eクラスからは過給機をターボに変更。排気量ダウン+過給機で性能維持・燃費性能改善という流れは、ついにEクラスまでやってきました。

排気量がそのまま車格・ヒエラルキーにつながる国内では、1.8L4気筒のEクラス…ともなると少し抵抗あるユーザーが多い事が予想できるので、やはりおそらく当分はE300〜350が結局は売り上げの中心になるでしょう。導入予定と目される204ps仕様のE250が、7速ではなく5速ATというのも少し気になる点。しかし、このような自らが築き上げてきたヒエラルキーを壊すようなドラスティックな改革を行う姿勢は、凄いの一言。気筒数で高級車の品格の差を問う時代は確実に終わりに近づいてきているのかもしれません。

誤解を恐れずに強引に単純に言うならば、クラウンにプリウスのパワートレーンを積むような、そんな感覚に近いかもしれません。さすがにそれは乱暴すぎるとしても、現行のクラウンクラスの高級車に2.0L以下の排気量のエンジンを搭載するなど、売れる売れないは別問題として、今現在の国内メーカーでは考えられません。

もともと必要十分以上のパワーをもつ3.5Lエンジンにモーターを組み合わせ、完全に過剰領域とも言える過大なパワーとバッテリー積載による重量増を手に入れて、それで「ハイブリッドです。エコです」なんて言っている場合ではありません。

ハイブリッド車で成功しているクルマは、今現在プリウスだけ。トヨタ・レクサスを含めてそれ以外はすべて付属価値とブランド欲求のため、と言っても過言ではありません。ハイブリッドなんて、そんなハリボテ・メカニズムを…と完全に舐めていた欧州メーカーは、最近になってようやく焦り本腰を入れ始めてきました。

ハイブリッドに関しては日本が依然断トツ優位なものの、ガソリンエンジン改革に関して欧州勢の勢いというのはそうとうなものです。こういった観点でも、絶対的なクルマの完成度だけではなく、新型Eクラスはフューチャーされるべき1台と言えるでしょう。

少し話は脱線しましたが、いずれ実際乗る機会がありましたら、またレポートにてこの場でインプレッションしてみたいと思います。


<岩田 和馬>
posted by 親方 at 23:33| Comment(3) | TrackBack(0) | 岩田和馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月15日

小排気量+過給機エンジンを載せて欲しい車

ここ数年ヨーロッパ車には小排気量エンジン+過給機の組み合わせで、小排気量化で燃費を向上させながら過給機の力を借りてパワーも維持するという車が増えています。具体的にはゴルフ&アウディ/1.4リッター、プジョー&シトロエン/BMWと共同開発した1.6リッター、ベンツ/Eクラスの1.8リッター4気筒などです。日本車には今のところその種のエンジンがないのは残念ですが、このようなエンジンが似合いそうな車として突然頭に浮かんだのがシトロエンC5です。

日本仕様のC5には2リッターの4気筒と3リッターV6のラインナップで、大きくて重い車を比較的小さいパワーで走らせるという2リッターにフランス車らしい個性を強く感じるのですが、この2リッターをシトロエンC3やプジョー308の1.4リッターターボに替えたら? 確実に最高出力は変わらなくてもトルクの増える分で動力性能は向上(C5にはそれほど重要なことではありませんが)、排気量の小ささと軽量になる分で燃費も向上と、過給機付きになることでコストがかかる可能性のあること以外はいいこと尽くめではないでしょうか。

まあシトロエンの場合は、ゴルフが排気量を小さくしたケースと違って、日本だと1.6リッターでも2リッターでも自動車税は同じなので、税金で得をするという点がないのは残念ですが、このような個性を持つ車があっても面白いように思います。もう計画されているのかもしれませんけど。

それにしても小排気量+過給機というエンジン、今になると考えようによっては80年代までの日本車によくあった2リッターの6気筒+過給機のエンジンも近い考えをしていたと解釈出来ないこともありません。ただ、その頃のエンジンは燃費がうんぬんより「本当は2リッター以上のエンジンがベストだけど、2リッターを超える排気量だと自動車がドカンと上がってしまうので、2リッターだと力不足なのを補うために過給機を付ける」という目的が主で、ベースになるエンジンの出来やターボだと1気筒あたりの排気量が少ないこともあって、ATだとすごく発進がかったるいなど、あまりいいエンジンはありませんでした(ツインターボやスーパーチャージャーにするなどに対策をしている車もありました)。さらに同じ時代にはマーチのスーパーターボ(1リッターエンジン+ターボ&スーパーチャージャー)という、こちらも燃費の向上は目的にはしていなかったにせよ、日本車にもそういうエンジンがあったことを思うと、小排気量+過給機エンジンがヨーロッパ車では増えているのに、日本車に全くないというのはちょっと皮肉な感じもしてしまいます。

posted by 親方 at 00:06| Comment(4) | TrackBack(0) | 弟子永田 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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