2009年05月30日

西部警察

地域によって時間や放送の有無は異なると思いますが、7月に行われる石原裕次郎さんの23回忌を前にテレビ朝日系列で「西部警察」が再放送されています。

石原プロの総力を挙げて制作された西部警察は「映画を超えるテレビドラマ」というコンセプトの刑事ドラマで、簡単に言うととにかく凶悪犯を捕まえる(普通に検挙されるケースは少ないですが)ストーリー。まあ犯人は普通に射殺される、人情的なストーリーはマレ、車は当たり前、建物、遊覧船、路面電車、装甲車、最後には煙突などあらゆるものが爆破される、一所轄の捜査課が人も車も総出で全国を飛び回っているなど、突っ込みどころのオンパレードですが、細かいことを考えないと現代の刑事ドラマにない部分を単純に楽しめます。

その西部警察の車好きにとってのハイライトはアメリカ映画真っ青のカーチェイスや西部署に配備されるスーパーマシンになるわけですが、スーパーマシンのカッコよさは放送終了から25年経った今でもまったく色褪せません。放送当時、西部警察とは切っても切れない関係だった日産はそれほどいい状態ではなかったと思いますが、西部警察に登場したマシンX(ジャパンのスカイライン)、スーパーZ(S130Z)、マシンRSシリーズ(R30スカイライン)の影響で日産ファンは増えたような気がしてなりません。

ドラマの本編はもちろん、多々ある突っ込みどころや石原裕次郎さんの病気からのカムバックへのファンへのお礼をこめた全国縦断ロケでの分かりやす過ぎるスポンサーのアピールなど、放送中ずっと楽しめる西部警察は平日日中の放送されてます。ビデオに録画してご覧になってはいかがでしょうか。


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2009年05月27日

プリウス試乗記 S(ソーラーベンチレーションシステム&リモートエアコンシステム付)

最後の試乗車はSのソーラーベンチレーションシステム&リモートエアコンシステム付きです。

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ソーラーベンチレーションシステム&リモートエアコンシステムに関してはバッテリー残量や室内温度がシステムの働く温度まで達していなかったせいなのか、残念ながら確認できませんでした。

乗り味は現在販売されているプリウスでベストと思える仕上がりでした。ソーラーベンチレーションシステム&リモートエアコンシステムの付かない単なるSだと、足回りの仕様は195幅の15インチタイヤ(銘柄はブリヂストンエコピア)+標準サスペンションになるのですが、ソーラーベンチレーションシステム&リモートエアコンシステムの場合はサスペンションが屋根の重量増に対応してなのかツーリングセレクションと同じものになります。ツーリングセレクションのサスペンションというのはバネレートが変更され、ショックアブソーバーの形状が標準サスペンションの一体型から衝撃吸収の効果を持つ「アッパーマウント分離型」というものになります。その効果に加えてタイヤがそれなりの厚みを持ち乗り心地に有利な15インチとなるため、結果としてステアリングの手応えや満足できる直進安定性を確保しながら、乗り心地もしなやかで足がよく動いているように感じるレベルとなりました。タイヤの転がり抵抗も17インチとは大分違うでしょうから、燃費とのバランスも取れた理想的なプリウスだと思います。

プリウスで一番売れ筋になると思われる単なるGとSの試乗車はなかったのですが、GとSはどうなのかも気になるポイントです。もしGとSの乗り心地がソーラーベンチレーションシステム&リモートエアコンシステム付きに劣るとしたら、要因はショックアブソーバーが大きいのでしょうから、きっとコスト的な問題はあるにせよ分離型ショックアブソーバーの拡大採用を望みたいところです。

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新型プリウスを個人的に総括すると、文中何度か「先代+アルファ」という言葉を使ったように先代プリウスに乗っている人だったら、各部は格段に良くなっているけど劇的な進歩までは感じない、すぐに乗り換えるほどの必要性はないと感じました。

しかし、ハイブリッドカーに乗った経験が少なくて「安くなったことだしそろそろハイブリッドカーを買ってみようか」という人だったら、燃費の良さはもちろん、今までのプリウスで不満を感じた点が潰され、モーター走行の長いトヨタ式ハイブリッドならではの味が濃くて、自分の車として長期間使っても飽きるどころか大げさに言えば「乗る度に発見がある」(昔のフォルクスワーゲンかアウディの企業スローガンみたいですが)新鮮さはプリウスならでは魅力です。というわけでインテリア関係にいくつか不満はあるものの、新型プリウスの購入を考えている方には納期や補助金のこともありますから、少しでも早い注文を勧めたいと思いました。
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プリウス試乗記 L

2台目の試乗車は個人的に注目していた燃費、価格スペシャルのLです。試乗車自体があるのか?とも思っていましたが、それなりに数多く用意されており、メディア対抗のエコラン大会などがあったらLの争奪戦となりそうです。

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外見からの安っぽさは感じられず

そのLですが、価格スペシャルという面もあり安っぽさを指摘されるケースも多いものの、個人的には改めて見てもコンソールボックスのふたが樹脂製(L以外はシート地に準じます)になる点以外チープな感じはありません。むしろプリウスのインテリア全体の問題として感じたのは、インテリアカラーとメーター内に移動したエネルギーモニターの視認性、センターコンソールの形状です。インテリアカラーはLのミディアムグレーだと暗く、どうも垢ぬけません。アクアという方を選べば大分明るい雰囲気になるのでそれで済むといえば済む問題ですが、先代にあったアイボリーというかベージュを復活させてもいいのではないでしょうか。

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センターコンソールの形状にも注目してください

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樹脂なら樹脂で、もうちょっといい樹脂を使って欲しかった感も

エネルギーモニターの方はまず先代より場所が遠くなった上に小さくなっているので、絶対的な大きさという面で確認しにくくなりました。またメーター内に配置するようになったせいで色の制約も多かったのか、バッテリー残量の色が先代と通常量/紫、満タンのセグメントが1つ欠けた満腹状態(全セグメントが埋まるケースは多分ありません)/黄緑に近い緑と分かりやすかったのに対し、新型は残量に関係なくデジタルメーターの緑色のみ。さらにエネルギーモニター内で、エンジンを使っている場合(エンジン駆動、エンジン動力でのジェネレーターを使った発電)の赤い矢印が昼間はもちろん、ライトを付けてメーター内の文字色が暗くなる状態だと特に見ずらいです。まあ、エネルギーモニター自体そこまで重要なものか?とか、そこまで頻繁に見る方が危ない、モニター内に移動したおかげで市販品やディーラーオプションのナビも付くようになった大きなプラス面でもあるので、ここまでこだわる必要があるのかというのも分かります。しかし、プリウスユーザーやハイブリッドユーザーだとエネルギーモニターと睨めっこしながら、燃費向上やハイブリッドシステムの動きを楽しんでいる人も大勢いると思うので、ぜひ視認性の改善を望みたいところです。

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勝手なようですが、ナビ画面からメーター内に移動してしまうとナビ画面時代の良さを感じるエネルギーモニター

アーチ型のセンターコンソールは、初代と2代目で狭いところに停めて片側のドアしか開けられないときでも横方向のウォークスルーが出来なくなった点が不満です。人によって感じ方は相当違うのでしょうけど、何気に便利な機能でした。さらに困るのが、まだ普通のフロアシフトなら跨ぐこともできますが、アーチ型ではそれも不可能です。そのアーチ型コンソールの部分に何か機能部品が入っているとか機能的な意味を持つものなら納得もできるのですが、そういう問題でもなさそうです。コストダウンのためにオーリスと共通になった、そうするしかなかったというのなら仕方ないといえば仕方ないのですが。今までプリウスに乗っていた人だと、もしかすると一番不満を感じることかもしれません。

話を走りに戻すと、意外にもこのLグレードがラインナップ中で一番速いプリウスに感じました。大きな要因はおそらく車重なのでしょうけど、Lの車重は1310kg。そこの試乗車はメーカーオプションのナビの設定はないのでディーラーオプションのナビが付いて、1320kgというところ。さらにタイヤも185幅と細さで転がり抵抗の有利さを持つのに加え、銘柄も省エネ性能では定評あるグッドイヤーGT3。G“ツーリングパッケージ”レザーセレクションより70kgも軽くて、転がり抵抗も少なかったら速くて当然です。燃費でもかなり有利なのではないでしょうか。

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燃費番長ながらその他の性能もちゃんと確保されているグッドイヤーGT3

ハンドリングや乗り心地は先代プリウスとそっくりです。似たセッティングや同じタイヤだからというのは分かるとしても、プラットホームまで変わってそっくりというのもちょっと寂しい気もしますが。

と運転する楽しさとか質感といった部分では光る部分のないLですが、プリウスという車の性格を考えるとエコノミーかつ究極のエコロジープリウスとなるこのグレードの存在意義はそれなりにあると感じます。燃費スペシャル、価格スペシャルはその通りですが、他グレードとの装備差や差額、オプション選択の制限に納得できれば買っていいグレードだと思います。ちなみにLのメーカー側の販売比率の想定は10%から20%で、初期受注もそのくらいの割合になっているそうです。
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プリウス試乗記  G“ツーリングセレクション”レザーパッケージ

昨日は横浜で新型プリウスの試乗会でした。

1台目の試乗車は「豪華版プリウス」と言えるG“ツーリングセレクション”レザーパッケージ。豪華版だけあってグレード名にも謳われる本革シートに注目してしまいますが、本革シートの質は硬めであまり良くありません。いきなり否定的な意見ですが、価格ほどの価値や存在意義を見いだせないグレードに感じてしまいました。

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魅力や必要性を感じられなかった本革シート

乗ってみると「タウンスピードだと電気自動車に近い」というプリウスの味はそのまま。しかし、そのレベルは確実に上がっており、バッテリーを使っても回生ブレーキで次の走る時に必要な分をかなり回収できるので、40〜50キロくらいまでのスピードで市街地をちょこちょこ走るような使い方だとかなりの距離(もちろん先代プリウスより相当長い距離)をモーター走行することが出来ます。

さらに先代プリウスだとエンジンがかかる際の振動が気になるというか、認識できてしまうケースは多かったのですが、新型はメーター内に表示されるエネルギーモニターを見ない限りほぼ分かりません。この2点だけでも非常に洗練された車に感じます。ちなみにモーター走行中のモーター音や信号で止まるような減速の回生音は先代より大きく聞こえるような気もします。個人的にはモーターの音がよく聞こえて、プリウスの味が濃くなったように思えるのでマイナス要素ではなくむしろプラス要素に解釈したいと思います。

洗練といえばエンジン音もそうです。高速道路への合流や追い越し加速をするようなケースだとあまり音質の良くない苦しげな音だったのが、新型プリウスは「ホンダエンジンのよう」と感じるほど、乾いた気持ちのいいハミングのような音がします。新型に乗ると「あの1.5リッターエンジンって古いエンジンだったんだな(なってしまった)」と深く思います。絶対的な加速感自体は自分でも意外だったのですが、先代+αか人によっては「そんなに変わらないかも」と感じるレベル(高速道路ペースでの静粛性は向上しています)。「排気量が300ccも増えているのに加えて、モーターもハイパワーになっているのに?」と疑問を持つ方も多いと思いますが、その理由は車重にありそうです。車重を見ると、先代プリウスの基準車といえる後期モデルに設定されたS“10thアニバーサリー”(カーナビ、VSCの付いた特別仕様車)の1260kgに対し、このグレードは普通のGの1350kgにカーナビの10kgと17インチタイヤ+アンダーパネルと思われるツーリングパッケージ分の30kgで、おそらく1390kgの車重。130kgも車重が違えば、パワーアップがあっても思ったより動力性能が変わらないのも辻褄が合うようにも感じます。燃費は試乗中の市街地、追い越し加速などをしながらの高速道路といったパターンで大まかに言って22km前後。燃費も先代+αといったところです。

乗り心地やハンドリングは大幅に進歩しました。先代との比較ばかりになりますが、先代は大きな不満や不便はないものの、高速道路を追い越し車線のペースで走るとフラフラ感があって真っ直ぐ走るのにちょっと気を使う、乗り心地も後期型で大幅に改良されましたが300万円近い価格を考えると安っぽいなど、ハイブリッドシステム以外での「オーソドックスな運転する楽しさ」という面では決して誉められた車ではありませんでした。それが欧州戦略車であるオーリスのプラットホームを使った恩恵(そのせいで重くなってもいますけど)と17インチタイヤと足回りが標準グレードと違うツーリングパッケージだったこともあって、ステアリングの手応えやセンター付近の座りが随分ピタッとするようになりました。

乗り心地もダンパーの動きが良くないせいなのか気持ち程度リアが落ち着かない感じはあるものの、17インチタイヤを履いていることを考えれば納得できるレベル。「車は1台しか持てないので、その中に走りの楽しさも欲しい」という人でも満足できると思います。
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2009年05月26日

VWシロッコが発表されました

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昨日はVWシロッコの発表会でした。トロッコではありません。懐かしい名前であるシロッコはVW流の「風」にちなんだ車名で「サハラ砂漠から地中海に吹く熱い風」という意味ですが、初代モデルの74年に登場。初代モデルはVWの主力モデルがRRの空冷ビートルからFFのゴルフに変わる大変革期で、いきなりFFのゴルフを市場に出すという不安もあったためゴルフを発売する前に3ドアファストバックのシロッコを世に出し、初期トラブルなどを解消するという役割も持ったモデルでした。その後2代目モデルを経てしばらく聞かない名前となっていましたが、昨年のジュネーブモーターショーで復活し、日本導入も開始となりました。日本に導入されるグレードは1.4リッターTSIエンジン(スーパーチャージャー+ターボ)のシロッコTSIと2リッターターボのシロッコ2.0TSIの2種類となります。

そのシロッコの位置付けは、ゴルフベースのスタイリッシュな3ドアハッチバックといったところ。スタイルはワイド&ロー、最近珍しくなったルーフの長いプロポーションなどにより、全長4255mm×全幅1810mm×全高1420mmというサイズ以上に大きく見える点が特徴です。

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見る角度によってはフロントがガルウイングのトヨタ・セラ、リアが91年に出たミラージュに似て見える人もいるかもしれません。

インテリアはゴルフ5に近い造形で、シート地はシロッコTSI/アルカンタラとファブリックのコンビ、シロッコ2.0TSI/レザーとなります。

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歴代シロッコは「4人がちゃんと乗れる」という持ち味も引き継がれており、新型シロッコのリアシートも長距離ドライブにも対応する広さが確保されています。

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開口部は高いものの、4人分の荷物がしっかり積めるラゲッジスペース


ハード面は前述した通りゴルフベースで、エンジン&トランスミッションは1.4リッターTSI(160馬力)+乾式クラッチの7速DSG、2リッター(200馬力)+湿式クラッチの6速DSGと、それほど目新しいものはありません。

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パワーと燃費の燃費が絶妙な1.4リッターTSI

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こちらは2リッターTSI

足回りもゴルフに非常に近いもの(形式はフロント/ストラット、リア/4リンクマルチリンク)ですが、全幅の広い分トレッドが広がり、シロッコ2.0TSIには「DCC」と呼ばれる3モードの可変ダンパー(電動パワステの重さの調整も含む)が標準装備されるという違いを持ちます。

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写真はシロッコ2.0TSIに付く18インチタイヤ

価格はシロッコTSI/392万、シロッコ2.0TSI/447万円と一瞬「エッ」と思ってしまいますが、装備内容を見るとESPなどの安全装備はもちろんカーナビまで標準装備。ゴルフの1.4リッターTSI(160馬力仕様)でもカーナビなしで312万円することを考えれば、「そのくらいかな」と思えるところではないでしょうか。

なお日曜日のニュルブルクリンク24時間レースでのシロッコのクラス優勝は、ドリザス社長の挨拶でもしっかり使われていました。

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2009年05月22日

新型レガシィ詳細レビュー

5代目となった新型レガシィがデビューしました。デビューは5月20日、しかしこの日は水曜日でスバルのディーラーは全国的にお休み。ということで、すでに先週末から展示してしたディーラーも多かったようです。

NYショー直前、ある意味「衝撃的」な形で我々の前に披露された新型レガシィ。そこで公開された北米仕様とは若干細部が異なる日本専用スペック・デザインでの登場となりました。当初の評判は賛否で言うと主に「否」。明らかに不格好なエクステリアには唖然としたとしか言いようがありませんでした。

そして、今回正式に日本での発売。すでに最初が最初だけに「思っていたより悪くなかった」「実際見てみるとなかなかカッコいい」と言うような意見を持たれた方がいるかもしれません。
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しかし、個人的には、実際に近くで細かく見た上でも、はっきり言って最初の印象はほとんど変わりません。もともとスバルのデザイン力のなさは理解していたつもりなのですが、今回のこの新型レガシィを見て、その事を頭で分かっていたようで、実は全然まだまだ理解していない事に気付きました。

レガシィのポリシーや立ち位置、拡大されたボディサイズなどの事などを考えずとも、これを見て「カッコイイ」などとは、残念ながら一切一瞬たりとも思いませんでした。

フロントマスクは、切れ長なヘッドライトが特徴的。先代インプレッサ登場時にように、ライト形状だけに特徴を与えて、ボディラインとの調合や一体感は求めていないようです。ブラックベゼル調のヘッドライトが装着されるSパッケージは、精悍さが増し凛々しい顔付きとなるので若干マシ。しかし、このセグメントに求められる上質感やプレミアム感が圧倒的に乏しい事に大きな変わりはありません。

全幅1780mmという日本専用サイズが与えられたのが、唯一まだレガシィが日本市場に気を使っている証拠とも言えるでしょうか。しかしながら、ボディサイズ拡大はそのほとんどが居住スペース拡大に充てられたようで、サイドのボディラインはまさに「ぺっちゃんこ」。

ホイールアーチのフェンダー形状でなんとかごまかそうとはしていますが、実際に見ると見事なほどの断崖絶壁。かつての税制改革前の、5ナンバーサイズでいかに大きくクルマを見せるかが勝負となっていた80年代後半の角型セダンのようです。よくなったなと思えるのは、フラップ式からグリップ式へとようやく変更されたドアグリップと、サッシュドアの採用くらい。
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リアデザインも、全くどこのクルマが分からない無国籍風デザイン。ツーリングワゴン・アウトバックは、先代の日産ADバンにソックリで、まさに商用車のようだった貧弱さからは解放されたものの、B4の出来にいたっては絶句。
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せっかくのヨーロピアンなダックテール風の処理は影を潜め、このデザインにターボ車のツインマフラーがさらに皮肉さを強調しています。思えばインプレッサアネシスもまるで韓国車のようなデザインでしたが、今度のB4は韓国車のそれ以下。まだまだ「パクリ」が横行する中国車のほうがマシかもしれません。

もうすこしスポーティさというか、プレミアム感というか、どうにか造形をキチンと考える人がいなかったのでしょうか。唯一褒められると言えば、まだキチンとリアワイパーを設定していることくらい。昨今はセダンで装着できるクルマはほとんどなくなってきているので(個人的には雨の日の必需だと思います)、このあたりはスバルの良心が感じられます。

全長はツーリングワゴン/B4で95mm、アウトバックで45mm延長。全幅の拡大も昨今の情勢を考えれば十分許容範囲でしょう。問題は全高。B4で先代比+80mmの1505mm、ツーリングワゴンは+65mmの1535mm。背のの高さが、新型レガシィのプロポーションの鈍重ささを決定付けています。

先代までツーリングワゴンはツインルーフなどを採用し、低いプロポーションと室内空間拡大のバランスよくとろうとしていた努力が垣間見ることができましたが、そのような工夫一切なし。1535mmという全高は、いまや3列シートミニバンのオデッセイとほとんど変わらない数値。室内スペースを広げたい→やみくもにボディサイズを拡大する、という安直的すぎる考えには心底失望を覚えます。

プロポーションで言えば、B4は最悪かもしれません。現在全高が1500mmを超える日本のセダンは、フーガくらい。かつてはトヨタビスタがアップライトなデザインを採用して大失敗しましたが、今度のB4にもそれと同じ雰囲気を感じます。この車をスポーツセダンと思うか? と聞かれれば、答えは完全にNO。実用セダンとして見てもこんな鈍重な見た目の車に魅力など感じません。

見慣れてくるとカッコ良くなるかも、と精一杯考えてもみましたが、このプロポーションはマイナーチェンジなどでは改善できない諸悪の根源。もう現行モデルのスタイルは諦めた方がいいのかもしれません。ツーリングワゴン/B4ともにテレビCMは凝った演出で非常にカッコいいのですが、肝心のテレビ画面上に映るクルマがこれでは、まさに本末転倒です。

随分と個人的に厳しくなってしまいましたが、自分は猛烈なスバリストでもなければ、レガシィの大ファンというわけでもありません。一応公平なクルマ好きとして、このスタイリングはレガシィらしくないどうこうというより、純粋な1台のクルマとしてスタイルのレベルの低さが露呈していると感じます。

よく「トヨタ車のようだ」「トヨタと提携したからこうなった」とも言われますが、今のトヨタラインナップの中でもこれほどガッカリさせられるデザインの車はありませんし、仮に提携したから結果このレガシィの形となったのなら、それはスバル自身の問題。

ましてや損することに人一倍敏感なトヨタですから、せっかくのブランド性を持つクルマをこんなスタイルで出せとは言わないでしょう。ボディサイズの拡大も致し方なし、コンセプトやターゲットユーザーを変えるとスバルが主張するならそれも渋々納得。しかしその結果のデザインがこうなってしまっては、スバル自身のレガシィへの冒涜、ユーザーへの裏切り、と言われてしまっても全くその通りだと思います。
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続いてドアを開けインテリアを覗いてみます。ボディサイズの拡大もあって、室内のゆとりの拡大は顕著。シートサイズもたっぷりで、クッションも幾分ソフトになった印象。ラグジュアリー性という点では大きく魅力が増したものの、先代までのレガシィで感じられた「適度に低く、適度にタイト」といったスポーティな印象は影を潜めました。

しかし、着座位置・アイポイントともに大きく高くなりながらも、シートに収まればそういった印象があまり感じられないのは、空間設計が巧みな証拠。高速クルーズでの快適性は乗員性の良さを考えると、これはこれで新たな魅力です。

インテリアの質感は、「目で見る限りは」かなり上質でしっかりと作り込んでいる印象。注釈をつけたのは、実際に手で触れる領域になると、その印象がなくなりチープさが目立ってしまうため。メタル調のシフトパネル付近の処理は見た目・質感ともにかなり雰囲気の良さが感じられますが、全体的にソフトパッドの使用面積が減り、インパネ上は触れば硬くてカチカチ、標準のオーディオレス車で装着される小物入れのフタの作動感などは、少し情けなくなるほど安っぽい出来。

今回からDINサイズとなり後付けで好みのオーディオ・ナビを装着できるようになりましたが、ここは見た目や質感なども含めて、純正のオーディオ・ナビを装着したほうがいいかもしれません。マッキントッシュオーディオは、その素晴らしい音質を提供してくれるだけでなく、ピアノブラック調の操作パネルが非常に質感・見た目ともにハイレベルで、インパネ上の見栄えも飛躍的に向上させてくれる一品。

インパネを横切るラインパネルは、標準系がメタル、Lパッケージが木目調、Sパッケージがカーボン調。インテリアの雰囲気の統一という点では、標準のメタル系の方が一番ですが、実際は少し安っぽさが目につくかもしれません。Lパッケージの木目調のラインは、インパネ付近の印象とマッチしていない印象。Sパッケージのカーボン調パネルは、かつてのトヨタツアラーV系の車を彷彿とさせます。

エアコン吹き出し口、ナビ・オーディオ操作系、エアコン操作パネル、ハザードスイッチなど、このあたりの操作性も分かりやすさとバランスの良さは○。タッチパネル式の純正ナビはトヨタ方式で、新たなインターフェイスのロジックはありませんが、使い勝手の高さに関して不満ナシ。

インパネ最上部に設置されるインフォメーションディスプレイですが、もう少し表示部分の面積・文字を大きくしたほうがよかったかもしれません。場所的にも同乗者にも認識できやすい一等地なので、少しもったいないような気がします。

調整幅の大きいシート、チルト・テレスコ調整付のステアリングによって、ドラポジの自由度・収まりの良さは○。残念に思うのがステアリングの質感で、ベースモデル以外は当然のように本革巻きなのですが、ステッチが荒く革の質感も「並」。またグリップがやや細い印象で、女性などは運転がしやすいかもしれませんが、個人的にはもう少し握りの良さを追及して欲しかったところです。ここはやはり、長年関係のあった「MOMOステアリング」に慣れたユーザーが、インテリアでまず気になる部分ではないのでしょうか。

ステアリングは運転する時に必ず触れる必要がある、車の中でも優先順位の高いパーツの1つ。そこへしっかりとコストをかけていないクルマは、たとえ走りの性能と質感が素晴らしくても、肝心のドライバーインターフェイスの部分で大きく損をする事になります。事情によりMOMOが採用できなかったのなら、それに負けないくらいのしっかりとしたステアリングを与えるべき。インテリアの印象はなかなかよかったのですが、ここが数少ない、しかし割合としては大きく、惜しいと感じた部分。

やや金属的で冷たい印象のATのシフトノブですが、新型はシフト側の+−のマニュアルモードが廃止され、操作はパドルシフトに統一されたので、個人的にはさほど不満にはならず。ベースモデルを含めて全車に装着されるパドルシフトは、ステアリングポスト固定式だった先代から、ステアリング一体式へと変更を受けました。

どちらにするかは色々と個人差があると思いますが、先代はパドルのサイズは大きいものの、やや剛性不足を感じ少し操作感が安っぽかったので、やや小さくなったもののカチカチっと小気味よく操作できる新型のほうが、個人的には好印象。

また、ターボモデルのSパッケージのみとなったものの、まだキチンと6速MTを設定しているのはレガシィならでは。新型はケーブル方式へと改められており、操作性を考えてアームレストも専用設計。ATだけでなく、MT車でもメーター内のディスプレイにギアポジションを表示し(シフトアップインジケーターも装着)、リバース時にも同じAT車と同じようにバックブザーがなるようになっているので、久々MTに戻ってみようかなと考えるユーザーにも親切な設計となっています。

今回ターボモデルだけでなく、NAユニットも含めてこちらも全車標準となるSI−DRIVEは、すっかりスバル車でお馴染みのロジックとなりました。エクシーガのターボではその装着位置に不満を覚えたものの、レガシィは先代と同じく操作しやすいシフト後方に設置されており、左に回せば「S」、右に回せば「S♯」、押せば「I」、という分かりやすい操作性も含めて、使い勝手は良好。

変更点と言えば、先代は基本モードが「S」でしたが、新型のデフォルト状態は「I」。こういった点も、今回の新型レガシィのキャラクターの違いを表している1つと言えそうです。

新型レガシィの注目点の1つとして挙げられるのが、レクサスLSやエリシオンプレステージ、VWパサートなどで装着されている電気式パーキングブレーキ。サイドブレーキがなくなった事でコンソール付近はスッキリとし、また発進の際はアクセルを踏めば自動解除。

最初のうちは少し違和感があるかもしれませんが、ヒルスタートアシストもセットで装着されているので、慣れれば便利な事間違いなし。アクセルに反応する自動解除機能が、シートベルトをしている状態のみで作動するというシステムも良心的。

ただ、このパーキングブレーキスイッチが配置されるのが、ステアリング右側。個人的にはこの設置場所に違和感を覚えました。発進時には自動解除してくれるので問題はありませんが、基本はやはりシフトノブを操作する手、つまり左手で一連の操作可能な場所にスイッチが配置されるべきでは?

せっかくならLSのようにステアリングだったり、エリシオンプレステージのようにシフト付近だったり、そういった場所のほうが分かりやすく、より実用的で慣れ易い気がします。

先ほど酷評したスタイリングとデザインですが、それらを決定付けたディメンジョョンの要因である居住スペースについて、リアシートに座るとその効果がありありと実感できます。

まずワゴン/B4問わずドアの開口部が大きく広がって、乗員性の向上を実感。実際リアシートに収まってみても、頭上空間・足元スペース・左右横幅いずれについてもとにかく広々ゆったり。特に足元スペースの拡大には著しいものがあります。

178cmの自分が運転席で適正なポジションを取り、そのままリアシートに座っても、余裕しゃくしゃく。これなら今回新型レガシィが掲げた目標はキチンと達成されたと言っていいでしょう。もっとも、その掲げた目標が正しいか否かについては、大きな疑問が残りますが。

ラゲッジスペースについては、B4はまずリアエンドの短さが印象的。おそらく空力性能を考えてのことなのでしょうが、オプションのリアスポイラーを装着すると、もうほとんど余分な面積がなくなってしまうほどです。

そのために、ラゲッジスペース自体は奥行きも横幅も深さも大きく拡大しているのですが、開口部が小さいためにその広さを実感しにくいかもしれません。しかし、このスペースならゴルフバック4つは楽勝、実用性も十分以上です。またようやく新型となって、トランクヒンジが内部に干渉されなくなったのも朗報です。

ワゴンに関しては、高さ方向のゆとりを実感。特にトノカバーをした状態での容量拡大は、先代を大きく上回っています。スクエアで扱いやすいスペースですが、リアサスペンションがマルチリンク→ダブルウィッシュボーンと変更になったためか、サスペンションタワーの張り出し量は若干大きくなっています。

リアシートがラゲッジ側のレバーによって格納できるのは先代と同じ。ノブ形状が操作しやすくなっているのは嬉しい点。相変わらず大きくフロアとフラットに開くリアゲートも使い勝手はいいものの、先代ようにアルミ式のゲートではなくなってしまったので、リアゲートは若干重くなってしまったのが少し残念。軽量化とコストのバランスの問題なのでしょうが、新型ではボンネットもアルミではなくなってしまいました。

エンジンは、長年レガシィのメインであった2.0Lを廃止。ターボ・NAともに2.5Lへと移行しました。確かにクラスを考えればこの排気量アップは当然なのでしょうが、「これで大きければインプレッサをどうぞ」とはすんなりいかないような気もします。両ユニットともに燃費も大きく変わらず、価格も大きく変わらず、とのことですが。確か、ボクサーディーゼルは2.0L。この先のエンジンラインナップはどうするのでしょうか?

今回メインに置かれるのは2.5LNAには、ベルト式の縦置きエンジン用CVTのリニアトロニックを採用。6速のマニュアルモード付で、ベルト式ならではのレスポンスの良さと燃費の良さをアピール。エンジンは先代から若干パワーが落とされていますが、旧式の4速ATから比べれば、走りの洗練度は大きく向上していることでしょう。

ターボの排気量アップには納得。2.0Lで闇雲に280paを狙うのはすでに時代遅れ。しかし、今流行りの「排気量を下げてターボをつけて性能と燃費を両立」というのを、この2.0Lターボで追及する可能性もあったとは思います。

しかし、低〜中回転でフラットなトルクを発するこの2.5Lターボは、新型レガシィのキャラクターにマッチしたエンジンと言えそうです。ATが従来の5速ATのままで、その分のトルク制限も変わっていないのが少し惜しいところ。

さらにアウトバックには、3.6Lのボクサー6も用意。先代レガシィの3.0Lモデルも、非常に通好みな仕上がりをもった完成度の高いモデルでしたが、ここまで排気量がアップしてしまうと、さすがに少し躊躇してしまいます。

興味深いのは、レギュラーガソリン対応だということ。この排気量にするなら、レギュラー対応にする前にもっと進むべき方向性はたくさんあるはずですが、燃費面に不利なデメリットを少しでも解消しようとする傾向は評価できます。こちらに組み合わされるのも5速AT。

サスペンションはフロントが形式はストラットのままながら、今回新設計。リアサスペンションは先述したように、マルチリンクからダブルウィッシュボーンへと変更されました。エンジンマウントもスバル1000時代から受け継ぐボディ直付から、ゆりかご式と言われるクレードルフレームへの変更など、見えない部分にも大きく改革のメスが入っています。

タイアサイズはNAのベース・Lパッケージが16インチ、Sパッケージが18インチ、その他は17インチを採用。17・18インチはBSのポテンザRE050A、またアウトバックは60扁平の17インチで、タイアはオールシーズン用が装着されます。

そして価格。ボディサイズ拡大、排気量アップ、しかしながらスタート価格はB4で約220万円、ツーリングワゴンで約236万円、アウトバックが約268万円。もちろん「大きくて広くて安いから、レガシィにする!」というようなユーザーは、そういないとは思いますが…。

ラインナップは非常に分かりやすい体系となりました。B4/ツーリングワゴンは、NA・ターボともに標準系、Lパッケージ、Sパッケージ、そしてGT系にレーダークルコンを装着したSIクルーズがラインナップされます。上級エンジン=装備充実、ではなく、NAでもターボと同じ選択肢を与えられたのは○。

価格面でバリューな標準系ですが、装備内容はこれでも十分。NAの標準系はウレタンステアリングだったりアルミホイールではなかったりしますが、ターボであるGTの標準系には装着。他にはハロゲンヘッドライトや4スピーカー、パワーシートレス(逆に言えば、標準系以外はすべてパワーシートが標準装備)、サイドエアバックレスなどの差がありますが、実用的にはほとんど不満はないでしょう。VDCが全車標準になっているのも嬉しいところ。

25〜30万円高となるLパッケージは、前席パワーシート・スマートキーシステム・HID・左右独立エアコン・木目調パネルなどが追加装備。内装カラーをアイボリーにできるのも、このLパッケージの強みです(本革シートを選択すれば、SIクルーズでも選択可)。

売れ筋となるであろう40〜45万円高となるSパッケージでは、HID&フロントブラックベゼルヘッドライト、エアロバンパー&グリル、サイドシル、アルミペダル、18インチタイア&ホイール、ピルシュタインダンパーなどが装着されます。内容を考えれば、どちらのパッケージも充実度満点。

グレードの選びやすさは向上したものの、相変わらずなのは悪評高き「抱き合わせセットオプション」の制度が残ってしまったこと。少しでも生産するべき種類を減らしたい、スバルの悲しい性の表れなのかもしれませんが、本来オプションを自由に選ぶ権利は、実際にクルマを購入するユーザーにあるべき。このあたりはもう少しユーザーの立場になった方式を選んでもらいたいです。

国産で言うと、ライバルとなるのはホンダアコード・マツダアテンザあたりでしょうか。アコードは今やもう日本市場は完全無視、かろうじてワゴンが存在感を示す程度で、セダンにいたっては存在価値はほぼ皆無。

アテンザは国内市場では苦戦中なものの、走りの良さと質感・装備の充実と価格・そして何よりヨーロピアンで魅力的なデザインが武器。とりわけスポーツワゴンは、新型レガシィと比べると、その佇まいの違いは明白。

水平対向エンジン+AWDという非常に強力な武器をもちつつ、室内空間を大きく拡大し魅力を増した新型レガシィですが、どうしてもスタイリングやコンセプトが足を引っ張っているような気がしてなりません。

それぞれ個人的な好みや解釈の仕方がある「スタイリング」という観点で今回は酷評する結果になりましたが、これが紛れもない率直な感想。評論レビューに関しては個人の価値観を取り込まずに書くというのはほぼ不可能と考えるので、あえて感じたままの事を少し厳しく記しました。

スバルの屋台骨であるレガシィ。その存在は本当に大きく、ある意味スバルはこのレガシィと「運命共同体」と言ってもいいでしょう。レガシィがコケるということは、スバルという会社自体がコケる、というのは過言ではないはず。

それだけに、スバルの中でも相当この新型レガシィの開発については、様々な意見があったと思います。それらを含めて、今回こういう形での登場となったわけですが、個人的にはやはりどうもスッキリしないというのが改めての感想です。全く新しいスバルブランドのブランニューカーとして見る方がいいかもしれません。もっとも、例えそう見たとしても、デザイン上の印象は変わりませんが。

レガシィがもつその独特のブランドイメージ、レガシィが抱える多くのユーザー、それらは他社の車とは少し違った、ある意味特殊なものでした。それが時にレガシィの進化自体を自ら雁字搦めにしてしまう時もあったのでしょうが、「国産の中で圧倒的な『ブランド』を確立した数少ない1台」という存在のレガシィは、他のメーカーからすれば、羨ましい存在だったかもしれません。

それら築き上げてきた事を、今回の新型レガシィでは多く捨て去ってしまったような気がします。もちろんそれは時代の流れもあるので仕方ないのかもしれませんが、捨てたら捨てっ放し、その後のフォロー(歴代レガシィユーザーへの気配り)や、新たなユーザー獲得へ向けての明確なフィロソフィーが、ほとんど感じられませんでした。
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今回このレガシィが捨てたものは、かなりかなり大きなもの。捨てるなら捨てるなりに、それなりの覚悟と勢いが必要。それらが、5代目レガシィから発せられているとは思えないのです。今までスバルを、レガシィを選んでいた人々とその理由を、スバル自身は改めて考える必要があるのでは?

「開発の最中には、目標とする車はありませんでした。あくまでも我々の考える理想のワゴン像を追い求めて常に開発してきました」

3代目レガシィが登場した際に「ミスターレガシィ」と言ってもいい、開発主査の桂田勝さんが残した言葉。これこそがレガシィの本髄であり、そこが一番の魅力だったのでは。

見た目、形だけでなく、中身に精神が宿っていればそれはそれでいいのかもしれません。車は走ってナンボ、スバルの技術とポテンシャルの高さはまだまだ顕在。

「我々がレガシィを作っているというのは、自分たちが作りたいレガシィを作っているというよりは、皆がこうあって欲しいというレガシィをいかに実現するかが重要…」

これは、5代目新型レガシィのプロジェクトゼネラルマネージャーである、日月丈史さんの言葉。果たして、レガシィは今後どのような運命を辿っていくのか?楽しみでもあり不安でもありますが、それをしっかりと見届けていきたいと思います。




レポート:岩田 和馬
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2009年05月21日

アウディQ5が発表されました

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今日はアウディQ5の発表会でした。Q5はA4ベースのSUVで、同じクラスの車だとベンツCクラスに対するGLK、BMW3シリーズに対するX3と同じような成り立ちとなります。写真や実物を見るとそれほど大きい車には見えないのですが、ボディサイズは全長4635mm×全幅1900mm×全高1660mmと、全幅にはビックリしてしまいます。まあ全長は短いし、GLKやX3も似たような全幅といえば全幅ですし、左側面のカメラもあるのですが、都市部で使うには数字を聞いただけで引いてしまう全幅です。

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スタイルはQ7の弟分のような感じ

インテリアはアウディらしい質感の高い仕上がりで、室内は高さがあるだけにサイズの割に広いといったところ。ラゲッジスペースも立派なカーペットがひかれているため濡れたものなどを入れるのは躊躇してしまいますが、非常に広いです。

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容量は540L

ハード面はA4ベースということで、エンジン縦置きベースの4WDとなります。エンジンは4気筒の2リッター直噴ターボ(211馬力)と直噴3.2リッターV6(270馬力)の2種類。車重が2リッター/1870kg、3.2リッター/1930kgと重いのは気になりますが、どちらも太いトルクを低回転からキープし続ける性格で、ライバル車以上の動力性能と燃費が大きな特徴となっています。

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主力となる直噴2リッターターボ

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高級仕様の3.2リッターV6

トランスミッションはどちらもツインクラッチ2ぺダルの「7速Sトロニック」との組み合わせ。現在ラインナップされるガソリン車の燃費もいいのでしょうけど、高額車だけにコストのかかるディーゼルエンジンでもプラス分を値上げしやすい、レスポンスのいいSトロニックを持っているといったことを考えると、2リッター級のディーゼル車の導入を望むユーザーは多いような気がします。なお4WDシステムはセンターデフタイプのトルクスプリットタイプ(基本トルク配分40:60)となります。

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A4の2.0TFSIクアトロなどにも使われている7速Sトロニック

足回りは前述した通りA4がベースで、オプションでショックアブソーバーの減衰力などを統合制御する「アウディドライブセレクト」も用意されます。

価格は4気筒の2.0TFSIクアトロ/569万円、V6の3.2FSIクアトロ/660万円と内容を考えればライバル車よりリーズナブルな設定です。

不況で特に厳しい輸入車業界ですが、アウディは他のプレミアムブランドの販売が前年比50%、70%が相場になっている中でも、1月から4月は前年比88%をキープしており数少ない好調なブランドとなっています。Q5も今年の販売目標台数は700台と決して多くはありませんが、アウディの好調を後押しするモデルとなるか注目したいところです。
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新型レガシィが発表されました 2

プラットホームは現行インプレッサから採用されたSIシャシーで、特にエクシーガとの関係が強いもの(ホイールベースもエクシーガと同じ、サスペンション形式はフロント/ストラット、リア/ダブルウィッシュボーン)となります。

新型レガシィではエンジンマウントがボディにエンジンに直接載せる構造から、ミッションの横にある小さなフレームのところにエンジンマウント置かれる「クレードル構造マウント」に変更されました。メリットとしては振動・騒音の低減、サスペンション剛性の向上などがあり、実際の効果が非常に楽しみです。

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またフォレスター、エクシーガではNA車のみに使われていた電動パワステが、新型レガシィからターボ車にも採用されました。

ショックアブソーバーは標準タイプとレガシィのスポーツモデルではトレードマークになっているビルシュタインがNA、ターボの両方に用意されます(ツーリングワゴン、B4)。ユーザーの選択肢が広がったという点では歓迎できることだと思います。

エンジンは今まで主力だった2リッターが廃止され、2.5リッターNAフラット4(全ボディタイプ)、2.5リッターターボフラット4(ツーリングワゴン、B4)、3.6リッターフラット6(アウトバック)という3種類。全車に燃費重視のインテリジェント、スポーツ、スポーツシャープの3種類のモードを持つSIドライブが装備されます。

それぞれ細かく見ていくと、主力となると予想される2.5リッターNAは最高出力で170馬力と7馬力下がっていますが、その分中低速重視トルクとなっており乗りやすさは格段に向上している模様。10・15モード燃費も14.0km/l(先代2.5iより1km向上、2.0iと同等)と優秀です。

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2.5リッターNA

2.5リッターターボは285馬力とスペック的には5馬力増しとそれほど変わりませんが、2000回転から5600回転まで最大トルクを発生する広いトルクバンドが魅力。またクレーゾル構造のエンジンマウントの採用でタービンをエキゾーストマニホールドの近くに置くことが可能になり、レスポンスや触媒の効率向上が図られているところも見逃せないポイントです。

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2.5リッターターボ

フラット6は今までの3リッターから一気に3.6リッターに排気量アップ(260馬力)。正直3.6リッターまで排気量が大きくなってしまうと「日本で買う人がいるのか?」という気もしてしまいますが、3リッター時代のフラット6がATとの組み合わせだと排気量の割にトルク不足を感じる面もあったことを考えると、意味のある変更には思えます。なお、このエンジンは3リッターを超えるエンジンにしては珍しくレギュラーガソリン指定となります。

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3.6リッターNA

トランスミッションは2.5リッターNAに「リニアトロニック」と呼ばれるCVTが採用された点がトピックス。このCVT(スバル内製)は一般的な金属ベルト駆動ではなく、許容トルクと伝達効率に優れるチェーン駆動を採用。燃費向上にも大きく貢献しています。
許容トルクに関してはターボ車や3.6リッターフラット6にも対応できるそうです。また他のスバル車への展開に関しては許容トルクが大きい分、1.5リッターフラット4などには重さなどのデメリットの方が大きいため、2リッター以上でという方針のようです。

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2.5リッターターボと3.6リッターには今までと同じ5速ATとの組み合わせ。なお全車パドルシフト付き(CVTは6速マニュアルモード)となります。

2.5リッターターボの一部グレードに用意される6速MTはシフトチェンジの形式がロッドからケーブルに変わった点が目立っていますが(シフトフィールはエクストレイルディーゼルのような軽い感じ)、意外にもインプレッサWRXとは別の新設計のものとなります。この6速MTは輸出向けのフォレスターのディーゼルにも使われており、モータースポーツも視野に入れたインプレッサ用では強度や重量などが一般的な使われ方にはオーバークオリティということで、新しい6速MTの投入となったようです。インプレッサやフォレスターのMT車への展開も期待したいところです。

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重量は5速MTの5kg増し、インプレッサWRXの6速MTに比べると25kgも軽量!

4WDシステム(全車4WD)は、2.5リッターNAにアクティブスプリットタイプ(基本トルク配分はフロント9:リア1程度、前輪の空転に応じてフロント50:リア50まで変動)、2.5リッターターボと3.6リッターがVTD(基本トルク配分はフロント45:リア55)、6速MTがビスカスLSD付きセンターデフタイプ(基本トルク配分前後50:50)となります。

価格は、オーディオ以外VDCまで付くB4の2.5iで220万5000円から(ツーリングワゴンは15万円高)。バリエーションとしては全ボディにHIDライト、パワーシートなど追加されるLパッケージ、ツーリングワゴンとB4に18インチホイール、ビルシュタインダンパーなどが装備されるSパッケージなどが用意されます。

先代2.5iに近い装備内容となる2.5i Lパッケージ(B4で252万円)で見ると、価格はほぼ据え置きという感じですから内容に対する価格競争力は非常に高いと思います。ただ1つ心配なのは、レガシィの属するミドルクラスのセダン、ワゴン自体がもうあまり売れないジャンルとなっていることでしょうか。もっとも、その点に関してはスバルも想定済みなのか先代、先々代が6000台の月間販売目標台数だったのに比べると控えめな3000台の計画です。

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新型レガシィが発表されました 1

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今日は新型レガシィの発表会でした。今年で初代レガシィの登場から20年、このモデルで5代目となる新型レガシィのコンセプトは「グランドツーリング イノベーション」ということで乗員全員に対する楽しさ、快適性を追求。今までのレガシィと同じコンセプトと考えていいでしょう。なお今回のフルモデルチェンジではツーリングワゴン、セダンのB4、SUVの要素も持つアウトバックが同時に登場となりました。

最も大きな違いは北米仕様が公開された際には否定的な意見の多かったボディサイズ、排気量の拡大ですが、全幅が北米仕様より狭められた日本仕様のツーリングワゴンとセダン(フェンダーの違いによるもの)を見ると、ヘッドライトが釣り上がり過ぎているような感じする点と「ちょっと何かを思い出してしまう」ところがある以外はなかなか悪くありません。見慣れれば好意的に思えるような気がします。

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Dピラーをブラックアウトしガラスがつながっているように見えたデザインからDピラーをしっかり見せるデザインに

サイズ自体はツーリングワゴンで全長4775mm(+95mm)×全幅1780mm(50mm)×全高1535mm(65mm)、ホイールベース2750mmと、このクラスの平均レベル。大型化に対する是非や程度は別として、先代モデルが日本で使うには非常に使いやすい大きさだった反面、見た目に幅の細さを感じる面があったのも事実ですから、個人的にはそれなりに納得できるものに感じます。ちなみに車重は新旧のツーリングワゴン2.5i同士で40kg増となります。

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太ったというよりもこのクラスに相応しいボリューム感といった印象

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アウトバックは北米仕様と同じ全幅

インテリアはダッシュボードの造形やサイドブレーキが全車電動スイッチタイプになるなど、先代とは大分違う印象。質感は先代と同レベルといったところです。また、今まで市販のオーディオやカーナビを付ける際には苦労の多かったレガシィですが、新型はオーディオレスが基本で市販品もそのままインストール出来るようになりました。なおメーカーオプションのカーナビはケンウッドのオーディオ+HDDナビの「プレミアムサウンドシステム」とレガシィ伝統のマッキントッシュのオーディオ+HDDナビの「マッキントッシュサウンドシステム」が用意されます。

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パネルはアルミ調、木目調、カーボン調の3種類

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ミラーの調整スイッチの下に付く電動サイドブレーキ

室内空間も大幅に広くなりました。広さ自体はこのクラスの平均より若干広いくらいですが、決して狭くはないもののゆったり感もなかった先代モデルに比べると大人4人の長距離ドライブでも格段にくつろげる室内となりました。

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ドアの開口角度も広い感じ

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高さ方向に広くなった点が目につくラゲッジスペース
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2009年05月19日

新型プリウス詳細レポート!

ついに新型プリウスが登場しました。昨今の取り巻く環境・経済問題盛り上がる中、本年最大の注目車といっても過言ではないでしょう。早速レポートをお届けします。

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まずスタイル。プリウスとしては初めてキープコンセプトのフルモデルチェンジが行われたわけですが、パッと見プリウスとすぐ認識できつつ、そのデザイン自体は随分とエモーショナルかつシャープに進化しました。ボンネット中央のエンブレムからボンネットへと流れる膨らみはより明確化され、フェンダーが食い込むヘッドライトの形状もかなりスポーティ。

サイドビューもプレスラインがグッと強調されて、全体的なボディシルエットもより前傾方向へ。空力などを考え、ボディサイドが平板な印象だった先代プリウスと比べると、随分と抑揚的です。

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いかにもエコカーというような優しいイメージか漂っていたプリウスですが、今回の新型ではそういった少し弱々しい印象が上手く払拭されているというのが率直な感想。またルーフのアーチの部分の頂点をややリア寄りにすることで、後席の頭上高拡大に加えて、それを上手くデザイン上の利点につなげている点も○。

新型プリウスに負けず劣らずカッコ良いものの、実用性との融合が一切できてないインサイトと大きく違う点です。全長で15mm、全幅で20mm拡大され、全高は変更なしというディメンジョンですが、実際のサイズアップ以上にクルマが立派に見え、低重心に感じられるようになったのは、デザイン力の勝利。

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しかしながら、リアビューに関してはいささか「空力実験車」的要素が強まりすぎているように思えます。リアバンパーを途中でスパッと切り落とし、後ろから平べったく押し潰したようにリアを絞りこんでいるのは、間違いなく空力性能を上げるためのもの。

リアビューだけでなく、フロア下やルーフ・ピラーの角度、フロントバンパーのコーナー付近の彫刻的なラインなど、新型プリウスは空力を計算し尽くした上で構築されていますが、フロント・サイドビューではそれら2つのバランスが非常に高度です。

それだけに、フロント・サイドから見ると立派にスポーティに変わったという印象が、リアから見ると鈍臭く貧弱に見えてしまうのが、他の部分のスタイリングがエレガントに進化しただけに、より惜しく感じる点です。

これはトヨタ車だけでなく他メーカーの車にも言える事ですが、リアのクリアテールの処理はいかがなものか? 個人的にはLEDライトであっても、夕暮れ時の後方側からの視認性についていまだに疑問が残り続けています。

先代はリアのサブウィンドーとまとまるように上手くデザインされ、またブレーキとポジション点灯部分が別体になっていましたが、新型はそういう配慮もありません。濃いボディーカラーではリアライト自体がテカテカと目立ってしまう嫌いもあり、個人的にはリアビューの見栄えに関しては「?」。何度も言うようですが、フロントやサイドからの見た目がグッとよくなっただけに、より気になってしまうのかもしれません。

もっとも、Cd値は驚異の0.25。先日発表されたEクラスクーペはさらに上を行きますが、現時点ではトップレベルの性能と言っていいでしょう。ただ単に「カッコ良さ」だけを追及することが必ずしも直接魅力につながらない、こと空力(燃費性能)に関して超デリケートとも言えるこのプリウスの特異性を考えれば、これも1つの「らしさ」でしょうか。

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個人的に気になった点をもう1つ。このサイドミラーの付け根、なぜ無塗装ブラックアウトなのか。過去では先代エスティマが、浮遊感が出てしまうということでミラー全体をブラックアウトしましたが、ユーザー側の声から新型はボディ同色に。そういったデザイン上の意図があれば別ですが、この部分に関してはそういった印象は一切感じません。何か意図が? それとも単なるコストダウン? 薄いボディーカラーだと余計に目立って、どうしても目につきます。

同じくブラックアウトされたリアスポイラーにも個人的には少し違和感があったのですが、こちらはオプションでボディ同色のスポイラーにすることが可能です。

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続いてはインテリア。シートに座ってドアを閉めた際の音で、新型の気密性の高さを実感。ドアを閉めると、外の音が遠くに感じられます。そもそもプリウスはエンジンがかかっている時間が短く、静かに感じられるクルマでしたが、新型ではさらにクルマ本体の静粛性のアップにも余念がないようです。

座ってみると、やはりAピラーの角度が随分と寝ているのを実感。インサイトほどではありませんが、先代から比べると少し気になれるレベルでしょうか。また若干改善されている跡は見えますが、ピラーの太さによる死角の多さも少し気になりました。

先代ではどうしてもルーミーさが残ってしまうポジションが、ステアリングにテレスコピック機能が追加されたこともあり、随分自然に調整できるようになったのは○。すっかりお馴染みとなった異形ステアリングもほとんど違和感なく手になじみ、小径かつグリップが太くスポーティな印象も感じられます。

材質がウレタンでは少し硬さが目立ちやすいので、安っぽく感じられた方は革巻きステアリングを選択したほうがいいでしょう。G以上に標準装備という事になっていますが、SやLでもディーラーオプションにて約26,000円で装着が可能です。

先代はナビの有無に限らず液晶モニターが標準装着されていましたが、新型はセンターメーター左側のモニター内で、ハイブリッドインジケーター・エネルギーモニター・分毎の燃費表示・履歴が表示されることとなっているので、オーディオレスを選択すればDIN企画の好きなナビ・オーディオを組み合わせることができようになりました。

そしてもう1つの注目は、タッチトレーサーディスプレイ。これはエアコン・オーディオのコントロールをステアリングスイッチにて行う際に、今指でスイッチのどの部分を触っているかをボタン上で感知し、その部分をメーター上でオレンジに発色させ、最小限の視線の動きで操作できるというもの。スイッチ部分のタッチは通常のものと少し異なりますが、この分かりやすさと操作性の良さは◎。

センターメーターを用いるクルマならではの装備ですが、このインターフェイスとしての取っ付きやすさ・分かりやすさ・便利さには目を見張るものがあります。はっきり言って、ハリアーやレクサスHSなどで採用されるリモートコントロールより説得力アリ。今のところ純正HDDナビとセットということで、Gツーリングセレクション・レザーパッケージ以外ではオプションなのが唯一残念な点です。

ただ多くの”お楽しみ”があるおかげで、これ以上賑やかにするとセンターメーター付近がやや乱雑に見えてしまう事を考えれば、それも仕方ないところでしょうか。タコメーターはなくスピードメーターだけなのでまだマシですが、メーター内の表示色が全て淡いグリーンに統一されているのも、表示のメリハリのなさを助長しています。

このあたりはタコメーター、アンビエントメーター、パワーメーターを備え、より多彩なアウトプットを楽しませてくれるインサイトの方が一枚上手。絶対的な性能はともかく、こういった「ドライバーへの演出」というインターフェイスは、もう少しがんばって欲しいというのが正直なところです。

またもう1つ気になるのは、前席を大きく分断するセンタークラスター。オーリス・ブレイドでも用いられているこの方式ですが、この部分に関しては先代のようにサイドウォークスルーができる方がよかったのでは。もっとも、これによってポジションのルーミーさが若干解消されたとも言えるのですが、このような大きいセンタークラスターに加え、そこのせっかくの一等地に小型シフトノブをドンと配置してしまった点については、いささか疑問です。

新型もシフトノブはバイワイヤで、いまやスイッチのような扱い。せっかくの自由度の高さを全く生かせていないと言っていいでしょう。先代と同じように小さくまとめることもできれば、アストンマーティンDB9のようにボタン形状にしてインパネに設置する事や、ジャガーXFのようにオシャレなダイアル式ギミックを用いたり、もっと様々な提案方法があったはず。

もっとも、これもより幅広いユーザーに受け入れてもらうために、他車ユーザーから乗り換える際の違和感をできるだけ減らそうとした結果、なのかもしれませんが。厳しいコスト管理の中で開発された事は分かりますが、こういった運転するまでのプロセスの違いは、プリウスの弱点でもあり、大きな個性でもあります。そこは没個性にするのではなく、プリウス自ら新たなインターフェイスの提案をどんどんと増やして欲しかった、またそういう挑戦がしやすい車種だけに、少し残念です。

操作の分かりやすさに関して言えば、全く問題なし。それよりもむしろ、いったいどういう時に使えばいいのか分からない、センタークラスター下に設けられた場所も容量も中途半端な収納スペースのほうが、実用性に関して言えば問題かもしれません。

下手にいろんなものを入れると、走行中に足元に落ちて、思わぬトラブルを引き起こすかもしれません。以前クルーガーVが登場した時も同じ事を思ったのですが、ここを収納スペースとするならば、ディーラーオプションで装着できるコンソールリッドを最初から標準にすべきです。

インサイトでは大変厳しかったリアシートのスペースですが、新型プリウスはさすがの車格の違いを実感。乗り降りの際にも何も不自由なく、後席のスペース自体もキチンと大人2人が快適に過ごせるスペースが確保されています。

178cmの自分の場合、頭上高は先代よりも拡大されたとのことですが、やはりまだ若干髪の毛がルーフに触れてしまいます。しかしそれも、ほぼ気にならないレベル。前席シートバックの薄型化によって足元・膝周りのスペースもゆったりしています。唯一気になった点は、S以上に装備されるリアアームレストの安っぽさくらい。ちなみにカップホルダーはここに装着されています。

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ラゲッジスペースについては、横幅がグッと拡大された印象。先代まではゴルフバックがギリギリ頑張って2セットだったのが、新型では楽に3セット収納が可能になっています。しかし、ボディサイズがほぼ変わらない事もあって、全体的にはさほど広くなった印象はありません。バッテリー搭載によってフロアは相変わらず高め、床下のサブトランクの形状もさほど使いやすいとは思えず。絶対的容量では結構違うのですが、ゴルフバックを積まないというのであれば、正直インサイトとあまり変わらない印象です。

パワートレーンでの大きな注目点は、やはり排気量がアップされた点。1.8Lのアトキンソンサイクル化されたエンジンに、これまた90%以上見直されたというTHSシステム。モーターは600V、さらにはリダクションギアが搭載されており、性能の磨き込みに余念がありません。

その他にもクールEGR、電動コンプレッサーエアコン、ロッカローラーアーム、電動ウォーターポンプ、さらに排気熱の再循環システムなど、これでもかと言わんばかりの効率化と意欲的な技術の数々。後々に記しますが、この内容でこの価格で出されるのははっきり言って驚異以外何物でもありません。

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先ほどの空力性能のさらなるアップに加えて、排気量アップ・リダクションギアの搭載は、高速走行時のさらなる性能アップ&燃費向上を図るため。絶対的な性能では先代プリウスでも十分な内容でしたが、新型プリウスはまさに「格上げ」な印象。絶対的なセグメントも1つ上に上がったような気がします。

モーター容量アップによって、低速走行時のモーター走行領域も広がって、「半EV化」はさらに進んでいます。燃費自体も改善されているのは当然として、このあたりの実際の走りのポテンシャルの向上がどのようなものかは、また後日じっくり走り込んでまたお伝えしたいと思います。

シャシーは今回オーリスがベース。ツーリングセレクションでは専用チューンのサスペンションが奢られます。ブレーキは先ほどの高速走行性能のアップと約100kg弱増加した重量に対応して、4輪ディスクブレーキに。これは見栄えという面も含めて○。また、緊急時のフルブレーキング時に、全てのランプが点滅して後続車への非常事態を知らせる緊急ブレーキシグナルも今回装着されました。

タイヤはLが185/65R15のグッドイヤー、SとGが195/65R15のBSエコピア、ツーリングセレクションが215/45R17のミシュランが装着されていました。全車アルミホイールは標準。15インチ仕様はアルミ+ホイールキャップのコンビホイール。キャップを外せば、軽量化された事が目に見えて分かる、結構スポーティなデザインのホイールが隠れています。

見た目で言えばやはりツーリングセレクションの17インチが魅力的。ホイールデザインもよく、ボディサイズに対して足元の踏ん張り感が全く違います。ボリュームが増したボディスタイルなので、同じ15インチでも先代と比べて随分タイヤだけが小さいイメージが強くなっているようにも感じるのも気になる点。

しかし、燃費の事を考えれば、当然15インチ有利。ここのバランスが難しいところです。個人的にはその間を取って、見た目と性能と燃費のバランスがとれた、205/55R16サイズのサイズチョイスがあってもよかったのでは?と思います。

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ちなみにこの画像は、その16インチサイズのアルミホイールをセットしたモデリスタ仕様のプリウスなのですが、エアロや専用のホイールデザインの効果もあるものの、このサイズチョイスはなかなかのバランスだと思います。ちなみに、モデリスタでは18インチサイズも用意。見た目だけで言えば、オーバーサイズ感は全くなく、素直にカッコいいの一言。スタイル最優先で言えばこのチョイスもアリかもしれません。

さて、お気づきの方もいるかもしれませんが、Lに装着されるタイヤである185幅のグッドイヤー。実はこれ、先代プリウス、つまり併売されるプリウスEXと全く同じタイヤをそのまま流用しています。先代モデルでの15インチのタイヤのキャパシティは、転がり抵抗の少なさという燃費を考えた上でも、性能的にギリギリという印象。性能アップ、それに伴う車重増加、それらを考えた時に、それをそのままそっくり新型につけてしまうのは、正直言って少し不安。

カタログ上での燃費スペックは、当然このグッドイヤーを履いたLが最高値を叩き出しているわけですが(もちろんSに比べて40kg軽い事も影響しています)、ここは実際195幅のBSエコピアを履いたS・Gとの走りの印象の違い・燃費の違いを考えて判断をしたいところ。個人的には先代プリウスの走りを考えると、Lはあまり選択したくありません。

205万円という衝撃の価格、グレード中最高燃費を叩き出すグレード、ということで注目を集めがちなLグレードですが、実車を見ると1つ上のSとの見逃せない違いが様々な点で見られます。フォグランプが装着されなかったり、オーディオレスが標準である点は十分価格を考えれば納得。リアワイパーが付かないのは個人的には痛いですが、必要性を感じない人には全然気にならないでしょう。実際雨の日にはワイパーなしでも十分視界が確保されており、欲しいと思うのは雪の日くらい?

また、ツーリングセレクションに標準され、標準グレードにオプションのフロアアンダーカバーが、Lにはなぜか標準装備されているのは不思議。このあたり、Lの燃費数値達成とCd値0.25がこのグレードで達成されているヒントとカラクリが隠れていそうです。

しかし、室内側の装備省略には結構痛いものがあります。まずはシートリフターが装着されないこと。S−VSCとサイドエアバックをLから標準にしたのは大拍手ですが、これくらいは全グレードに装着してもいいのでは。実際Lでは自分にしっくりくるドライビングポジションを取る事ができませんでした。

また、新型プリウスはカップホルダーの配置がセンタークラスター上に1つ、コンソール内に1つという変則的な配置になっているのですが、Lではコンソール内が簡略化されるため、1つだけになっています。同様にリアアームレストも装着されないので、それに伴ってアームレストに装着されるカップホルダーもなし。つまり室内には1つしかカップホルダーがありません。常に1名乗車であるなら問題はないのでしょうが、これまた少し痛い点。

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そして影響はこんなところにも。S以上には当然のように装着されるボンネット裏の防音材が、なんとLの場合は省略されています。エンジンのかかっている時間が絶対的に短いプリウスではありますが、正直ここまでするか? という削減内容。無論タイヤサイズも含めて、これらは乗り比べれば分からない点、もしくは実際になくても全く気付かないのかもしれませんが、それなら全グレードに装着しなければいいわけで、少なくとも何らかの体感できる影響があるはずです。

205万円という価格は大変衝撃的であり、基本グレードからS−VSCやサイドエアバックを標準装着した点は賛辞に値します。しかしながら、実車を見なければ分からないカット部分も多く見られる事も事実。

SはLよりも15万円高い220万円。それでも最新ハイブリッドシステムを搭載するクルマとしては驚異的安さであり、競争力もインパクトも十分。自分の場合なら、プリウスを買うならばLは選びません。通勤で使用し、ほぼ1名乗車の機会のみ、もしくはビジネスユースで使用するならばLで十分ですが、ファミリーユースで使うならば絶対にSにしておいた方がいいでしょう。

SとGの価格差は25万円。内容の違いはクルーズコントロール、上級タイプのシート表皮、本革巻きステアリング、スマートエントリーの範囲拡大、フットライト程度。本革巻きステアリングはディーラーオプションでも装着可能なので、クルーズコントロールの有無がSかGかを選ぶポイントでしょう。

街乗りメインなのであれば、Sの内容で十分。25万円の価格差があれば、もう少し何かコレ! といった装備の違いが欲しかったところです。しかし逆に言えば、Gの245万円はそもそも新型プリウスの価格予想されていた値とほぼ同値。この価格で上級グレードが手に入るのには素直に驚きです。

SからGにする時に悩ますもう1つのポイントが、ツーリングセレクションの存在。SとGとの価格は25万円ということで、なんとSツーリングセレクションとGは全くの同価格。ツーリングセレクションになると専用サスペンション、17インチタイヤ&アルミホイール、フロアアンダーカバー・リアバンパースポイラー(この2つはSとGでもオプション装着可)、LEDヘッドランプが装着されます。25万円の価格差は、先代モデルの標準仕様ツーリングセレクションよりも広がっていますが、おそらくこれは大変高価と言われるLEDヘッドランプの分が反映しているのでしょう。

LEDヘッドランプをこのクラス・この価格のクルマに搭載したトヨタには恐れ入りますが、標準仕様のヘッドランプはなんとハロゲン。オプションでもLEDヘッドライトはもちろんのこと、HIDも用意されません。もちろん今では社外パーツでHIDを装着することは可能ですが、このような安全性能や快適性に直結するライト関係の装備を、スポーティグレードに標準装着するという考えは安易すぎなのでは。

先代プリウス登場時もこのような体系が取られていました。17インチはいらないけどもLEDヘッドライトは欲しいというユーザーは、たくさんいると思います。もしそれが都合上ダメだというのなら、HIDくらいはオプションで用意しておくべきです。こういった装備は、単なる見た目の問題などという事で片付けるわけにはいきません。

もちろんこれはいずれ、時間が経てば特別仕様車などの設定で解決されるかもしれません。いずれにせよ、ただ安いからいいじゃないか! というような姿勢は腑に落ちません。ユーザーへのより幅広い選択肢の展開を望みます。

最上級グレードであるGツーリングセレクション・レザーパッケージは、Gツーリングセレクションから57万円高の327万円。もっとも内容はHDDナビ・タッチトレーサーディスプレイ・インテリジェントパーキングアシストが標準になり、前席ヒーター付本革シート、プリクラッシュシステム、レーダークルーズコントロール、レザー仕様のセンターコンソールなどが装着されます。

ちなみに、EGA高精細ディスプレイ、エコアシスト機能、ヘッドアップディスプレイ、地デジチューナーなどが装着される上級ナビシステム&スーパーライブサウンドシステムを装着すると、それよりさらに約22万円高。他の装備はともかく、エコアシスト機能くらいは通常のHDDナビを装着すればセットで付いてきて欲しいものです。この上級システムはこのグレードのみにオプション選択可能であり、なんでもフル装備!のこのグレードなら、オプション装着する価値ありでしょう。

逆に言えば、自動バック機能などに興味がなければ、それ以外のグレードでは純正HDDナビでなくても十分。オーディオレスを選びお好みのナビを組み込むのもよし、標準の純正CDプレーヤーをそのまま装着して、後々PNDを自分で装着するのもよし。

個人的にはタッチトレーサーシステムに心惹かれるものがあるのですが、そういう風にどんどん考えていくと、プリウスはあっという間に400万円台の高級車になってしまいます。このあたりが戦略的価格を打ち出しながらも、実際買おうとなると消費者の心を上手く誘導していく、トヨタの商売の上手さでしょう。

その他の注目オプションと言えば、ソーラーパネル付ムーンパネル。駐車中にソーラーパネルで充電、その動力をエアコンに使用して、夏場の炎天下の車内気温上昇を抑えるというもの。ソーラーパネルで充電した分が走行時のバッテリーに使われるということではありません。エアコンの作動はスマートキーのボタンにて可能。これは実際夏場では大きく効果を発揮することでしょう。

オプション価格はグレードによって異なりますが、20万円強。正直高いですが、見た目的な部分とプリウスというクルマの独自性を考えると、こういう装備もアリとは思います。またサンルーフとセットということで、サンルーフが欲しいというならこれを装着せざるを得ません。もしくは、サンルーフには興味がないからソーラーパネルだけ欲しい!という自分のような考えも考慮されません。

また、これはSとGのみに装着可能で、ツーリングセレクションを選ぶとこのオプションは選択できません。このような装備は、いわゆる「全部付け」するユーザーさんが欲しがるオプションであり、最上級のGツーリングセレクション・レザーパッケージで選べないのは痛いところ。むしろ17インチタイヤとサスは別にして、単なるG・レザーパッケージというグレードが用意されてもいいかもしれません。

ボディーカラーは9色。パールホワイトやアイスバーグ、アクアブルーなどのプリウスらしい淡い色も、レッドやブラックなどの精悍な色もよく似合います。内装色はアクアとミディアムグレー。個人的にはどちらもパッとしないので、清くブラックに統一するか、アメリカ仕様に設定される予定のブラウンカラーがあればよかったのですが。特に本革シートの場合はその思いをより強くします。

かなりの長文での紹介になりましたが、それだけこのプリウスは内容盛りだくさん。実際に見ると色々分からなかった部分も多く見られましたが、やはりこの内容でこの価格は驚異的としか言いようがありません。全く価値がなくなったとは言いませんが、ちょっとインサイトは厳しい立場に置かれたかもしれません。むしろ今楽しみなのは、i−stopを搭載する新型アクセラ。サイズ的にもこちらがバッティングしそうです。

8万台の注文、納車5か月待ち、ということで、いつしっかりと乗って試乗レポートできるかは分からない状態ですが、いずれにしても走りの方もしっかりとチェックしたいと思います。




レポート:<岩田 和馬>
posted by 親方 at 15:44| Comment(2) | TrackBack(0) | 岩田和馬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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